キミと僕との7日間

五味

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さて、これはどうやったら伝わるのだろうか。これまでにも何回か話したような気はするけど。

「えっとさ。これまでにも、何回か言ったとは思うけど。」
「その、星を見るのは、好きなんだよね。」
「うん。」

良かった、それは覚えててくれたらしい。

「でもさ、さっきのスピカとか、恒星だったら、それ使わなくても、あんまり変わんなかったから。」

そうして、僕は少し上体を倒して、夜空を見上げる。
自分から見てみたい、そんなことを言い出して、無茶苦茶な事を言っている、そんな自覚はあるけれど。

「だから、こうして見上げるだけでも、良いかなって。せっかくたくさんあるんだから。
 それをこうして、ぼんやり見上げるだけ、それでいいかなって、そう思っちゃったんだよね。」

こういう時、両親なら、祖父母なら、どう説明するのだろうか。
生憎と、自分が何を考えているか、たまにしか人に話してないし、そもそも話すほど考えてもいない。
そんなことが、これまでやってこなかったことが、なんだかもどかしく感じられてしまう。

「そっか。うん、よくわかるな。」

だが、幸いにも、下手糞な僕の説明でも、彼女にはきちんと伝わったようだ。
それに頷いて、彼女も一度皿を置いてから、空を見上げる。

「私も、最初は、そうだったし。今だって、こうして見ているのも好きだから。」
「えっと、そうなんだ。」

その言葉にちょっと驚いてしまう。だったら、あの大きな、重たいだろう望遠鏡は、必要ないだろうにと、そう思ってしまうから。

「うん、これも好きだし、ああして覗き込むのも好きなんだ。」

そうして、彼女は僕の方を見ながら、悪戯気に笑う。

「私だって、恒星を見るのは、そんなに好きじゃないし。」
「え。そうなの。」
「うん、部活動としてね、記録を取るから、有名な恒星くらいは、流石にやらなきゃって、そう思ってるだけだから。」
「えっと、それじゃ、普段は惑星見てるの。」

そう尋ねてみれば、確かに惑星は僕も覗き込んで、わくわくしたし、楽しかった、彼女もそっちの方が楽しいのだろうか。

「他にも、えっと、星雲とか、星団とかって、聞いたことあるかな。」
「えっと、他の銀河系だっけ。」

写真で見た時、そんな姿をしていたように思うし。

「うーん、その、一応違うものかな。論争があって、分類もされてるけれど、銀河団が観測の精度によっては星団に見えたり、昔は銀河を星雲って呼んだりしてたから。」
「あ、まって、うん、今はそのあたりは良いや。」

何となく、嫌な予感がして彼女の言葉を止める。
このまま話を聞いていたら、恐らくまた僕の良く分からない単語がひたすら並びたてられて気がするから。

「えっと、M51とかM97とかだっけ、春に見えるのって。」
「本当によく覚えてるね。子持ち星雲と、ふくろう星雲後は、割と近い距離に確認できるM81と82とかも。」
「あ、名前付いてるのもあるんだ。」
「そのあたりは、命名権を行使するか、みたいなところがあるから。」
「へー、そういうのも見れるんだ。」
「時間と、位置で言えば、今名前を出したのは、北斗七星の周りだから、見えるかな。」

そう言われると、興味が湧いてしまう。ただ、そろそろ時間も時間だからと、僕は靴を履いてギターの方に向かう。
練習は、軽く指を動かしただけで止めてしまったし、もう少し続けたい、そんな気持ちがある。
そんな僕の様子を、残念そうに見る彼女に、僕から言える言葉は、簡単な物だ。

「えっと、また明日見せてもらってもいい。」
「ああ、そうだよね。もともと練習に来てるんだもんね。」

そう、僕がギターケースを開けながら言えば、彼女は嬉しそうに納得してくれる。

「でも、そっか。他の銀河は見えるんだ。」
「うん、春は特に。」
「へー。恒星は見えないのに、他の銀河は見えるって言うのは、なんだか不思議な感じだね。」
「そうかも。そうだね。えっとね、私たちの目には、恒星に見えてるものが、実は、っていう事もあるんだよ。」

つまり、それだけ途方もない距離離れているという事だろう。

「そっか、えっと、なんだっけ、創造の柱だっけ。」
「流石にそれは、見えないかなぁ。それに蛇座だから。」
「あ、夏の星座か。」
「うん、一応、それのあるわし星雲くらいは、観測できると思うけど。
 あれを見ようと思っても、どうにか見えて、黒い影くらいにしか見えないと思うよ。写真を撮って、加工したりしたら、ひょっとしたら見えるかもしれないけど。」

取り出したギター、その弦を触りながら聞いていた彼女の言葉に驚き、思わず変な音が鳴る。

「え。そうなの。」
「うん。えっとね、今は持ってきてないけど、その、撮った写真を、取り込んで、加工すると、覗き込んでた時に気が付かなかったようなものが見えて来るんだ。」
「ああ、だから写真撮ってたんだ。」
「うん。本当は、カメラもこだわったほうが、そんな話は聞くけど、私は先に望遠鏡買っちゃったから。」

そうして、彼女が苦笑いをして見せる。
その言葉に、案外、こうして僕たちでも手に入れられる、そんなものでも色々と分かるんだと、なんだか感心してしまう。

「そっか、意外と、大掛かりじゃなくても、色々できるんだ。」
「だって、これにしたって、昔の人が使ってたのより、性能、良いんだよ。」
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