キミと僕との7日間

五味

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それからしばらく、少し話をしながら食事をして、望遠鏡で星雲とか銀河とか、そう言った物を覗いた。
写真でもあれこれと見たけど、自分でこうしてみるのは感慨深く、途中で接眼レンズの倍率を変えて貰ったりして、それでかなり見え方が変わる事に驚いたり、そんな時間を過ごして、僕はまたギターを触っている。

「うん。恒星以外は好きかも。」
「正直だね。」

適当にこれと決めた曲をいつものように弾きながら、彼女と話す。

「いや、だって、さ。」
「気持ちはわかるんだけどね。」

どういえばいいのかと言葉を濁した僕を、彼女は笑いながら見る。

「変化がないでしょ。」
「うん。」

星の一つにしか見えない物が銀河だったり、不思議な模様のようにも見える星雲だったり、後は肉眼ではとても見ることができない惑星だったり。
そう言ったのは見ていて楽しいけれど、流石に肉眼で見るよりも大きくなった、それくらいの違いしか分からない恒星は見ても流石に面白さを感じられない。

「連星だと、こう二つの星が回ってるのが見られたりとか。」

初日に見たスピカにしてもそれで少しがっかりしてしまったのだ。
覗いてみても、一つにしか見えなくて。

「ものによっは分かるけど、流石にこれじゃ無理かな。二重星とかはどうにか見えると思うけど。」
「えっと、何か違うの。」
「前にも言ったけど、連星はお互いの周りをまわっている星で、二重星は肉眼だと重なって見えるけど、こういった道具を使うとちゃんと別々に見える星。」
「えっと、だったら、まったく関係ないってことも有るのかな。」
「そうだね。でも連星か見かけの二重星か分からないって言うのも、多いし。」

それについては、説明をされても分からそうなので僕は話題を変える。

「二つの星だと、えっと、有名な乗って、アルビレオ、だっけ。」
「あ、知ってるんだ。」
「オレンジと青で、色の違う星が並んでるんだっけ。後は何か有名な本にも出てるって聞いたかも。」

題名も作者も思い出せないけど、たしか銀河を鉄道で旅するとか、そんな話の何処かに書かれていたはずだ。

「銀河鉄道の夜だったかな。あれだと連星みたいに書かれてるけど。」
「あ、っていう事は。」
「そう、はっきりわかったのは本当に最近。」

失敗したと思ったときには遅かった。
そこからは彼女が暫くガイアプロジェクトとか、星図とか、そう言った話を色々としてくれたけど。99年に連星、2016年に二重星って言う意見が出たとか。
色々とよくわからない固有名詞が多く、どうしても話を聞いているつもりではあるけど、聞いた側から抜けていく。
同じ曲のメロディーラインを二回ほど弾き終わったころに、あちらこちらへ飛んでいた彼女の話が終わり、話を締めくくる。

「そんな感じで、本当に二転三転してるし、間違いが見つかったら喜んで新しい理論を研究するんだよ。」
「ごめん、よくわからないや。」

嬉しそうに話す彼女には申し訳ないけれど、共感は出来そうにない。だって何を言っているのかよくわからないから。

「あ、えっと、ごめんね。よくわからない話だったよね。」

その言葉にどうやら自覚はあるんだなとか、そんな事を思わず考えてしまうけど、とりあえず首を横に振るだけ振っておく。でも、そんな事はないよとか、そう言った言葉は言えそうにもない。

「その、何かわからない事が有ったら、聞いてくれれば。知ってることなら答えるから。」
「ごめん。なにが分からないかも分からなかったんだ。」

そこまで言われてしまうと正直に答えるしかなくなってしまう。
そして、今更質問しようにも何を聞けばいいのか、最初にどこで分からなくなったのかもよく分からない。

「その、ごめんね。」
「いや、こっちこそ。」
「部員で、興味持ってくれた子も、そんな感じなんだよね。」

そういって彼女はため息をついてしまう。そんな様子に祖父が僕に何かをするとき、興味を示した時に、話して聞かせるのではなくやってみるか、調べてみるかと、そう聞いたのは意味があったのかもしれないと、そう思ってしまう。
だって、自分で、自分が分かるペースで調べていけば、所々脱線しそうな時にだけ軌道修正してもらえば、必ずわかるのだから。時間はかかるけど。

「えっと。多分情報が多すぎるのかも。」
「そう、なのかな。」
「だって、僕君の言った言葉の半分以上は初めて聞いたよ。」

そして分かり易い問題は、今言った物だと思う。
分からないことの説明を求めたら、もっと分からないことを使って説明されてしまった。
それじゃ、流石に何もわからない。
率直に思った事を伝えたら、彼女はうなだれてしまう。落ち込ませたかったわけではないんだけどな、そんな事は思うが、僕自身そこまで頭がよいわけでも、祖父のように上手く伝えられる自身もない。さてどうしたものかと、そう考えだすと、これまで動いていた指も止まってしまう。

「えっと、顧問の先生に聞いてみるとか。」
「その、あまり熱心な人じゃなくて。」
「祖母に聞いてみるとか。先輩だったみたいだし。」

最初の提案に、より一層彼女がどんよりとしてしまったので、思わず付け加える。
祖母の話は、面白かったし、こうして今も覚えてるくらいには聞きやすかったのだ。だから、何か彼女に助言が出来る事が有るかもしれない。

「うん、迷惑にならないように聞いてみようかな。」

星に関わること以外、正直そんなに話してはいないけど、望遠鏡をのぞきながら見た物は、僕だって少しは覚えている。元々少し頭に残っていたものでもあるのだけど、それでも彼女の言葉で覚えていることも有るのだ。
だから、星の事もそうできるようになればいいよねと、そんな事を考える。
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