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「いいの。」
彼女の提案は、正直僕にとってうれしいものではある。そもそも自分一人で星を探すのはもちろん大変だし。天体望遠鏡も、カメラもな。写真自体は、印刷さえ考えなければ、それこそスマートフォンの中にフォルダ分けして、アルバムにしたっていいけど、そもそもそうするためには、めぼしい星をおさめなきゃいけないわけで。
「うん。私は、まぁ、なんだろう。活動報告になっちゃうし。」
そういって彼女は苦笑いをしてみせる。
確かに、アルバムと言えば個人の趣味に聞こえる。しかし彼女が星の写真を撮って、それにメモを付けて、記録に残せばそれは活動記録と呼んでいいものになるだろう。
「そっか。じゃ、僕が二冊作ろうか。」
ただ、だからと言って、彼女に手伝ってもらってそれでおしまいというのもあれだから、僕はそんなことを言う。
きっと彼女が祖母の話を聞いて羨ましいと、そう思ったのは皆で活動したのもそうだろうし、今でも、ずいぶん昔の物だというのに、今でも保存している、そんな大切なものが残っていることもだろうから。
「えっと、いいのかな。」
「僕と、キミで、一冊づつ。」
「面倒じゃない、同じ内容を。」
「同じ内容だけど、僕の物と、キミの物、違うものだし。」
「そっか。」
そう。僕は自分のアルバム、彼女も彼女のアルバム。中身は同じでも、よく似ていて、そっくりに見えても、きっとそれは何か違うのだから。
「それに、手伝ってもらって、何もしないって言うのは。多分、道具も借りるし。」
「えっと、うん。それはそうだと思うけど。でも、お世話になってるし。」
「それは祖父母。僕じゃない。」
そう、彼女に既に何かしているのは祖父母で、僕じゃない。
「君が、それでいいなら。」
「よくなきゃ言わないよ。」
「うん、キミは、そうだよね。」
そういって彼女が笑う。
「本当に、キミでよかった。」
「そっかな。」
「そうだよ。」
何がよかったのかはよく分からないけど、まぁ彼女がよかったのならよかったのだろう。
すっかり機嫌も良くなったようだし、僕は例によってギターを鳴らしながら彼女と話す。
「一応、星座としては覚えてるけど。」
「うん。」
「春と夏で、ガラッと変わるんだよね。」
そう、季節によっては見えない星も、それが変われば見えるようになって。
見えなかったものが見えるようにもなる。
「北の方にあるのは残るけど、そうだね。公転の影響があるから。」
「お勧めって、何かある。」
「それこそ、夏の大三角形とかかな。後は、春は見えないけど天の川、私たちの言る銀河の腕の部分とか。」
「うーん。」
正直あまり心惹かれない。
特に、こう、心惹かれる逸話とか知らないし。
「えっと、そっか。そうだよね、星座とかの方が好きなんだよね。」
「記憶に残ってるのはそうだけど。そういえば、なんで大三角形なんて呼ばれてるの。」
「その、諸説あってね。」
そして、僕はまた失敗したなと、そう思ってしまう。とりあえず、分かったこと、何とか頭に残ったこととしてはもともとアルタイルは二等星とされていたとか、それこそ1000年にわたって、参考書とされた本があったとか、どうにかそのあたりは頭に残った。
とにかく、よく知らない固有名詞は頭にそう簡単に残ってくれないのだ。
「えっと、それだと、七夕伝説って。」
「うーん、観測方法や位置にもよるから。天の川を挟んで特に明るい星って、そう考えたらその二つ、なのかなぁ。でも、ベガ以外は星図で示すと天の川の中にあるんだよね。」
「あ、そうなんだ。」
「うん。デネブみたいにほとんど真ん中にあるわけじゃないけど。」
「へー。」
それにしても、そういった実際の星に加えてあれこれと、本当に彼女はよく覚えている。
それに感心しながらも、話を変える。
「えっと、夏にも、銀河とか、星雲と見れるんだよね。」
「見れるよ。有名なのだと、アンドロメダ銀河とか。」
その言葉に、僕は思わず首をかしげる。
「あれ、星座じゃなったっけ。確か48個ある中の一つだった気がするけど。」
僕の記憶では、それは星座の名前だ。
「うん、さっき話したアルマゲストの中にあるトレミー48星座の一つだね。
1000年以前に既に星とは違うっていう風に、観測された記憶があるくらい近い場所にある銀河で、肉眼でも見えるんだよ。」
「え、そうなの。」
それはなんだかおもしろそうだと思う反面、こう、もしはっきりと見えるのであれば、祖母が既に僕に教えてくれている気がする。
弾んだ声が出て、彼女も気が付いたのだろう、慌てて訂正をしてくる。
「その、ほらさっきも言ったけど、星とは違う、その程度にしか見えないからね、昔の、街灯もない時代で。」
「そっか。」
「えっとね、こう、双眼鏡で覗いても、ぼんやりとした白い煙みたいなのに見えるし。」
「えー。」
なんというか、それは、がっかりだ。
いや、難しいのは知っているんだけど。別の銀河、そんな物冗談みたいにとういう位置にあることくらいはわかるし。
「あ、大丈夫、私の望遠鏡使えば、少しくらいは見えるから。それに、えっと前にも言ったと思うけど写真に撮って、加工すれば色々見えるようになるし。」
そうして、彼女と色々話して、ギターを弾きながら。
静かな夜に、賑やかな二人で。
これまで縁側で聞こえていたような、耳を傾けていたような、葉のこすれる音、枝の鳴る音、虫の鳴き声、それが少し遠くに聞こえるくらいに賑やかな二人で、少し夜の時間を共有すれば、僕は先に戻る。
アルバムを作る時、その時は、僕も一日二日くらい、こうして彼女と夜を過ごすのも悪くないかもしれないなと、そんな事を考えながら。
彼女の提案は、正直僕にとってうれしいものではある。そもそも自分一人で星を探すのはもちろん大変だし。天体望遠鏡も、カメラもな。写真自体は、印刷さえ考えなければ、それこそスマートフォンの中にフォルダ分けして、アルバムにしたっていいけど、そもそもそうするためには、めぼしい星をおさめなきゃいけないわけで。
「うん。私は、まぁ、なんだろう。活動報告になっちゃうし。」
そういって彼女は苦笑いをしてみせる。
確かに、アルバムと言えば個人の趣味に聞こえる。しかし彼女が星の写真を撮って、それにメモを付けて、記録に残せばそれは活動記録と呼んでいいものになるだろう。
「そっか。じゃ、僕が二冊作ろうか。」
ただ、だからと言って、彼女に手伝ってもらってそれでおしまいというのもあれだから、僕はそんなことを言う。
きっと彼女が祖母の話を聞いて羨ましいと、そう思ったのは皆で活動したのもそうだろうし、今でも、ずいぶん昔の物だというのに、今でも保存している、そんな大切なものが残っていることもだろうから。
「えっと、いいのかな。」
「僕と、キミで、一冊づつ。」
「面倒じゃない、同じ内容を。」
「同じ内容だけど、僕の物と、キミの物、違うものだし。」
「そっか。」
そう。僕は自分のアルバム、彼女も彼女のアルバム。中身は同じでも、よく似ていて、そっくりに見えても、きっとそれは何か違うのだから。
「それに、手伝ってもらって、何もしないって言うのは。多分、道具も借りるし。」
「えっと、うん。それはそうだと思うけど。でも、お世話になってるし。」
「それは祖父母。僕じゃない。」
そう、彼女に既に何かしているのは祖父母で、僕じゃない。
「君が、それでいいなら。」
「よくなきゃ言わないよ。」
「うん、キミは、そうだよね。」
そういって彼女が笑う。
「本当に、キミでよかった。」
「そっかな。」
「そうだよ。」
何がよかったのかはよく分からないけど、まぁ彼女がよかったのならよかったのだろう。
すっかり機嫌も良くなったようだし、僕は例によってギターを鳴らしながら彼女と話す。
「一応、星座としては覚えてるけど。」
「うん。」
「春と夏で、ガラッと変わるんだよね。」
そう、季節によっては見えない星も、それが変われば見えるようになって。
見えなかったものが見えるようにもなる。
「北の方にあるのは残るけど、そうだね。公転の影響があるから。」
「お勧めって、何かある。」
「それこそ、夏の大三角形とかかな。後は、春は見えないけど天の川、私たちの言る銀河の腕の部分とか。」
「うーん。」
正直あまり心惹かれない。
特に、こう、心惹かれる逸話とか知らないし。
「えっと、そっか。そうだよね、星座とかの方が好きなんだよね。」
「記憶に残ってるのはそうだけど。そういえば、なんで大三角形なんて呼ばれてるの。」
「その、諸説あってね。」
そして、僕はまた失敗したなと、そう思ってしまう。とりあえず、分かったこと、何とか頭に残ったこととしてはもともとアルタイルは二等星とされていたとか、それこそ1000年にわたって、参考書とされた本があったとか、どうにかそのあたりは頭に残った。
とにかく、よく知らない固有名詞は頭にそう簡単に残ってくれないのだ。
「えっと、それだと、七夕伝説って。」
「うーん、観測方法や位置にもよるから。天の川を挟んで特に明るい星って、そう考えたらその二つ、なのかなぁ。でも、ベガ以外は星図で示すと天の川の中にあるんだよね。」
「あ、そうなんだ。」
「うん。デネブみたいにほとんど真ん中にあるわけじゃないけど。」
「へー。」
それにしても、そういった実際の星に加えてあれこれと、本当に彼女はよく覚えている。
それに感心しながらも、話を変える。
「えっと、夏にも、銀河とか、星雲と見れるんだよね。」
「見れるよ。有名なのだと、アンドロメダ銀河とか。」
その言葉に、僕は思わず首をかしげる。
「あれ、星座じゃなったっけ。確か48個ある中の一つだった気がするけど。」
僕の記憶では、それは星座の名前だ。
「うん、さっき話したアルマゲストの中にあるトレミー48星座の一つだね。
1000年以前に既に星とは違うっていう風に、観測された記憶があるくらい近い場所にある銀河で、肉眼でも見えるんだよ。」
「え、そうなの。」
それはなんだかおもしろそうだと思う反面、こう、もしはっきりと見えるのであれば、祖母が既に僕に教えてくれている気がする。
弾んだ声が出て、彼女も気が付いたのだろう、慌てて訂正をしてくる。
「その、ほらさっきも言ったけど、星とは違う、その程度にしか見えないからね、昔の、街灯もない時代で。」
「そっか。」
「えっとね、こう、双眼鏡で覗いても、ぼんやりとした白い煙みたいなのに見えるし。」
「えー。」
なんというか、それは、がっかりだ。
いや、難しいのは知っているんだけど。別の銀河、そんな物冗談みたいにとういう位置にあることくらいはわかるし。
「あ、大丈夫、私の望遠鏡使えば、少しくらいは見えるから。それに、えっと前にも言ったと思うけど写真に撮って、加工すれば色々見えるようになるし。」
そうして、彼女と色々話して、ギターを弾きながら。
静かな夜に、賑やかな二人で。
これまで縁側で聞こえていたような、耳を傾けていたような、葉のこすれる音、枝の鳴る音、虫の鳴き声、それが少し遠くに聞こえるくらいに賑やかな二人で、少し夜の時間を共有すれば、僕は先に戻る。
アルバムを作る時、その時は、僕も一日二日くらい、こうして彼女と夜を過ごすのも悪くないかもしれないなと、そんな事を考えながら。
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