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「おはよ。」
今回こちらに来てから、どうにも少々夜が遅くなりがちだ。
こうしていつもの時間に目は覚めるけど、何となく眠さが残る。
それでもと、僕は祖父に並んで、こうして鉢植えの前に立つのだけど。
「疲れているようだな。」
「いや、眠いだけ。」
「今日は迎えに行かないのか。」
そう言われて、思わず首を捻る。
「昨日、迎えに行っただろう。」
「案内する必要もないし、良いんじゃない。」
そう応えて、なんだかんだと荷物が多い彼女を思い出すと、一応様子を見に行ったほうが良いかと思い至る。
昨日も僕は少ししか食べんかったお弁当の容器とかもあるし。
「うん、ちょっと様子見に行くよ。」
それに、祖父がこういうからにはまだ戻っていないのだろう。
無事に彼女が戻らなければ、やはり祖父母は心配するだろうから、様子を見に行くことに決める。それに何となくだけれど。昨日と同じように、夜と同じように。彼女はあそこで僕を待っている、そんな気もするから。
「そうか。」
「うん。」
そして、一応切りのいいところまでと、鉢植えに向かう。すっかりおなじみになった背の低い山を見れば、白く薄い靄が煙のように立ち上っている。
そして、その向こう側から朝日がさしてきている。低い位置の空は、此処が盆地のようになっているから見えないけれど、朝焼けの空がきれいで、薄く、細い雲が良く映えている。
こうして日が差し始めたら彼女はきっと片づけを始めるのだろう。だから、それが終わるまで。その時間くらいはと、僕は自分の鉢植えを見ながら、石を少し並び変えたり、苔を削ったり草を植えたり抜いたり。
いつものように、特に何もしゃべらず祖父と並んで手入れを行う。
「じゃ、そろそろ行くよ。」
「ああ、足元に気を付けてな。」
「うん。」
ある程度良しと、そうなったところで僕は一度作業を止めて、彼女を迎えに行くことにする。
なんというか、此処で彼女を優先しようと、そうしないあたりが僕らしさだよね、そんな事を考えながら簡単に着替えて山道を登れば、昨日と同じように彼女が切り株に座ってこちらを見ていた。
「おはよ。」
「うん、おはよ。」
「待ってなくても、良かったのに。」
切り株に座る彼女はすっかりと片づけを終えて、もう後は山を下りるだけ、そんな様子になっている。
山というほどの高さがあるわけでもないし、片道は20分ほど。ゆっくり歩いても30分あれば祖父母の家につく。
確かに山に登るための道と、祖父母の家は山を下りて直ぐに見える、そんな位置にあるわけではない。だから最初は案内を買って出たことも有るが、彼女は昨日、僕にとっては昨日だけど彼女は今日とそう考えてるかもしれないけど、一人でここまで登ってきたのだから、一人で戻れないという事もないだろう。
「なんとなく、かな。キミが来るかもって思ったから。」
「祖父に聞かれなかったら来なかったかも。」
「なにそれ。」
「今日は迎えに行かなくてもいいのかって、そう聞かれて、来ようかなって。」
さて、祖父にそう聞かれなったら僕は彼女の事を思い出して、ここに来ただろうか。
聞かれてしまって、ここに来た以上、それがどうなったかは分からないけど。
「えー。」
「いや、僕だって朝は忙しいから。」
正直こうして出て来るには着替えもあるし、髪を纏める手間もかかる。そして、なんだかんだとこの往復だって時間はかかるのだ。
「そっか、そうだよね。それじゃ、ありがとう、かな。」
「明日は、言われなくても来るよ。」
そう言いながら、望遠鏡以外の荷物を持つ。
そうすれば、彼女は大きなケースを抱えるようにして持って、並んで歩くほどの幅は無いから、前後に並んで。
僕は後ろからついてくる彼女に、言葉をかける。
「えっと、やっぱり一人だと、来にくいかな。」
「うん、その、流石に。」
こうして迎えに来る間に、ひょっとしてとそう思いついたことを彼女に尋ねる。
「そっか。」
「良い人だっていうのはもうわかったし。」
「うん。」
「だからこそ、って言ったらいいのかな。」
「気にしないでって、僕がいのはおかしいけど。まぁ、うん。迎えに来るよ。」
祖父はだから僕を促したのだろう。
実際僕は夜、彼女にとってはだいぶ早い時間、帰ってしまった。
実際に彼女がどれだけの時間片付けが終わってから、うちに来ようかと、そんな事を悩みながら、もしかしたらと期待をして。
そんな時間をどれだけ過ごしていたのかは分からない。
だから、というだけでもないけど。それならせめて片方だけは、どうにかしてあげたい。
「時間は、まぁ、このくらいになると思うけど。」
「早起きだよね。」
「そうかな。両親もこのくらいだよ。えっと、まぁ、夜付き合える日、うん今回は無いけど。
それでも、朝、こうしてキミを迎えに来るよ。」
「今回は、なんだ。」
「夏は、一日か二日なら大丈夫かなって。夜遅くとか、明け方とか、それくらいが都合がいいことも有るだろうから。」
そう、彼女との話でそんなことも出ていた。そもそも星は動く。地球が動くから。だから時間によってまた見え方も違うのだろう。そんな中で色々と写真を撮って、その中から選ぶつもりではいるのだ。もう、既に。だから。
「夏も。ここで合えたらいいなって。手伝ってくれるっていてたし。
手伝ってくれなきゃ、アルバム作るのも大変そうだから。」
「名前も知らないのに。」
「じゃ、夏にあった時に自己紹介しよっか。」
そういった次への約束があってもいいかなと、そんな事を思う。
今回こちらに来てから、どうにも少々夜が遅くなりがちだ。
こうしていつもの時間に目は覚めるけど、何となく眠さが残る。
それでもと、僕は祖父に並んで、こうして鉢植えの前に立つのだけど。
「疲れているようだな。」
「いや、眠いだけ。」
「今日は迎えに行かないのか。」
そう言われて、思わず首を捻る。
「昨日、迎えに行っただろう。」
「案内する必要もないし、良いんじゃない。」
そう応えて、なんだかんだと荷物が多い彼女を思い出すと、一応様子を見に行ったほうが良いかと思い至る。
昨日も僕は少ししか食べんかったお弁当の容器とかもあるし。
「うん、ちょっと様子見に行くよ。」
それに、祖父がこういうからにはまだ戻っていないのだろう。
無事に彼女が戻らなければ、やはり祖父母は心配するだろうから、様子を見に行くことに決める。それに何となくだけれど。昨日と同じように、夜と同じように。彼女はあそこで僕を待っている、そんな気もするから。
「そうか。」
「うん。」
そして、一応切りのいいところまでと、鉢植えに向かう。すっかりおなじみになった背の低い山を見れば、白く薄い靄が煙のように立ち上っている。
そして、その向こう側から朝日がさしてきている。低い位置の空は、此処が盆地のようになっているから見えないけれど、朝焼けの空がきれいで、薄く、細い雲が良く映えている。
こうして日が差し始めたら彼女はきっと片づけを始めるのだろう。だから、それが終わるまで。その時間くらいはと、僕は自分の鉢植えを見ながら、石を少し並び変えたり、苔を削ったり草を植えたり抜いたり。
いつものように、特に何もしゃべらず祖父と並んで手入れを行う。
「じゃ、そろそろ行くよ。」
「ああ、足元に気を付けてな。」
「うん。」
ある程度良しと、そうなったところで僕は一度作業を止めて、彼女を迎えに行くことにする。
なんというか、此処で彼女を優先しようと、そうしないあたりが僕らしさだよね、そんな事を考えながら簡単に着替えて山道を登れば、昨日と同じように彼女が切り株に座ってこちらを見ていた。
「おはよ。」
「うん、おはよ。」
「待ってなくても、良かったのに。」
切り株に座る彼女はすっかりと片づけを終えて、もう後は山を下りるだけ、そんな様子になっている。
山というほどの高さがあるわけでもないし、片道は20分ほど。ゆっくり歩いても30分あれば祖父母の家につく。
確かに山に登るための道と、祖父母の家は山を下りて直ぐに見える、そんな位置にあるわけではない。だから最初は案内を買って出たことも有るが、彼女は昨日、僕にとっては昨日だけど彼女は今日とそう考えてるかもしれないけど、一人でここまで登ってきたのだから、一人で戻れないという事もないだろう。
「なんとなく、かな。キミが来るかもって思ったから。」
「祖父に聞かれなかったら来なかったかも。」
「なにそれ。」
「今日は迎えに行かなくてもいいのかって、そう聞かれて、来ようかなって。」
さて、祖父にそう聞かれなったら僕は彼女の事を思い出して、ここに来ただろうか。
聞かれてしまって、ここに来た以上、それがどうなったかは分からないけど。
「えー。」
「いや、僕だって朝は忙しいから。」
正直こうして出て来るには着替えもあるし、髪を纏める手間もかかる。そして、なんだかんだとこの往復だって時間はかかるのだ。
「そっか、そうだよね。それじゃ、ありがとう、かな。」
「明日は、言われなくても来るよ。」
そう言いながら、望遠鏡以外の荷物を持つ。
そうすれば、彼女は大きなケースを抱えるようにして持って、並んで歩くほどの幅は無いから、前後に並んで。
僕は後ろからついてくる彼女に、言葉をかける。
「えっと、やっぱり一人だと、来にくいかな。」
「うん、その、流石に。」
こうして迎えに来る間に、ひょっとしてとそう思いついたことを彼女に尋ねる。
「そっか。」
「良い人だっていうのはもうわかったし。」
「うん。」
「だからこそ、って言ったらいいのかな。」
「気にしないでって、僕がいのはおかしいけど。まぁ、うん。迎えに来るよ。」
祖父はだから僕を促したのだろう。
実際僕は夜、彼女にとってはだいぶ早い時間、帰ってしまった。
実際に彼女がどれだけの時間片付けが終わってから、うちに来ようかと、そんな事を悩みながら、もしかしたらと期待をして。
そんな時間をどれだけ過ごしていたのかは分からない。
だから、というだけでもないけど。それならせめて片方だけは、どうにかしてあげたい。
「時間は、まぁ、このくらいになると思うけど。」
「早起きだよね。」
「そうかな。両親もこのくらいだよ。えっと、まぁ、夜付き合える日、うん今回は無いけど。
それでも、朝、こうしてキミを迎えに来るよ。」
「今回は、なんだ。」
「夏は、一日か二日なら大丈夫かなって。夜遅くとか、明け方とか、それくらいが都合がいいことも有るだろうから。」
そう、彼女との話でそんなことも出ていた。そもそも星は動く。地球が動くから。だから時間によってまた見え方も違うのだろう。そんな中で色々と写真を撮って、その中から選ぶつもりではいるのだ。もう、既に。だから。
「夏も。ここで合えたらいいなって。手伝ってくれるっていてたし。
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「名前も知らないのに。」
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