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パウとオユキ 後
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オユキは、早々にパウの武器を奪った。
戦と武技の名を冠する舞台、それは事実ではある。
さらには、何やらこのパウにしても明確に勘違いなどをしている。他の者たちから言われたからか、それとも、ここ暫くはこの舞台にオユキが、トモエが立つ場面というのが続いたこともあるのかもしれない。
もしくは、直前の物に、両者ともに参加しなかったが問題が無く運用が出来たという結果故だろうか。
「確かに、特別何かを使ったという程ではありませんが」
オユキは今回、離れた場所を切るための武技を使ったわけでもない。
得物の長さ以上を切りつける、その様な事も行ってはいない。
周囲の者達からは、オユキの動く姿が、それなりに早く動いたとはいえきちんと目を追えたことだろう。
「なに、が」
「以前から、お伝えしていたかと思いますが」
そう、オユキというよりも、トモエがきちんとこうした歩法が存在するのだと伝えている。
相手の意識の外、ただただ自然にあるからこそ。警戒を人が行うには、やはり最低限行わなければならないと、考えるからこそ、その間隙を突く様に。
流派によって、まさに呼び名は様々。
オユキも、ようやく印状を手に入れているとはいえ、それでも流派の技として与えられた名前を口にする事は無く。ただ、それが現実だと、パウがようやくオユキを意識するように盾に手を添えて軽く押し込む。
即ち、お前が己の武器に気を取られている間に、オユキを意識から外してしまった結果として、此処まで近づくほどの時間をオユキに与えたのだと、ただ示す。
これまでは、出来だけどやらなかったのだぞと。
落とした手首から流れる血は、流れるというよりも、溢れるというよりも。それがパウの鼓動の勢いだと示すかのように、時に強く、時に弱く。
もう少しも時間を使えば、このまま激痛と共に意識を失う事だろう。
いや、そのような己の状況を認識して尚、ただオユキに視線を向けるパウの胆力のすばらしさは確かに見て取れるのかもしれない。
トモエであれば、そうした部分を評価するのだろう。
盾を構えられてしまえば、オユキでは流石に抜けはしない。
刺突の一つも放って、寧ろ相手が縦に身を隠すようにするというのであれば、視界を己でふさいでいると言う事になるため、やりようもある。
軽く押し込んでいた手、失血による意識の喪失が近づく感覚。
己が、己の足で立っているのか、それとも座っているのか、はたまた地に倒れ伏しているのか。
そうした感覚すらも、あいまいになる状況。
そして、外から、オユキの与えた力に対して咄嗟に何か反応をと考えて動くパウ。盾がずれ、己の致命的な怪我をオユキから遠ざける様に、パウが動く。
「出血があるのなら、それを使って相手の視界をふさぐ、それぐらいは行うと良いでしょう」
オユキから逃げるように、盾で庇うように体を回すパウ。
その様な真似をしてしまえば、どうなるのか。それを、オユキはただ示す。
「盾術、習ったはずでしょうに」
正解は、オユキの考える正解は。
何をおいても、オユキという圧倒的に体格に劣る相手を盾を持って弾き飛ばす事。
勿論、その選択肢が選べないように、まずは手首から切り落としたこともある。
だが、その状況というのは、オユキが全て思う儘に運べた結果に過ぎない。これが、トモエであればとまでは、流石にオユキも考えない。ローランですら、オユキにここまでを許しはしないだろう。
如何に戦と武技の加護を排するとはいえ、肉体の強度にはやはりある程度残るのだ。
精霊種、氷の乙女として己を大きく寄せている今のオユキでは、物質的な肉体による能力というのはそこらの幼子にでさえ下手をすれば劣る程度。こうして、加護を排した現状では、二刀を中段に構える事すらできはしない。どうにか、己の手の内に、自然にたらして、その掌の中に。
「良くない選択の結果が、私の考える失敗を選んだ結果がこれです」
そして、オユキは容赦なく刃を振るう。
オユキの靴には、今も仕事として身に付けている衣装に合わせているぽっくりには、流石に剣呑な物は仕込まれていない。そもそも、今となってはそのような物を仕込んでしまえば、己の力だけで歩くことが出来るかもわかりはしない。
その様な状況で、パウが、己の手と体を守るかのように、オユキから逃げるように回すからだ。その逆から、盾に守られぬ位置にオユキは己の体を入れて、次はとばかりに膝を狙う。
そう、本命は膝の破壊。だからこそ、陰打ちとして、首を、眼を狙う。
反射として、パウが動く。右に持った剣鉈を無造作に振るうオユキから逃れようと考え。しかし、先ほどの、今も間違いなく激痛を与え、己の内から生命が失われる感覚を与え続けているはずの失われた手首を想うからこそ。
これよりも先は無い、これ以上はとばかりに反射として動くだけ。だからこそ、オユキの本命の狙いは何か、そこに思考が及ばない。
印状を得るにあたって、やはりトモエに滾々と説かれたのは如何に相手を己の術理の内に取り込むのか。
生前から、流派の至上として聞かされていたことではある。
しかし、印可を持つからには、後進を代理といえど育てる許可を得るからには、体現できねばならぬのだと。そして、砕かれ、真打としてはなった太刀に依る一振りで深く膝上を切りつけられたことも手伝って、パウが改めて地面に沈む。
これで立ち上がるというのであれば、それを行う事は許さぬとばかりに首の後ろに刃を突き付けて。そして、改めて考えてみる。果たして、この己の振る舞いというのは八つ当たり以上の意味があるのかと。
確かに、オユキはもはやこちらに残る気が無い。
なんとなれば、定められている刻限よりもまだいくらかあるというのに、己の終わりを既に決めている。この少年たちは、この用意された場というのは、あくまで万が一にかけて少年たちに、こちらでトモエとオユキが最も長く時間を使った者たちに説得を行えと、そのように用意された場なのだ。
そうした流れを、勿論オユキは理解しているからこそ敵に対する物と振る舞った。
結果として、さらに己の内に降り積もる物が生まれて。
「そういえば、名乗りをあげていませんでしたか」
そして、そんなものを自覚しながらも少し距離の空いた先に視線を向ける。
そちらでは、トモエとしては聞いた話もある以上に、シグルドに対して真剣に向き合っている。
あの姿は、過去のオユキの残滓。そこから水と癒しに、こちらの世界の想像と創造が作った姿でもある。ならばこそ、トモエとしても思う所があるというのか。
「改派陰流印可、オユキ」
なおも動こうと、既に盾からは手を放し、残った手で武器を取ろうと動くその掌に向けて、剣鉈を投げて片をつける。これで、四肢の内三つは確実に奪った。ならば、早々に本人から終わりだと、これでもはや打つ手がないと宣言してほしいものだと、オユキはその様な事を考えながら。ただ、己の内にある空虚と、そこにある物にあらがう時間を過ごす。
本当に、この一月の間。
雷と輝きからの試練の形、戦と武技からこちらに来た時点から与えられていた試練の形。使命の形。
トモエとオユキが一応は選んだ、戦と武技に向けて、せめて一筋の傷でも与えてくれようと、そうした決意をしたことで与えるべき使命が決まった。
だからこそ、此処までの事になったのだと、戦と武技に対して届く刃を鍛え上げねばならぬからと実に多くの事を言われる羽目になったものだ。そして、その様な事を考えてしまったのだと、改めて気が付いて落ちこんだトモエ、どうにか気分を上向きにと奮闘するオユキ。
そして、その結果がこのありさまかと。
「既に、意識は朦朧としているかと思いますが」
さて、ここで完全に命を奪ってしまうというのももはや選択肢。
何かものを言う事があるのならばと、トモエとシグルドの間での決着を待った方がいいのかなどと考えていたものだが、それにしてももはや。
「何か、伝えたい事があったのでは、そのように今更考えてしまいます」
オユキにとっての大事は、もはやこちらの世界に来た時から変わらない。
何がここまでの間に変わったのか、現状を得るまでの疲労の中で、オユキの中で何が変わったのかといえば、最も大事と考える存在。それ以外に向ける物というのが、尽く失われている。対象が、変わってしまっている。
二度ほど足を運んだ氷の乙女の里、集落と呼べる程度の規模でしかなかったあの場での生活、合計したところで二週にも満たぬ期間であったというのに、オユキにとってはあまりにも心地よかった日々。それもあって、すっかりとオユキの心が傾いた。
結果として、ウニルのすぐそばに出張所というよりも、あまりにも環境の激変している一角が生まれる事になりもした。
もとより、トモエがオユキを評して引きこもりがちだという事もあり、己の好ましい環境に引きこもって。言ってしまえば、己の巣の内にこもって、ただただ体を休め、心を休めて、そのような事を本当に一時は考えていたものだ、オユキは。
「もはや、聞くことも叶わないでしょうが」
トモエが、シグルドの刃をわざと受けた。オユキには、そのように見えたから。
うっかりとという程ではなく、その結果に対して、力の入ったオユキの刃がそのままにパウの首を落とす。
出血が、そもそも残った血が足りなくなったからと言う事も無く、オユキの放ち続ける冷気に当てられて、凍り付いた結果として出血が止まっていたからこそ。最も、氷雪に耐えきれる種族でもなければ放っておけば凍傷どころではなく、生命すらを奪う程の環境を今のオユキは作るのだが。
「初めから、こちらで長く暮らすと考えていれば、もう一度きちんと全うするのだと考えることが出来ていたならば、このような結果とはならなかったのでしょうね」
それこそ、本来の流れとして。
オユキが、かつてから馴染んでいたトモエという形で。そして、トモエがこちらで暮らすためにと新たな形を作って。新たな形にしても、一体どのような姿になったのだろうか。こちらで、かつてのオユキの願いの形、憧れた形の一つとしてのトモエの姿。それに合わせた姿になったのだろうか。もしくは、今まさにオユキがあるような姿、それよりも成長したセツナの姿と瓜二つとなるのか。
「頼む方々も、揃っています。もう、良い時間でしょう」
戦と武技の名を冠する舞台、それは事実ではある。
さらには、何やらこのパウにしても明確に勘違いなどをしている。他の者たちから言われたからか、それとも、ここ暫くはこの舞台にオユキが、トモエが立つ場面というのが続いたこともあるのかもしれない。
もしくは、直前の物に、両者ともに参加しなかったが問題が無く運用が出来たという結果故だろうか。
「確かに、特別何かを使ったという程ではありませんが」
オユキは今回、離れた場所を切るための武技を使ったわけでもない。
得物の長さ以上を切りつける、その様な事も行ってはいない。
周囲の者達からは、オユキの動く姿が、それなりに早く動いたとはいえきちんと目を追えたことだろう。
「なに、が」
「以前から、お伝えしていたかと思いますが」
そう、オユキというよりも、トモエがきちんとこうした歩法が存在するのだと伝えている。
相手の意識の外、ただただ自然にあるからこそ。警戒を人が行うには、やはり最低限行わなければならないと、考えるからこそ、その間隙を突く様に。
流派によって、まさに呼び名は様々。
オユキも、ようやく印状を手に入れているとはいえ、それでも流派の技として与えられた名前を口にする事は無く。ただ、それが現実だと、パウがようやくオユキを意識するように盾に手を添えて軽く押し込む。
即ち、お前が己の武器に気を取られている間に、オユキを意識から外してしまった結果として、此処まで近づくほどの時間をオユキに与えたのだと、ただ示す。
これまでは、出来だけどやらなかったのだぞと。
落とした手首から流れる血は、流れるというよりも、溢れるというよりも。それがパウの鼓動の勢いだと示すかのように、時に強く、時に弱く。
もう少しも時間を使えば、このまま激痛と共に意識を失う事だろう。
いや、そのような己の状況を認識して尚、ただオユキに視線を向けるパウの胆力のすばらしさは確かに見て取れるのかもしれない。
トモエであれば、そうした部分を評価するのだろう。
盾を構えられてしまえば、オユキでは流石に抜けはしない。
刺突の一つも放って、寧ろ相手が縦に身を隠すようにするというのであれば、視界を己でふさいでいると言う事になるため、やりようもある。
軽く押し込んでいた手、失血による意識の喪失が近づく感覚。
己が、己の足で立っているのか、それとも座っているのか、はたまた地に倒れ伏しているのか。
そうした感覚すらも、あいまいになる状況。
そして、外から、オユキの与えた力に対して咄嗟に何か反応をと考えて動くパウ。盾がずれ、己の致命的な怪我をオユキから遠ざける様に、パウが動く。
「出血があるのなら、それを使って相手の視界をふさぐ、それぐらいは行うと良いでしょう」
オユキから逃げるように、盾で庇うように体を回すパウ。
その様な真似をしてしまえば、どうなるのか。それを、オユキはただ示す。
「盾術、習ったはずでしょうに」
正解は、オユキの考える正解は。
何をおいても、オユキという圧倒的に体格に劣る相手を盾を持って弾き飛ばす事。
勿論、その選択肢が選べないように、まずは手首から切り落としたこともある。
だが、その状況というのは、オユキが全て思う儘に運べた結果に過ぎない。これが、トモエであればとまでは、流石にオユキも考えない。ローランですら、オユキにここまでを許しはしないだろう。
如何に戦と武技の加護を排するとはいえ、肉体の強度にはやはりある程度残るのだ。
精霊種、氷の乙女として己を大きく寄せている今のオユキでは、物質的な肉体による能力というのはそこらの幼子にでさえ下手をすれば劣る程度。こうして、加護を排した現状では、二刀を中段に構える事すらできはしない。どうにか、己の手の内に、自然にたらして、その掌の中に。
「良くない選択の結果が、私の考える失敗を選んだ結果がこれです」
そして、オユキは容赦なく刃を振るう。
オユキの靴には、今も仕事として身に付けている衣装に合わせているぽっくりには、流石に剣呑な物は仕込まれていない。そもそも、今となってはそのような物を仕込んでしまえば、己の力だけで歩くことが出来るかもわかりはしない。
その様な状況で、パウが、己の手と体を守るかのように、オユキから逃げるように回すからだ。その逆から、盾に守られぬ位置にオユキは己の体を入れて、次はとばかりに膝を狙う。
そう、本命は膝の破壊。だからこそ、陰打ちとして、首を、眼を狙う。
反射として、パウが動く。右に持った剣鉈を無造作に振るうオユキから逃れようと考え。しかし、先ほどの、今も間違いなく激痛を与え、己の内から生命が失われる感覚を与え続けているはずの失われた手首を想うからこそ。
これよりも先は無い、これ以上はとばかりに反射として動くだけ。だからこそ、オユキの本命の狙いは何か、そこに思考が及ばない。
印状を得るにあたって、やはりトモエに滾々と説かれたのは如何に相手を己の術理の内に取り込むのか。
生前から、流派の至上として聞かされていたことではある。
しかし、印可を持つからには、後進を代理といえど育てる許可を得るからには、体現できねばならぬのだと。そして、砕かれ、真打としてはなった太刀に依る一振りで深く膝上を切りつけられたことも手伝って、パウが改めて地面に沈む。
これで立ち上がるというのであれば、それを行う事は許さぬとばかりに首の後ろに刃を突き付けて。そして、改めて考えてみる。果たして、この己の振る舞いというのは八つ当たり以上の意味があるのかと。
確かに、オユキはもはやこちらに残る気が無い。
なんとなれば、定められている刻限よりもまだいくらかあるというのに、己の終わりを既に決めている。この少年たちは、この用意された場というのは、あくまで万が一にかけて少年たちに、こちらでトモエとオユキが最も長く時間を使った者たちに説得を行えと、そのように用意された場なのだ。
そうした流れを、勿論オユキは理解しているからこそ敵に対する物と振る舞った。
結果として、さらに己の内に降り積もる物が生まれて。
「そういえば、名乗りをあげていませんでしたか」
そして、そんなものを自覚しながらも少し距離の空いた先に視線を向ける。
そちらでは、トモエとしては聞いた話もある以上に、シグルドに対して真剣に向き合っている。
あの姿は、過去のオユキの残滓。そこから水と癒しに、こちらの世界の想像と創造が作った姿でもある。ならばこそ、トモエとしても思う所があるというのか。
「改派陰流印可、オユキ」
なおも動こうと、既に盾からは手を放し、残った手で武器を取ろうと動くその掌に向けて、剣鉈を投げて片をつける。これで、四肢の内三つは確実に奪った。ならば、早々に本人から終わりだと、これでもはや打つ手がないと宣言してほしいものだと、オユキはその様な事を考えながら。ただ、己の内にある空虚と、そこにある物にあらがう時間を過ごす。
本当に、この一月の間。
雷と輝きからの試練の形、戦と武技からこちらに来た時点から与えられていた試練の形。使命の形。
トモエとオユキが一応は選んだ、戦と武技に向けて、せめて一筋の傷でも与えてくれようと、そうした決意をしたことで与えるべき使命が決まった。
だからこそ、此処までの事になったのだと、戦と武技に対して届く刃を鍛え上げねばならぬからと実に多くの事を言われる羽目になったものだ。そして、その様な事を考えてしまったのだと、改めて気が付いて落ちこんだトモエ、どうにか気分を上向きにと奮闘するオユキ。
そして、その結果がこのありさまかと。
「既に、意識は朦朧としているかと思いますが」
さて、ここで完全に命を奪ってしまうというのももはや選択肢。
何かものを言う事があるのならばと、トモエとシグルドの間での決着を待った方がいいのかなどと考えていたものだが、それにしてももはや。
「何か、伝えたい事があったのでは、そのように今更考えてしまいます」
オユキにとっての大事は、もはやこちらの世界に来た時から変わらない。
何がここまでの間に変わったのか、現状を得るまでの疲労の中で、オユキの中で何が変わったのかといえば、最も大事と考える存在。それ以外に向ける物というのが、尽く失われている。対象が、変わってしまっている。
二度ほど足を運んだ氷の乙女の里、集落と呼べる程度の規模でしかなかったあの場での生活、合計したところで二週にも満たぬ期間であったというのに、オユキにとってはあまりにも心地よかった日々。それもあって、すっかりとオユキの心が傾いた。
結果として、ウニルのすぐそばに出張所というよりも、あまりにも環境の激変している一角が生まれる事になりもした。
もとより、トモエがオユキを評して引きこもりがちだという事もあり、己の好ましい環境に引きこもって。言ってしまえば、己の巣の内にこもって、ただただ体を休め、心を休めて、そのような事を本当に一時は考えていたものだ、オユキは。
「もはや、聞くことも叶わないでしょうが」
トモエが、シグルドの刃をわざと受けた。オユキには、そのように見えたから。
うっかりとという程ではなく、その結果に対して、力の入ったオユキの刃がそのままにパウの首を落とす。
出血が、そもそも残った血が足りなくなったからと言う事も無く、オユキの放ち続ける冷気に当てられて、凍り付いた結果として出血が止まっていたからこそ。最も、氷雪に耐えきれる種族でもなければ放っておけば凍傷どころではなく、生命すらを奪う程の環境を今のオユキは作るのだが。
「初めから、こちらで長く暮らすと考えていれば、もう一度きちんと全うするのだと考えることが出来ていたならば、このような結果とはならなかったのでしょうね」
それこそ、本来の流れとして。
オユキが、かつてから馴染んでいたトモエという形で。そして、トモエがこちらで暮らすためにと新たな形を作って。新たな形にしても、一体どのような姿になったのだろうか。こちらで、かつてのオユキの願いの形、憧れた形の一つとしてのトモエの姿。それに合わせた姿になったのだろうか。もしくは、今まさにオユキがあるような姿、それよりも成長したセツナの姿と瓜二つとなるのか。
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