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13話 錬金術で料理

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「身体を動かしたらお腹が空いたね」

「あーそうだな」

昼になり休憩時間になった。
ツルハシを置いて、開拓作業を一度中断する。

開拓者達には、おにぎりが2個ずつ配られている。

「おにぎり2個かぁ……ちょっとお腹が空きそう」

シルフィが肩をがっくりと落とした。
明らかに残念がっている。

……あれ? このままでは少しまずいもでは?

シルフィが領内を回り終えたとき、満足度が低かったらジェラード卿に何て伝わるか分からない。
それでこの領地に未来はないと判断されれば、今後の資金援助にも関わってくる。

な、なんとかしなければ……!

「よし! じゃあ俺がもう一品作ろう!」

「えっ、そんな気にしなくてもいいよ!」

「いやいや、俺も少し足りないと思っていたところなんだ。甘いものを作らせてもらうよ」

「あ、甘いもの……」

シルフィは頬を少し緩めた。
ふふ、やはり女の子は甘いものに目がないようだな。
錬金術は料理にとても応用が効く。
その一例を見せるとしよう。

「サムさん、家畜に牛がいましたよね」

サムを呼び、問いかける。

「もちろんいますよ!」

「牛のミルクが欲しいんだ。用意できるかな?」

「はい! ただいまお持ちします!」

そう言ってサムは走って、牛のミルクを取りに行ってくれた。

そして1Lほど牛のミルクを持ってきてくれた。

「……はぁ、はぁ、お持ちしました……!」

全速力でミルクを運んできてくれたサムは疲労困憊していた。
休憩時間なんだし、そんなに頑張らなくても……。

「ありがとうございます」

「いえ! お役に立てて光栄です!」

うーん……なぜかめちゃくちゃ慕われている。

「とりあえず作っていくか」

アイテムバッグを持ってきた俺は、グラニュー糖と砂糖を取り出す。
あとついでに卵も。

ポーションの味を整えるために調味料を色々と作ってきた。
そのため俺が所持している調味料の数は100を超えるだろう。

「まずは──っと」

ミルクの脂肪分を錬金術によって分離させ、バターを作成。

「わわっ、なんか出来上がったよ!?」

「これはバターだ」

「ええっ!? こんなに早く作れるものなの?」

「それが錬金術だな。でも驚くのはまだ早いぞ」


バターとミルクを混ぜ合わせ、砂糖で味を整える。
よし、生クリームが完成。

次に卵黄と砂糖を混ぜ合わせる。
それに生クリームと牛乳を合わせ、錬金術で熱する。


そこに俺特製のの素となるポーションを入れ、冷却すると──。

「アイスクリームの完成だ!」

器に粗雑にアイスクリームを盛り付けたが、これでも十分美味しそうだ。

シルフィの方を見ると、ポカーンと口を開けたまま呆然としていた。

「シルフィ? 大丈夫か?」

「……はっ! 私は一体何を見ていたのだろう。そうとね、あんな簡単に料理ができるわけ──」

「ほらアイスクリームが完成したから食べてみてくれないか?」

「あー! ちゃんと完成してるー!」

シルフィのテンションが高い。
喜んでくれたようで何よりだ。

「じゃ、じゃあこれ食べちゃうよ?」

「溶ける前に召し上がれ」

そう言うとシルフィは、はむっとアイスクリームを口に運んだ。

「ん~~! おいし~!」

幸せそうな顔でシルフィが言った。

ふぅ、危ない危ない。
これでシルフィも嫌な気分にならず、満足してくれるだろう。

領地の平和は保たれたようだ。
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