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「リサ嬢は王都に来てから魔法が使えるようになったということですか」
ジョンさんに聞かれ、私はうなづいた。正式にはリサではなく、【私】になってからだろう。でもそれは言わない。
「それまでは使えなかったということですね」
ジョンさんはそう言ってから考え込んでいる。
「何かあるのか?」
ジョンさんの様子を見て王子が聞くと、陛下もダン様も興味深げにこちらを見ていた。
「いえ、昔読んだ本に書かれていたのを思い出したのです。魔法は生まれた土地を離れると使えなくなると」
え?そうなの?そんな設定あるの?と、私は口には出さないが驚いた。そんなことマンガでは触れていなかった。
「ということは、リサは王都で生まれたってことか?」
王子が驚いたように私を見た。いや、見られても困るんだけど。リサの出自はマンガでは不明のままだ。生まれてすぐの状態で孤児院の玄関前に捨てられていた、と書かれていたのみのはず。
「いや・・・そんなこと・・・でも・・・」
ダン様が歯切れ悪く1人で自問自答している。
「ダン様が考えていることは・・・私も想像したことと同じと思います」
「やはり・・・そうか。でも」
「それしかございませんでしょう」
ダン様とジョンさんは2人でうなづき合っている。何を考えているのだろう。どうせ的外れなことと思うが。
「叔父上、何を考えているんですか」
「つまりこういうことだろう」
それまで静かにしていた陛下が話し出した。よく通る声である。やっぱり舞台役者って感じなんだよな。陛下にスポットライトが当たっている感じだ。堂々とした立ち姿である。迂闊にも一瞬見惚れてしまった。
「魔法は主に貴族が使えるとされていた。稀に平民でも使える者がいるが、先祖を辿れば貴族がいたという」
王子はうなづきながら聞いている。律儀に頭を上下するので人形のようにも見えてくる。思わず笑いそうになるが、場はやや緊張感に満ちているので堪える。
「ということを踏まえると、リサは貴族の娘。貴族の血を引いているということだ」
王子は納得したように大きくうなづき、私を見た。その目が輝いているように見えて、私はゾッとした。確かマンガでもリサと王子が出会った頃、リサを見て王子の目が輝くシーンがあった。庶民のリサの反応が面白くて興味が沸いたからだ。その後、リサと王子はどんどん親しくなっていく。しかしそれを良く思わない人たちがリサをいじめる。それでも負けない2人。と、マンガは続くのだ。
まさか王子が今私に興味を持ったわけではないよね。興味を持たれると私は不幸になるのだ。注意しなくちゃ。
「ではなんで、孤児院に・・・」
王子の疑問にダン様は神妙な顔つきで言った。
「世の中には祝福されない出産があるのです」
王子がショックを受けた顔をした。
「え?どういうこと・・・ですか・・・」
そんなにショックを受けるようなことだろうか。と、思ったが温室育ちの王子には理解を超えていたのかもしれない。ダン様は王子から目を逸らし、陛下は優しげな目つきで息子を見守る。ジョンさんは何も言わずただ立っている。
おかしな沈黙が流れた。誰も何も言わない。そんなことよりも私が驚いたのは、リサが貴族の血を引いているかもしれないと解釈されていることだ。
「子どもを育てずに捨てた貴族がいる、ということですか」
王子の声には怒気が含まれている。手は小刻みに震えているし、顔は赤くなっている。
「せっかく授かった命を捨てるような行為!決して許されることではありません!」
それはそうだろうけどさ。何か事情があったのかもしれないよ。王子があんまりに怒っているので、私は逆に冷静になっていた。身分というものがあれば、好き合っていても結婚できなかったり、授かった命を育てられないこともあるんだよ。いいことでないことは重々承知しているけどさ、それでもリサは成長しているんだから今はそれでいいじゃないの。
「せっかくシュバシコウが神からの遣いで子を運んできたというのに。どうして無駄にできるのでしょうか。シュバシコウが気の毒です」
この世界ではシュバシコウが運ぶというんだね。コウノトリではなくて。王子らしい上品な言い方だね。と、聞いていたのだが、陛下とダン様の様子がやや変だ。
「父上、シュバシコウはカンカラ山にいるのでしょう。私が行って謝ってきましょうか」
もしかしてだけど、王子は赤ちゃんは本当にトリが運んでくると思っている?それともこの世界では本当にトリが運ぶのかな?
「殿下、このジョンめがきちんと教育いたしますよ」
というジョンさんの目はどこか虚ろだった。あ、知らないんだ。王子教育の欠如だね。思わず生温かい目になってしまうのだった。
ジョンさんに聞かれ、私はうなづいた。正式にはリサではなく、【私】になってからだろう。でもそれは言わない。
「それまでは使えなかったということですね」
ジョンさんはそう言ってから考え込んでいる。
「何かあるのか?」
ジョンさんの様子を見て王子が聞くと、陛下もダン様も興味深げにこちらを見ていた。
「いえ、昔読んだ本に書かれていたのを思い出したのです。魔法は生まれた土地を離れると使えなくなると」
え?そうなの?そんな設定あるの?と、私は口には出さないが驚いた。そんなことマンガでは触れていなかった。
「ということは、リサは王都で生まれたってことか?」
王子が驚いたように私を見た。いや、見られても困るんだけど。リサの出自はマンガでは不明のままだ。生まれてすぐの状態で孤児院の玄関前に捨てられていた、と書かれていたのみのはず。
「いや・・・そんなこと・・・でも・・・」
ダン様が歯切れ悪く1人で自問自答している。
「ダン様が考えていることは・・・私も想像したことと同じと思います」
「やはり・・・そうか。でも」
「それしかございませんでしょう」
ダン様とジョンさんは2人でうなづき合っている。何を考えているのだろう。どうせ的外れなことと思うが。
「叔父上、何を考えているんですか」
「つまりこういうことだろう」
それまで静かにしていた陛下が話し出した。よく通る声である。やっぱり舞台役者って感じなんだよな。陛下にスポットライトが当たっている感じだ。堂々とした立ち姿である。迂闊にも一瞬見惚れてしまった。
「魔法は主に貴族が使えるとされていた。稀に平民でも使える者がいるが、先祖を辿れば貴族がいたという」
王子はうなづきながら聞いている。律儀に頭を上下するので人形のようにも見えてくる。思わず笑いそうになるが、場はやや緊張感に満ちているので堪える。
「ということを踏まえると、リサは貴族の娘。貴族の血を引いているということだ」
王子は納得したように大きくうなづき、私を見た。その目が輝いているように見えて、私はゾッとした。確かマンガでもリサと王子が出会った頃、リサを見て王子の目が輝くシーンがあった。庶民のリサの反応が面白くて興味が沸いたからだ。その後、リサと王子はどんどん親しくなっていく。しかしそれを良く思わない人たちがリサをいじめる。それでも負けない2人。と、マンガは続くのだ。
まさか王子が今私に興味を持ったわけではないよね。興味を持たれると私は不幸になるのだ。注意しなくちゃ。
「ではなんで、孤児院に・・・」
王子の疑問にダン様は神妙な顔つきで言った。
「世の中には祝福されない出産があるのです」
王子がショックを受けた顔をした。
「え?どういうこと・・・ですか・・・」
そんなにショックを受けるようなことだろうか。と、思ったが温室育ちの王子には理解を超えていたのかもしれない。ダン様は王子から目を逸らし、陛下は優しげな目つきで息子を見守る。ジョンさんは何も言わずただ立っている。
おかしな沈黙が流れた。誰も何も言わない。そんなことよりも私が驚いたのは、リサが貴族の血を引いているかもしれないと解釈されていることだ。
「子どもを育てずに捨てた貴族がいる、ということですか」
王子の声には怒気が含まれている。手は小刻みに震えているし、顔は赤くなっている。
「せっかく授かった命を捨てるような行為!決して許されることではありません!」
それはそうだろうけどさ。何か事情があったのかもしれないよ。王子があんまりに怒っているので、私は逆に冷静になっていた。身分というものがあれば、好き合っていても結婚できなかったり、授かった命を育てられないこともあるんだよ。いいことでないことは重々承知しているけどさ、それでもリサは成長しているんだから今はそれでいいじゃないの。
「せっかくシュバシコウが神からの遣いで子を運んできたというのに。どうして無駄にできるのでしょうか。シュバシコウが気の毒です」
この世界ではシュバシコウが運ぶというんだね。コウノトリではなくて。王子らしい上品な言い方だね。と、聞いていたのだが、陛下とダン様の様子がやや変だ。
「父上、シュバシコウはカンカラ山にいるのでしょう。私が行って謝ってきましょうか」
もしかしてだけど、王子は赤ちゃんは本当にトリが運んでくると思っている?それともこの世界では本当にトリが運ぶのかな?
「殿下、このジョンめがきちんと教育いたしますよ」
というジョンさんの目はどこか虚ろだった。あ、知らないんだ。王子教育の欠如だね。思わず生温かい目になってしまうのだった。
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