ここは少女マンガの世界みたいだけど、そんなこと知ったこっちゃない

ゆーぞー

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「忘れていましたよ、あなたが規格外ということを」

 そんな言い方しなくてもいいんじゃない?ダン様の言葉に少々傷ついた。結局ダン様の圧に負けて私は全てを話すことになってしまったのだ。だって怖かったんですもの。乙女の私には耐えられませんでしたわ。(笑)

 しかし、私が正解を話してしまったら研究しているノートンは面白くないんじゃないか。だって見ただけでわかってしまうのだ。それはいわばカンニングみたいなもの。努力も何もしていないのだ。恐る恐るだノートンを見ると、彼からは熱い視線を向けられてしまった。

「この魔獣の年齢は?オスですか、メスですか。何を食べますか。夜行性ですか。寝る時はどうやって?子どもは産みますか。何匹くらいですか」

 と、いちいち質問される。それについては書かれていないなと思って見ると、答えが増えていくのだ。おかげで答えられないことがない。ノートンは目をキラキラさせてなおも聞いてくる。本当に魔獣が好きなのだな。その熱意に負け私は質問に答えていく。
 
「魔獣のことがわかると便利だな」

 一緒に聞いていたマジフカが感心したように何度もうなづきながら言った。彼は今までよくわからないままやみくもに攻撃して魔獣を倒してきたそうだ。いかにも強そうな体つきだが、よく見るとあちこちに傷がある。魔獣と戦ってできた傷だそうだ。

「やるかやられるかの一騎打ちだ。こっちに命が残るんだ。傷なんてたいしたもんじゃねぇ」

 彼はそう言って笑う。周囲にいる冒険者たちも一様にうなづいている。彼は長く冒険者を続けてきた。彼以上に魔獣と戦った人はいないのだそうだ。傷の数だけ魔獣との戦いがある。彼の言葉に冒険者たちは聞き入り、感嘆の表情を見せている。彼は英雄なのだ。

「この魔獣は暗くなると大人しくなるみたいですね」

 それは猪のような魔獣だった。遠目で見ると毛布を丸めたようにも見える。きっと怖い魔獣なのだろうが、今は大人しく眠っている。

「マジか!」

 私の言葉にマジフカは目を見開き大声で言った。耳がキーンとなるくらいの大声だ。

「しっ! 静かに!」

 ノートンに注意されマジフカは口を押さえた。小柄なノートンに注意されて小さくなるマジフカは滑稽に見えた。

「魔獣が目を覚ましたらどうするんですか!」

 とりあえずはまだ寝ているみたいだが、目を覚まさないとも限らないので静かにしてもらったほうがいいだろう。私もそう言うと、マジフカはますます恐縮してしまったようだった。

「実は・・・早朝からこの魔獣と数時間戦ったことがある」

 マジフカはいかにその戦いが壮絶だったかを話してくれた。その時にできたという腕の傷も見せてくれる。しかし朝からではなく夕方行けばすぐに決着がついたはずだったのだ。それを知りマジフカはショックを受けたようだった。

「この魔獣は動きがゆっくりですが、水をかければ活発になるそうです」

 別の魔獣を見てそう説明すると、

「マジか!川で死闘を繰り広げた」

 と、またもやマジフカの体験が語られる。やはりそこでもマジフカは絶体絶命のピンチになり足を怪我したが、魔獣のほうが先に弱ってくれたとのこと。マジフカ、運がいいのか悪いのかわからないな。その後も魔獣を見ていくのだが。

「この魔獣は大人しい草食で・・・」
「誘き出そうと肉を投げつけたことが・・・」
「動くものを追いかける習性があり・・・」
「走って逃げたが一晩中追いかけられた・・・」

 マジフカ・・・逆のことばかりやってたのか。それでも怪我で済んでいたのなら、強くて運も良かったのだろう。気の毒ではあるが、その経験が必要だったのだ。

「無駄なやり方だったんだな」

 シュンとなって力無く呟くマジフカ。

「そんなことないですよ!」
「そうですよ、おやっさんの経験が我々を勇気づけてくれるんです」
「その傷は勲章ですよ」
「そうですよ!」

 ノートンも冒険者たちもマジフカを讃える。何も知らずにただ魔獣と向き合い戦ってきたのだ。やはり彼は英雄なのだ。

「魔獣について研究本をまとめて冒険者たちに配布しましょう。マジフカ、ノートン。頼みましたよ」

 ダン様は笑顔でそう言うと

「これで我が国も一歩前進しましたよ」

 と、私にも笑顔を向けたのだった。


 

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