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第30話 下鴨女子寮公式Webサイト
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武田氏を見送って美希は地下の食堂に降りていく。
ノートPCを開く由梨さんの周りに人が集まっていた。食堂のガラス戸を開けると皆の視線が向けられる。
「どうだった?」
新市さんの問いかけに、炭川さんの声が重なった。
「ちゃんと両想いだって確かめ合えた?」
「え、は、はい。あの……こうなるって予想されてたんですか?」
「あったりまえじゃん!」と炭川さんが大きな声を上げ、他の皆も「そりゃそうだよ」「いつくっつくのかと思ってた」「もどかしいなあって思って見てたよ」と笑いあう。
美希は頭を下げた。
「だから寮に武田さんを呼び出してくださったんですね。ありがとうございます。」
まずは炭川さんが「いやー、漫画のいいネタになりそうだったからさー」と応じ、由梨さんが続ける。
「炭ちゃんが漫画にしたのを読むのもいいけど、みんな美希ちゃんの物語のハッピーな場面にリアルで立ち会いたかったのよ」
自分の母親は娘の幸せを望んでいない人だった。だけど、ここには私の幸せを喜んでくれる人がいる。
「今、こうして幸せな場面を迎えることができたのも皆さんのおかげです。ええと……今日武田さんを呼んで下さったことだけでなくて……」
美希は再び頭を下げた。
「私は、親からの評価だけで自分のことを見た目も性格も悪いんだと思い込んでいました。だけど、この寮で仲間として親切にされていく中で、私でも他人から好意を持ってもらえることがあるって自信を持てました。だから、武田さんのことも信じようって思えるようになれたんです」
「ありがとうございます」と繰り返す美希に、藤原さんが「律儀だねぇ」と返す。
由梨さんが微笑んでいた。
「そういうところが美希ちゃんのいいところよ」
金田さんは真面目な顔だ。
「私たちは特別なことしてないけどさ。でも、こういう寮があってみんなで支え合える場があって良かったってことだよね。今度、白河さんにお茶会に誘われたら美希ちゃんが感謝してたって伝えとく。きっとこの寮をつくって良かった、って白河さんも喜ぶと思うし」
お元気だけれど、白河さんもお歳だ。ご自分の人生を振り返ることも多いだろう。白河さんがこの女子寮に込めた願いは、美希たちに通じているのだと知ってもらいたい。
「私もそのお茶会に行きたいです。私からもこの寮をつくって下さったこと、母を説得して入寮させてくださったことに直接言お礼を言いたいですから」
炭川さんが自分のPCを広げていた。
「ねえねえ。それに加えて美希ちゃんのラブストーリーを漫画にして白河さんに渡すってのもよくない?」
「ああ、それもいいですね」
「それじゃあ、いろいろ話を聞かせて!」
筧さんが「事前に武田氏にも許可は取ろうね」とたしなめ、由梨さんも「美希ちゃん、何もかも言わなくていいのよ。恋人同士、他の人とはシェアしたくない話があって当然だもの」と言い添えてくれる。
「あ、はい。確かに言えないこともあると思うんですけど。でも、武田さんは寮にいる色んな個性の女性の皆さんとも親交を深めたいと言ってましたから、別に隠すことじゃなければ色々お話することはあると思います」
筧さんがそれでも念を押す。
「微妙ならちゃんと許可貰っておいてね」
美希は「はい」と答える。
由梨さんが「許可と言えば」と自分のPCの向きを変えて、美希に画面を見せてくれた。「ウチの寮のウェブサイト、来年度に向けて寮生を募集する文面に変えるのよ。それで在寮生のコメントを掲載するんだけど、美希ちゃんにお願いしてもいいかしら?」
「はい。私でよかったら是非」
「実名も掲載することになるけど……」
「署名記事ですね。むしろ喜んで書かせていただきます!」
──下鴨女子寮公式ウェブサイト
【京都の大学へ進学希望の皆さんへ】
京都で学びたいとお考えの皆さん。
中には、経済的・社会的に一人暮らしが難しい人もいらっしゃるのではないでしょうか。
京都市左京区の閑静な住宅街に下鴨女子寮があります。残念ながら個人のオーナーに出来ることには限界があるため大変オンボロではありますが、その分お金がかかりません。お家賃はなんと月五千円。食事は朝夕で一日七百円です。
魅力はお安さだけではありません。
特定の大学の寮ではないので、多くの大学から色んな専門分野の学生が集います。また、年齢制限もありませんから、先輩後輩それに社会人(!)と色んな年代の人がいます。ダイバーシティあふれる環境は、とても刺激になるでしょう。
共同生活を煩わしいと感じる人もいるかもしれません。だけどこの寮ならではの良さもあります。
私たちはもう子どもでないのは確かなのですが……。とはいえ、思春期と名付けられた時期を卒業した覚えもないのに、社会に出るタイミングが目の前にちらつき、様々に思い悩むことも多いものです。
何になりたいのか。何になれるのか。それは社会の中でどう位置付けられるのか。自分の価値観が揺らぎ混乱することもあるでしょう。
私たちの困難をどう乗り越えていくのか。直接の解答をこの寮が用意できるわけではありません。だけど、この寮にいれば貴女は一人ではありません。苦しい時、辛い時、いつも寄り添ってくれる仲間がいます。
特別なやりとりがなくても、朝起きて夜寝るまで「おはよう」「おやすみ」という挨拶を交わす仲間がいる生活は孤独な気持ちを癒してくれます。また、外の世界で悔しい思いをしたとき、一緒に憤慨してくれる味方がいるのはとても心強いものです。
受験が終わって、大人になる手前の一人暮らしを検討している皆さん。
この下鴨女子寮は大学での学びや人間関係の在り方を共有しながら過ごせる場所です。
進学にあたって、ぜひ選択肢としてお考え下さいね。皆さまの入寮を心からお待ちしています。
下鴨女子寮寮生一同
【在寮生の声】
受験生の皆さん。もう少しで桜の季節を迎えますね。
自分が入学したての頃を振り返ると、十八年間親の元で過ごしていた私は、視野が狭く、自分の個性や可能性についてネガティブな思い込みが強すぎたように思います。
この下鴨女子寮で暮らすことで、人生経験もバックグラウンドも様々な寮生たちと、今まで育ってきた環境で辛かったことや大学の人間関係で悲しかったことをシェアすることができました。孤独に陥らずに、自分の良さを再発見し、将来に向けて前向きになれたのはこの寮の仲間のおかげです。
そして、自分がしてもらったことを、今度は誰かにしてあげられたらいいなあと思っています。
皆さんが志望校に合格し、この寮に来られたら、心から歓迎のご挨拶をしたいと思います。
京都市左京区下鴨女子寮へようこそ。親が毒でも彼氏がクソでも仲間がいれば大丈夫!
西都大学法学部二回生 北村美希
ノートPCを開く由梨さんの周りに人が集まっていた。食堂のガラス戸を開けると皆の視線が向けられる。
「どうだった?」
新市さんの問いかけに、炭川さんの声が重なった。
「ちゃんと両想いだって確かめ合えた?」
「え、は、はい。あの……こうなるって予想されてたんですか?」
「あったりまえじゃん!」と炭川さんが大きな声を上げ、他の皆も「そりゃそうだよ」「いつくっつくのかと思ってた」「もどかしいなあって思って見てたよ」と笑いあう。
美希は頭を下げた。
「だから寮に武田さんを呼び出してくださったんですね。ありがとうございます。」
まずは炭川さんが「いやー、漫画のいいネタになりそうだったからさー」と応じ、由梨さんが続ける。
「炭ちゃんが漫画にしたのを読むのもいいけど、みんな美希ちゃんの物語のハッピーな場面にリアルで立ち会いたかったのよ」
自分の母親は娘の幸せを望んでいない人だった。だけど、ここには私の幸せを喜んでくれる人がいる。
「今、こうして幸せな場面を迎えることができたのも皆さんのおかげです。ええと……今日武田さんを呼んで下さったことだけでなくて……」
美希は再び頭を下げた。
「私は、親からの評価だけで自分のことを見た目も性格も悪いんだと思い込んでいました。だけど、この寮で仲間として親切にされていく中で、私でも他人から好意を持ってもらえることがあるって自信を持てました。だから、武田さんのことも信じようって思えるようになれたんです」
「ありがとうございます」と繰り返す美希に、藤原さんが「律儀だねぇ」と返す。
由梨さんが微笑んでいた。
「そういうところが美希ちゃんのいいところよ」
金田さんは真面目な顔だ。
「私たちは特別なことしてないけどさ。でも、こういう寮があってみんなで支え合える場があって良かったってことだよね。今度、白河さんにお茶会に誘われたら美希ちゃんが感謝してたって伝えとく。きっとこの寮をつくって良かった、って白河さんも喜ぶと思うし」
お元気だけれど、白河さんもお歳だ。ご自分の人生を振り返ることも多いだろう。白河さんがこの女子寮に込めた願いは、美希たちに通じているのだと知ってもらいたい。
「私もそのお茶会に行きたいです。私からもこの寮をつくって下さったこと、母を説得して入寮させてくださったことに直接言お礼を言いたいですから」
炭川さんが自分のPCを広げていた。
「ねえねえ。それに加えて美希ちゃんのラブストーリーを漫画にして白河さんに渡すってのもよくない?」
「ああ、それもいいですね」
「それじゃあ、いろいろ話を聞かせて!」
筧さんが「事前に武田氏にも許可は取ろうね」とたしなめ、由梨さんも「美希ちゃん、何もかも言わなくていいのよ。恋人同士、他の人とはシェアしたくない話があって当然だもの」と言い添えてくれる。
「あ、はい。確かに言えないこともあると思うんですけど。でも、武田さんは寮にいる色んな個性の女性の皆さんとも親交を深めたいと言ってましたから、別に隠すことじゃなければ色々お話することはあると思います」
筧さんがそれでも念を押す。
「微妙ならちゃんと許可貰っておいてね」
美希は「はい」と答える。
由梨さんが「許可と言えば」と自分のPCの向きを変えて、美希に画面を見せてくれた。「ウチの寮のウェブサイト、来年度に向けて寮生を募集する文面に変えるのよ。それで在寮生のコメントを掲載するんだけど、美希ちゃんにお願いしてもいいかしら?」
「はい。私でよかったら是非」
「実名も掲載することになるけど……」
「署名記事ですね。むしろ喜んで書かせていただきます!」
──下鴨女子寮公式ウェブサイト
【京都の大学へ進学希望の皆さんへ】
京都で学びたいとお考えの皆さん。
中には、経済的・社会的に一人暮らしが難しい人もいらっしゃるのではないでしょうか。
京都市左京区の閑静な住宅街に下鴨女子寮があります。残念ながら個人のオーナーに出来ることには限界があるため大変オンボロではありますが、その分お金がかかりません。お家賃はなんと月五千円。食事は朝夕で一日七百円です。
魅力はお安さだけではありません。
特定の大学の寮ではないので、多くの大学から色んな専門分野の学生が集います。また、年齢制限もありませんから、先輩後輩それに社会人(!)と色んな年代の人がいます。ダイバーシティあふれる環境は、とても刺激になるでしょう。
共同生活を煩わしいと感じる人もいるかもしれません。だけどこの寮ならではの良さもあります。
私たちはもう子どもでないのは確かなのですが……。とはいえ、思春期と名付けられた時期を卒業した覚えもないのに、社会に出るタイミングが目の前にちらつき、様々に思い悩むことも多いものです。
何になりたいのか。何になれるのか。それは社会の中でどう位置付けられるのか。自分の価値観が揺らぎ混乱することもあるでしょう。
私たちの困難をどう乗り越えていくのか。直接の解答をこの寮が用意できるわけではありません。だけど、この寮にいれば貴女は一人ではありません。苦しい時、辛い時、いつも寄り添ってくれる仲間がいます。
特別なやりとりがなくても、朝起きて夜寝るまで「おはよう」「おやすみ」という挨拶を交わす仲間がいる生活は孤独な気持ちを癒してくれます。また、外の世界で悔しい思いをしたとき、一緒に憤慨してくれる味方がいるのはとても心強いものです。
受験が終わって、大人になる手前の一人暮らしを検討している皆さん。
この下鴨女子寮は大学での学びや人間関係の在り方を共有しながら過ごせる場所です。
進学にあたって、ぜひ選択肢としてお考え下さいね。皆さまの入寮を心からお待ちしています。
下鴨女子寮寮生一同
【在寮生の声】
受験生の皆さん。もう少しで桜の季節を迎えますね。
自分が入学したての頃を振り返ると、十八年間親の元で過ごしていた私は、視野が狭く、自分の個性や可能性についてネガティブな思い込みが強すぎたように思います。
この下鴨女子寮で暮らすことで、人生経験もバックグラウンドも様々な寮生たちと、今まで育ってきた環境で辛かったことや大学の人間関係で悲しかったことをシェアすることができました。孤独に陥らずに、自分の良さを再発見し、将来に向けて前向きになれたのはこの寮の仲間のおかげです。
そして、自分がしてもらったことを、今度は誰かにしてあげられたらいいなあと思っています。
皆さんが志望校に合格し、この寮に来られたら、心から歓迎のご挨拶をしたいと思います。
京都市左京区下鴨女子寮へようこそ。親が毒でも彼氏がクソでも仲間がいれば大丈夫!
西都大学法学部二回生 北村美希
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