13 / 22
第13話 季節が変わる前に速報的にご紹介!『長安の春』
しおりを挟む
2023年はやたら春が早かったと感じます。
この文章を書いている4月の半ば。桜はとっくに散り、葉桜の時期さえ過ぎて、新緑に包まれています。
藤の花が近日中に見ごろを迎えようかという状態。
春が去ってしまう前に、『長安の春』というご本を急いでご紹介したいと思います。
というのも、今なら私の紹介する内容を皆さまがお読みになられて、ギリギリ植物園なりなんなりで実物を確認できるだろうと思うからです。
中華ファンタジーを書くにあたって、衣類や建物と並び、資料が欲しいと思っていたのが「植物」に関するもの。
白川紺子さんの『後宮の烏』では、庭園の植物の描写がとても詳しく美しく、ぐっと雰囲気が出ています。
ただ、白川紺子さんは別の書籍『下鴨アンティーク』でも植物描写が秀逸で……。もともと素養がある方のようです。
……となると、私などが植物を知るにはどうしたらいいものか。
いや、鷲生がが育った家も、生前は資産家だった祖父が建てたもので、小さいながらも日本庭園ぽい感じの庭もあり、比較的いろんな植木に接している方じゃないかと思いますが(祖父は私が生まれる前に亡くなりましたが、俳句を嗜む趣味人だったそうです)。
いかんせん家族が植物に興味がなく、庭の植木のどれが何という名前かあまり教えて貰えなかったんです……。
そもそも鷲生は神戸、京都、東京と人口百万人以上の都市部にしか住んだことがなく。
そんなこんなで、あまり植物に詳しくないまま、年を取ってしまいました……。
加えて。
手持ちの植物の知識が乏しい上に、さらにハードルとなる問題があります。
中華ファンタジーなんですから、登場させる植物だって「中華っぽい」ものでないと困るんですよw
鷲生は歴史ファンタジーにそれほど厳密な時代考証は必ずしも要るとは思わない方ですが、だからといって、中華世界にチューリップだのコスモスだのを登場させるわけにはいきませんw
じゃあ漢字名の植物だったら何でもいいかというと、これも一筋縄ではいかない……。
同じ漢字だけれど、中国と日本とで指している植物が違うとか。日本にしか生えていないとか。
字面だけ見て、「お、この植物名、中華ファンタジーに使えそう」と思って調べて見て頓挫したことが何度あったことか(溜息)。
そんな私にツイッターで情報が飛び込んできました。
「奈良文化財研究所 平城宮跡資料館_公式」アカウント様のつぶやきです(2023年3月29日 このツイートのURLは https://twitter.com/NABUNKEN_PR/status/1640861096444657669)。
「平城宮跡で春の訪れを真っ先に感じられるのは、桜よりも落葉していた柳が芽吹きそよそよとし始める頃。
街路樹に柳が植えられた長安の都。平城京でも大路には柳が植えられたと考えられています」との文章に続いて「唐の都の樹木についてはこちらをご参照ください→」とリンクが張られています。
そのリンク先は「奈文研紀要」の今井晃樹という方の「唐の都の樹木」という文章です( https://repository.nabunken.go.jp/dspace/bitstream/11177/615/1/BA67898227_2007_010_011.pdf )。
この文章ももちろん参考になります!
そして、この文章の冒頭に挙げられているのが『長安の春』という本なのです。
この今井さんの文章の冒頭部分を引用しておきます。
「石田幹之助の名著『長安の春』の冒頭で著者は韋荘の詩からはじめて長安城の四季を一気に描いてみせる。この文章のなかで花木の描写が多いことに気づく。風景を描くには花や樹木は欠かせない要素となっているのである。」
これを読んで、鷲生は「こ・れ・だ!」と思いました。
定評ある情報源が見つかった!と、小躍りしましたよw
『名著』なだけあって、何度も同じ内容のものが形式を変えて出版されています。
っていうか、もともとは「昭和十六年」!に刊行されたものなんですよ。
昭和16年=1941年って戦前じゃないですか……。
著者の石田幹之助さんは東洋史学の学者さんで、1891年生まれで1974年になくなられたそうです。Wikipediaによれば芥川龍之介と友人だったとか。
某大手ネット書店で『長安の春』で検索すると、講談社学術文庫として出版されたものが出てきます(1979年)。1400円くらいです。
今、鷲生の手元にあるのは、自治体の図書館から借りて来た平凡社東洋文庫のものです(1967年)。
いやー、装丁がいかにも「ザ・昔の本」って感じです。ヨーロッパの古い図書室に並んでそうな重厚な雰囲気。多分販売時にはパラフィン紙でくるまれていたに違いありませんw
この『長安の春』は論文集(論文というよりはやや軽めの随筆かもしれません)であり、冒頭の論文が「長安の春」です。20ページくらいですけれど、長安の春に咲く植物が美麗な筆致で描かれています。
ここで最初の部分を引用します(速報的に急いでおりますので、ワープロソフトで呼び出しやすい漢字にしてあります)。
「立春の後約十五日、節は雨水《うすゐ》に入って菜の花が咲き、杏花が開き、李花が綻ぶ頃となつて花信の風も漸く暖く、啓蟄《けいちつ》に至って一候桃花、二候棣棠、三候薔薇、春分に及んで一候海棠、三候木蘭と、次口に種々《くさぐさ》の花木《くわぼく》が繚乱を競ふ時に至って帝城の春は日に酣《たけなわ》に」
「清明の節が過ぎ、桐の花が紫に匂い、(中略)麦の穂が青々と秀で、御溝《ぎょこう》の水には柳絮《りゅうじよ》が繽紛《ひんぷん》として雪のやうに舞ふ頃になると、時は穀雨の節に入って春は漸く老い……」
「柳の糸を撫でて薫風が爽かに吹き渡ると、牡丹の花が満都の春を占断して王者の如くに咲き誇り、(中略)、楝の花が甘く淀んだ懊ましい香ひを宵闇に漂はす頃に至って世は青葉若葉の季節となり、咽ぶやうな新緑の色が……」
「天を覆ふ槐樹や楡の並木には樹立の陰も日に濃やかに……(中略)。ここに長安の春は尽きて詩人は逝く春の詩を唱ひ惜春の賦を作る」
いろんな植物が登場しましたね! ここに出てきた植物は中華ファンタジーに登場させても全く問題ない……どころか、ぐっと世界観を中華にしてくれると思います!
文中の清明節は2023年の4月5日でした。今は桐の花が見ごろなんですね。
柳絮とは、他の中国関係の資料でも見かける言葉ですが、「柳の花が咲いた後、白い綿毛のある種子が散るさま。また、その種子。やなぎのわた。」(コトバンク・精選版 日本国語大辞典 )なのだそうです。
鷲生は長いこと京都の出町柳という場所に住んでいました。地名が示す通り柳の木が多いのですが、見た記憶がありません。この時期は新年度が始まって落ち着かない頃ですので見ても気が付かなかったのかもしれません。
今年はこの近辺に行くことがあったら気を付けてみたいと思います。
楝は、『枕草子』で清少納言に『をかし』と褒め称えられていたのでちょっと調べたことがあります。センダンだそうです(ただし香木の栴檀とは別物だそうです。Wikipedia「センダン」より)。
問題はこれらの植物を文字で知ったところで、実物をどこで見るかですねえ……。
以下は京都住まいの鷲生が思いつく場所です。もし京都に来られる機会があったときのご参考に。
まず、京都市内に京都府立植物園があります。
Wikipediaによれば日本初の公立植物園だそうで、敷地も広くいろんな植物が植わっています。
鷲生がたまたま見つけたものに、『京都府立植物園でみる源氏物語の植物』パンフレットがあります(https://www.pref.kyoto.jp/plant/1209797455564.html)。
平成19年現在のものらしいのですが、楝もあります。
近日中にこのリストを参考に見に行ってみたいと思います。
なお、京都府立植物園の敷地の北に「中国植物園」というエリアもあります。ただ、今年の秋に見つけて足を運んだものの、当時の鷲生にはあまりピンときませんでした。今なら何か分かることがあるかもしれないので、植物園に行ったらまた見てみます。
中国ではなく、日本の平安文学に登場する植物という括りでしたら、平安神宮の庭園に植えられています。入場券を買ってすぐのあたりです。
柳については、先述のとおり出町柳でしょうかね。
京阪電車の出町柳駅から西にある桝形商店街に「出町ふたば」という豆餅の名店があります。
東に行けば京都大学のキャンパスが広がり、その向こうには銀閣寺があります。
牡丹については園芸用に栽培されているので、どこかでご覧になる方も多いのではないでしょうか。
石田幹之助さんの「長安の春」でも、牡丹が人々の気持ちを湧き立たせた様子が描かれています。
この『長安の春』。実は鷲生は冒頭の「長安の春」というタイトルの論文しか読んでないんです……。
ただ、季節が過ぎ去る前に、この「長安の春」だけ速報的にご紹介しようと思って今回の記事を書きました。
いつも以上に乱文なのはどうかお許しを。
四月も半ばを過ぎてしまい、ちょっと遅くなりましたが、皆さまの「中華な植物探し」のお役に立てれば幸いです。
他の『長安の春』所収の論文タイトルについては以下の通りです(できるだけ正確に入力しているつもりですが、普段使わない漢字が多いので誤りもあるかと思います。ご興味がありましたら、ぜひこの本をお手に取って確認してくださいませ)。
「『胡旋舞』小考」「當壚の胡姫」「唐代風俗史抄」「唐史襍鈔」「唐史関係諸考補遺」「唐代燕飲小景」「唐代北支那に於ける一異俗」「無題二則」「唐代の婦人」「唐代図書雑記」「唐代雑事二則」「橄欖と葡萄」「西域の商胡、重価を以って寶物を求める話」「再び胡人採寶譚に就いて」「胡人買寶譚補遺」「隋唐時代に於けるイラン文化の支那流入」「長安盛夏小景」だそうです。
*****
なお。先日の3月25日には奈良文化財研究所近くの博物館でのイベントに行ってきました!
天平文化を紹介するイベントで、唐の七弦琴のコンサートもありました。
訪問記を書いておりますのでよろしければお読みいただければと思います。
「奈良へ古代へ中国へ! 平城宮歴史公園のイベントが熱かった! 前編」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647534553080/episodes/16817330654952208181
それから。楝が出て来たので平安モノの宣伝もw
昨年には平安ファンタジー小説を発表しております。
完結済みです! 是非お立ち寄りを!
「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/665799598
*****
2023年7月14日追記
中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の投稿を始めました!
是非お越し下さいませ!
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
この文章を書いている4月の半ば。桜はとっくに散り、葉桜の時期さえ過ぎて、新緑に包まれています。
藤の花が近日中に見ごろを迎えようかという状態。
春が去ってしまう前に、『長安の春』というご本を急いでご紹介したいと思います。
というのも、今なら私の紹介する内容を皆さまがお読みになられて、ギリギリ植物園なりなんなりで実物を確認できるだろうと思うからです。
中華ファンタジーを書くにあたって、衣類や建物と並び、資料が欲しいと思っていたのが「植物」に関するもの。
白川紺子さんの『後宮の烏』では、庭園の植物の描写がとても詳しく美しく、ぐっと雰囲気が出ています。
ただ、白川紺子さんは別の書籍『下鴨アンティーク』でも植物描写が秀逸で……。もともと素養がある方のようです。
……となると、私などが植物を知るにはどうしたらいいものか。
いや、鷲生がが育った家も、生前は資産家だった祖父が建てたもので、小さいながらも日本庭園ぽい感じの庭もあり、比較的いろんな植木に接している方じゃないかと思いますが(祖父は私が生まれる前に亡くなりましたが、俳句を嗜む趣味人だったそうです)。
いかんせん家族が植物に興味がなく、庭の植木のどれが何という名前かあまり教えて貰えなかったんです……。
そもそも鷲生は神戸、京都、東京と人口百万人以上の都市部にしか住んだことがなく。
そんなこんなで、あまり植物に詳しくないまま、年を取ってしまいました……。
加えて。
手持ちの植物の知識が乏しい上に、さらにハードルとなる問題があります。
中華ファンタジーなんですから、登場させる植物だって「中華っぽい」ものでないと困るんですよw
鷲生は歴史ファンタジーにそれほど厳密な時代考証は必ずしも要るとは思わない方ですが、だからといって、中華世界にチューリップだのコスモスだのを登場させるわけにはいきませんw
じゃあ漢字名の植物だったら何でもいいかというと、これも一筋縄ではいかない……。
同じ漢字だけれど、中国と日本とで指している植物が違うとか。日本にしか生えていないとか。
字面だけ見て、「お、この植物名、中華ファンタジーに使えそう」と思って調べて見て頓挫したことが何度あったことか(溜息)。
そんな私にツイッターで情報が飛び込んできました。
「奈良文化財研究所 平城宮跡資料館_公式」アカウント様のつぶやきです(2023年3月29日 このツイートのURLは https://twitter.com/NABUNKEN_PR/status/1640861096444657669)。
「平城宮跡で春の訪れを真っ先に感じられるのは、桜よりも落葉していた柳が芽吹きそよそよとし始める頃。
街路樹に柳が植えられた長安の都。平城京でも大路には柳が植えられたと考えられています」との文章に続いて「唐の都の樹木についてはこちらをご参照ください→」とリンクが張られています。
そのリンク先は「奈文研紀要」の今井晃樹という方の「唐の都の樹木」という文章です( https://repository.nabunken.go.jp/dspace/bitstream/11177/615/1/BA67898227_2007_010_011.pdf )。
この文章ももちろん参考になります!
そして、この文章の冒頭に挙げられているのが『長安の春』という本なのです。
この今井さんの文章の冒頭部分を引用しておきます。
「石田幹之助の名著『長安の春』の冒頭で著者は韋荘の詩からはじめて長安城の四季を一気に描いてみせる。この文章のなかで花木の描写が多いことに気づく。風景を描くには花や樹木は欠かせない要素となっているのである。」
これを読んで、鷲生は「こ・れ・だ!」と思いました。
定評ある情報源が見つかった!と、小躍りしましたよw
『名著』なだけあって、何度も同じ内容のものが形式を変えて出版されています。
っていうか、もともとは「昭和十六年」!に刊行されたものなんですよ。
昭和16年=1941年って戦前じゃないですか……。
著者の石田幹之助さんは東洋史学の学者さんで、1891年生まれで1974年になくなられたそうです。Wikipediaによれば芥川龍之介と友人だったとか。
某大手ネット書店で『長安の春』で検索すると、講談社学術文庫として出版されたものが出てきます(1979年)。1400円くらいです。
今、鷲生の手元にあるのは、自治体の図書館から借りて来た平凡社東洋文庫のものです(1967年)。
いやー、装丁がいかにも「ザ・昔の本」って感じです。ヨーロッパの古い図書室に並んでそうな重厚な雰囲気。多分販売時にはパラフィン紙でくるまれていたに違いありませんw
この『長安の春』は論文集(論文というよりはやや軽めの随筆かもしれません)であり、冒頭の論文が「長安の春」です。20ページくらいですけれど、長安の春に咲く植物が美麗な筆致で描かれています。
ここで最初の部分を引用します(速報的に急いでおりますので、ワープロソフトで呼び出しやすい漢字にしてあります)。
「立春の後約十五日、節は雨水《うすゐ》に入って菜の花が咲き、杏花が開き、李花が綻ぶ頃となつて花信の風も漸く暖く、啓蟄《けいちつ》に至って一候桃花、二候棣棠、三候薔薇、春分に及んで一候海棠、三候木蘭と、次口に種々《くさぐさ》の花木《くわぼく》が繚乱を競ふ時に至って帝城の春は日に酣《たけなわ》に」
「清明の節が過ぎ、桐の花が紫に匂い、(中略)麦の穂が青々と秀で、御溝《ぎょこう》の水には柳絮《りゅうじよ》が繽紛《ひんぷん》として雪のやうに舞ふ頃になると、時は穀雨の節に入って春は漸く老い……」
「柳の糸を撫でて薫風が爽かに吹き渡ると、牡丹の花が満都の春を占断して王者の如くに咲き誇り、(中略)、楝の花が甘く淀んだ懊ましい香ひを宵闇に漂はす頃に至って世は青葉若葉の季節となり、咽ぶやうな新緑の色が……」
「天を覆ふ槐樹や楡の並木には樹立の陰も日に濃やかに……(中略)。ここに長安の春は尽きて詩人は逝く春の詩を唱ひ惜春の賦を作る」
いろんな植物が登場しましたね! ここに出てきた植物は中華ファンタジーに登場させても全く問題ない……どころか、ぐっと世界観を中華にしてくれると思います!
文中の清明節は2023年の4月5日でした。今は桐の花が見ごろなんですね。
柳絮とは、他の中国関係の資料でも見かける言葉ですが、「柳の花が咲いた後、白い綿毛のある種子が散るさま。また、その種子。やなぎのわた。」(コトバンク・精選版 日本国語大辞典 )なのだそうです。
鷲生は長いこと京都の出町柳という場所に住んでいました。地名が示す通り柳の木が多いのですが、見た記憶がありません。この時期は新年度が始まって落ち着かない頃ですので見ても気が付かなかったのかもしれません。
今年はこの近辺に行くことがあったら気を付けてみたいと思います。
楝は、『枕草子』で清少納言に『をかし』と褒め称えられていたのでちょっと調べたことがあります。センダンだそうです(ただし香木の栴檀とは別物だそうです。Wikipedia「センダン」より)。
問題はこれらの植物を文字で知ったところで、実物をどこで見るかですねえ……。
以下は京都住まいの鷲生が思いつく場所です。もし京都に来られる機会があったときのご参考に。
まず、京都市内に京都府立植物園があります。
Wikipediaによれば日本初の公立植物園だそうで、敷地も広くいろんな植物が植わっています。
鷲生がたまたま見つけたものに、『京都府立植物園でみる源氏物語の植物』パンフレットがあります(https://www.pref.kyoto.jp/plant/1209797455564.html)。
平成19年現在のものらしいのですが、楝もあります。
近日中にこのリストを参考に見に行ってみたいと思います。
なお、京都府立植物園の敷地の北に「中国植物園」というエリアもあります。ただ、今年の秋に見つけて足を運んだものの、当時の鷲生にはあまりピンときませんでした。今なら何か分かることがあるかもしれないので、植物園に行ったらまた見てみます。
中国ではなく、日本の平安文学に登場する植物という括りでしたら、平安神宮の庭園に植えられています。入場券を買ってすぐのあたりです。
柳については、先述のとおり出町柳でしょうかね。
京阪電車の出町柳駅から西にある桝形商店街に「出町ふたば」という豆餅の名店があります。
東に行けば京都大学のキャンパスが広がり、その向こうには銀閣寺があります。
牡丹については園芸用に栽培されているので、どこかでご覧になる方も多いのではないでしょうか。
石田幹之助さんの「長安の春」でも、牡丹が人々の気持ちを湧き立たせた様子が描かれています。
この『長安の春』。実は鷲生は冒頭の「長安の春」というタイトルの論文しか読んでないんです……。
ただ、季節が過ぎ去る前に、この「長安の春」だけ速報的にご紹介しようと思って今回の記事を書きました。
いつも以上に乱文なのはどうかお許しを。
四月も半ばを過ぎてしまい、ちょっと遅くなりましたが、皆さまの「中華な植物探し」のお役に立てれば幸いです。
他の『長安の春』所収の論文タイトルについては以下の通りです(できるだけ正確に入力しているつもりですが、普段使わない漢字が多いので誤りもあるかと思います。ご興味がありましたら、ぜひこの本をお手に取って確認してくださいませ)。
「『胡旋舞』小考」「當壚の胡姫」「唐代風俗史抄」「唐史襍鈔」「唐史関係諸考補遺」「唐代燕飲小景」「唐代北支那に於ける一異俗」「無題二則」「唐代の婦人」「唐代図書雑記」「唐代雑事二則」「橄欖と葡萄」「西域の商胡、重価を以って寶物を求める話」「再び胡人採寶譚に就いて」「胡人買寶譚補遺」「隋唐時代に於けるイラン文化の支那流入」「長安盛夏小景」だそうです。
*****
なお。先日の3月25日には奈良文化財研究所近くの博物館でのイベントに行ってきました!
天平文化を紹介するイベントで、唐の七弦琴のコンサートもありました。
訪問記を書いておりますのでよろしければお読みいただければと思います。
「奈良へ古代へ中国へ! 平城宮歴史公園のイベントが熱かった! 前編」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647534553080/episodes/16817330654952208181
それから。楝が出て来たので平安モノの宣伝もw
昨年には平安ファンタジー小説を発表しております。
完結済みです! 是非お立ち寄りを!
「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/665799598
*****
2023年7月14日追記
中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の投稿を始めました!
是非お越し下さいませ!
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる