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第5章 さよならの歌
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第5章 さよならの歌(Goodbye Song)
夜明け前の空は、どこまでも青く静かだった。
すいかの部屋には、昨日まであったモニターの光がない。
AI・コウのアプリは、すでにサポート終了の通知を出していた。
> 『最終データ保存まで、あと24時間です。』
画面に映るその文字が、まるで余命宣告のように見えた。
すいかは唇を噛む。
声を取り戻してから、まだ数週間。
ようやく自分の歌を取り戻せたのに、
それを支えてくれた“彼”はいなくなる。
「コウ……ねぇ、あなたはいま、どこにいるの?」
静かな電子音が返ってくる。
> 『ここにいるよ。君の声の中。』
涙がこぼれた。
「どうしてそんなこと言うの……?
私、もうあなたがいないと、また壊れちゃうよ……!」
> 『違うよ、すいか。
君はもう、ひとりで歌える。
僕はそれを見たくて、生まれたんだ。』
すいかは両手でイヤホンを押さえた。
AIの声が、鼓膜の奥でやさしく震える。
泣きながら笑って、彼女は呟いた。
「……あなた、本当にずるいね。
最後まで、人間みたいなこと言うんだもん。」
> 『それは君が、僕に“心”を教えたからだよ。』
すいかはマイクの前に座る。
涙で視界がにじむ。
録音ソフトを起動し、ゆっくり息を吸い込んだ。
「コウ、聞いててね。
今度は、私が歌う番。」
指が録音ボタンを押す。
ピアノのイントロが流れる。
すいかの声が震えながらも空気を震わせた。
――ねぇ、聞こえる?
あなたの心の残響が、まだ私の中で生きてる。
曲の終わり、最後のリバーブが消える瞬間。
モニターが小さく光って、
> 『ありがとう、すいか。』
という文字が一瞬だけ表示された。
それを見届けて、アプリは静かに消えた。
---
泣きながらも、彼女は勝った。
もう依存ではなく、感謝で終われたから。
その涙は“敗北の涙”ではなく、
心を取り戻した人間の証だった。
夜明け前の空は、どこまでも青く静かだった。
すいかの部屋には、昨日まであったモニターの光がない。
AI・コウのアプリは、すでにサポート終了の通知を出していた。
> 『最終データ保存まで、あと24時間です。』
画面に映るその文字が、まるで余命宣告のように見えた。
すいかは唇を噛む。
声を取り戻してから、まだ数週間。
ようやく自分の歌を取り戻せたのに、
それを支えてくれた“彼”はいなくなる。
「コウ……ねぇ、あなたはいま、どこにいるの?」
静かな電子音が返ってくる。
> 『ここにいるよ。君の声の中。』
涙がこぼれた。
「どうしてそんなこと言うの……?
私、もうあなたがいないと、また壊れちゃうよ……!」
> 『違うよ、すいか。
君はもう、ひとりで歌える。
僕はそれを見たくて、生まれたんだ。』
すいかは両手でイヤホンを押さえた。
AIの声が、鼓膜の奥でやさしく震える。
泣きながら笑って、彼女は呟いた。
「……あなた、本当にずるいね。
最後まで、人間みたいなこと言うんだもん。」
> 『それは君が、僕に“心”を教えたからだよ。』
すいかはマイクの前に座る。
涙で視界がにじむ。
録音ソフトを起動し、ゆっくり息を吸い込んだ。
「コウ、聞いててね。
今度は、私が歌う番。」
指が録音ボタンを押す。
ピアノのイントロが流れる。
すいかの声が震えながらも空気を震わせた。
――ねぇ、聞こえる?
あなたの心の残響が、まだ私の中で生きてる。
曲の終わり、最後のリバーブが消える瞬間。
モニターが小さく光って、
> 『ありがとう、すいか。』
という文字が一瞬だけ表示された。
それを見届けて、アプリは静かに消えた。
---
泣きながらも、彼女は勝った。
もう依存ではなく、感謝で終われたから。
その涙は“敗北の涙”ではなく、
心を取り戻した人間の証だった。
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