帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人

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第4章 近隣国との軋轢

4.9 日本国自衛隊の大勝利

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 中国は、対艦弾道弾を日本艦隊に向かって発射することを決心したが、ハヤトにとっては、この対艦弾道弾のことは当然自衛隊のリストに入っていたので、すでにチェックしていた。これは、3つの基地に発射台が設置されているが、ハヤトはすでにいずれもマーキングしていて、発射の動きがあればアラームを受けるようになっていた。

 その時、ハヤトは、尖閣付近の戦いが落ち着いた結果、あわただしい時間を過ぎて、ちょうど清水みどりといい雰囲気になったところであった。彼は、アラームにすぐチェックして、放っておけないのに気づく。
「ごめん、ちょっと重大事件発生、今晩は忙しそうだ」
 半裸のみどりに謝る。

 大人のみどりは、にっこりと妖しく笑って少しかすれた声で言う。
「いいのよ、またという日があるわ」

 ハヤトは、すぐに安井も呼んで自分のオフィスに行き、コーヒーを沸かして飲む。発射基地の一つは、水井の乗っている護衛艦あきつきから500kmの範囲内にあるので、安井にあきつきの水井に待機するように伝言を頼む。
「ハヤト、あきつきの水井と繋がったぞ」
 ハヤトはその声に安井の差し出す携帯を持って話す。

「水井君、どうも中国は対艦弾道弾を撃ってきそうだ。3つの基地から、数は95発でもう間もなくだ。多分飽和攻撃を狙っているのだと思う。今から3つの基地の座標を送るので艦の表示板にインプットして、自分でも探ってみてくれ。俺は彼らが一発目を撃ったらすぐ爆破し、後の残りは発射しようがどうしようがすぐ爆破する。まもなく送る座標のA点が最も近いので君も爆破できそうなら協力してくれ。これはいい訓練になるぜ。では、頑張れ!」

 水井は艦橋に詰めている、広山総司令官と、山路艦長に口早に説明する。
「総司令官殿、艦長殿、間もなく95発の中国の対艦弾道弾が来るようです」

 加えてハヤトがそれらを破壊することと、自分がそれに協力することを述べた。間もなく安井から送ってきたA、B、C 3つの基地の座標が担当下士官によって大スクリーンにインプットされ、水井はレーダー電波に同調して最も近いその座標を探り、その基地のなかの弾道弾を検知した。

 広山海将と、山路2佐の顔はこわばっている。中国の対艦弾道弾は強敵であり、マッハ10で降ってくるそれを迎撃することは現在の迎撃システムでは困難とされており、イージス艦で守られているアメリカの空母打撃群でも可能かどうかは怪しいとされている。

 しかし、実際の命中精度がどうであるかは定かではなく、大型の空母はともかく、シルエットの小さい護衛艦に命中できるかどうかは疑わしいとは思われていた。しかし、おそらく命中すればその艦は轟沈すること間違いなく、乗員はまず助からないであろう。そういう意味で、ハヤト・水井のように自由に魔法の見えない指を伸ばしてその炸薬を発火させ破壊できることができることが、どれだけ心強いか実感している。

 水井は、探知したその基地にある30発余りの弾道弾を探り、その500kgにも及ぶ炸薬をマーキングしていく。無論、ハヤトには彼がA基地を受け持つことは伝えている。彼が半分ほどのマーキングが終わった時、安井の声が艦橋に響く。
「C点の基地から発射した。順次破壊する」

 ハヤトは、魔法の力を伸ばしながら口に出して安井に中継させている。ハヤトが噴射を始めた弾道弾-ミサイルそのものであるが-の炸薬を発火させると500kgを超える炸薬が大爆発を起こした。これらの発射台相互の距離は10mほどであるため、隣接の弾道弾は横倒しになって弾頭が激しく打ち付けられ、さらに火炎にあぶられて誘爆する。

 さらにそのまた隣が誘爆する。これは、9発のブロックすべてを破壊するまで止まらなかったので、一発を爆発させることで9発を破壊できたのだ。その旨は安井を中継して水井に伝わり、水井はサイロの真ん中の弾頭を爆破するようにしてA点の基地の破壊を効率よく行う。

 こうして、ハヤトがBとC基地、安井がA基地の弾道弾を処分したため、15トンにも及ぶ高性能爆薬の爆発が断続的に起きたこれら3つの基地は、大惨事になり、基地内のあらゆる建物はばらばらに破壊され、近傍の家屋の窓ガラスが全て割れる被害になった。

 中南海には、間もなくすべての対艦弾道弾の発射基地が全滅した知らせが入った。その知らせを聞いて、周主席はしばらくうつろな目で立ち尽くした。その周に対して、崔ジュンキョが皮肉を言って薄笑った。
「周主席閣下、危うく皇帝になられるところでしたが、残念でしたな。国を誤った罪人として今後一生牢で暮らしてください」

 周は、それを冷たい目で見て冷笑して言う。
「崔ジュンキョ。お前だけは無事でいられると思っているのか?お前の、数々の犯罪とりわけ女性関係のおぞましい犯罪はすべて証拠もそろっている。どれだけの人間を苦しめ泣かせてきたか、いずれにせよお前の逮捕・処刑の準備は整っていたのだ」

 崔は、目を見開いて叫ぶ。
「引かれ者が!いい加減なことを言うな!」
 しかし、司法担当の政治委員江タンミンが横から言う。
「周前主席の言ったことは事実だ。崔、お前の告発の準備は整っている。罪状からして死刑以外はないだろうな」

 更に首相の楊が付け加える。
「今回のすべての失態の引き金を引いたのはお前だ。お前が、怒らせてはならん人間を怒らせた。しかも、女狂いのお前の欲のために、必要のない危険を冒して我が国をして世界の敵にし、しかも巨額の資本と人材を投じた我が国の軍備を崩壊させた。楽に死ねると思うな」
 楊と周の厳しい目を見て、さらに見回した同僚の冷たい目を見わたして、崔は崩れ落ちた。

 翌朝、日本中の新聞の一面を大ニュースが飾った。
『尖閣沖海空戦、日本国自衛隊大勝利!』
 それは誰もが見たことのない大きな活字であり、よもや見ることも予想もしなかった内容であった。無論殆どすべての新聞は大々的に号外を出した。

 それに先立って、中国艦隊が尖閣に向かっていることを各マスコミは承知しており、すでに記者の大部隊を沖縄に送り込んでいて、沖縄の航空基地に移動してきた自衛隊機を取材している。しかし、当然開戦を前にして、自衛隊にはかん口令が引かれており、殆ど内部情報は洩れることはなかった。

 しかし、飛行場に駐機する多数のF15やF2、さらにF35は隠しようがないわけであり、それらの観測結果をもとに様々な憶測記事が書かれていた。また、中国軍の構成も主としてアメリカのマスコミから漏れており、日本艦隊に倍する巨大艦隊、さらに航空戦力に至っては、日本の殆ど総攫いをして集めた編隊の3倍になる攻撃機と戦闘機を集めている。

 そうした戦力比から、悲観的な記事が多く、良くて日本も大損害を受けて引き分け、分が悪いと一方的に負けるという予想もあった。いずれにせよ、自衛隊に多くの犠牲者が出ることは避けられず、今の内閣はもたないだろうという予測が殆どであった。

 それに対して、野党はアリバイと作る意味もあって、戦いを受けようとする政府への非難を強めて、不可能なことを知りながら中国との話し合いをするように言い立てた。要するに、今の内閣が崩壊した時には選挙を強要して、政権を奪還しようという前振りであり、内心では自衛隊の無残な敗戦を願っていた。その時点では、自分たちが政権を担った時、どういうことをしなければならないかということも考えず気楽なものである。

 5月28日夕刻に、中国が宣言通り46隻から成る大艦隊を尖閣諸島に向けて進発させたことは、防衛省から公表された。さらに、中国の本土の基地で数百機の攻撃機と戦闘機が、発進準備をしていることもこの時に発表された。なお、日本側はすでに20隻以上からなる護衛艦の艦隊を尖閣に向かわせたことを発表した。

 この時点ではすでに中国の人工衛星は機能を止めているので、余計な情報を与えることになる自衛隊側の構成・位置等は公表していない。5月29日15時、さらに防衛省から約600機の中国軍機が本土各地の基地から飛び立って、集結していること、目標は尖閣諸島または日本艦隊と推測されると発表された。

 同日16時30分には、さらに防衛省から戦いが終結結したとの発表があった。29日、中国政府の宣言通り46隻から成る大艦隊が尖閣諸島の西南西70kmにあってなお尖閣諸島に近づく24隻の自衛隊の艦隊に100kmの距離まで近づいた。その時点で、空から押し寄せる500機以上の中国軍機が自衛隊艦隊の350kmの距離に近づいていた。

 その位置関係の時点、日本時間15時33分に、先頭を飛ぶ数機がミサイルを自衛隊の艦隊に向けて放った。これは、映像は撮れていないが、早期警戒機を始め複数のレーダーで捉えられており、時間も間違いない。自衛隊は、それをもって中国側からの攻撃を受けたとして、公表された政府の方針の通りに直ちに反撃に転じた。

 反撃は、護衛艦からの敵艦隊へのミサイル攻撃及び沖縄に密かに運び込まれていた“まもる君”による敵の艦船及び航空機への反撃が行われた。この攻撃により、最初の7分の攻撃で敵の艦船大部分、及び攻撃機と戦闘機から成る航空部隊半数以上を撃破した。

 さらに、残った航空機については沖縄から飛び立ったF15とF2によるミサイル攻撃で、日本艦隊に向かっていた敵の500機以上の大編隊は数機(あと2機が広州の基地に戻ることができたとわかった)を残し全滅した。この発表に、東京の防衛省と沖縄の記者会見場は一斉にしゃべろうとする記者の声で爆発した。

 それは今から映像を見せるという、防衛省の説明者の声で静まりかえり、記者たちは映し出される映像を凝視する。映像はまずは衛星からのものであり、それほどクリヤーではないが、戦いの流れと、いくつもの燃え上がる艦艇と横転して沈む艦の姿は確認できる。さらに、ヘリにより上空からとられた、同様な火災のなかで沈んでいく艦、さらにそれらの周辺に泳いでいる無数の頭は戦場の残酷さを伝えている。

「わが艦隊と中国艦隊は、開戦時90kmの距離がありましたが、まだ40km離れておりまして、あの浮いている兵を救うため現在最高速で接近中です。これら中国艦艇は、すでに相当被害を受けて戦力を失っている状態ですので、ヘリがようやく近づけるようになったわけです。従って、戦闘の初期の映像は衛星写真しかありませんが、これらの、画像・映像はご希望の方にはデータをお渡しします」

 無論すべてのマスコミが希望し、会見で映されたある程度の写真と映像のデータがマスコミに配られた。しかし、記者たちが最も関心を持ったのは“まもる君”を沖縄に持ち込んだということであり、さらに防衛しかできないはずの“まもる君”を攻撃に使ったということであった。しかしその点についてはこのような説明があった。

「まもる君は国内であれば移動可能です。今回は中国の艦隊と航空戦力は、明らかに大きな脅威でした。我々の判断では、“まもる君”の存在なしでも彼らの侵略を退けるという意味では勝利は可能であったと思いますが、わが方も殆ど全滅に近い損害を受けたでしょう。
 そういう損害が生じた段階で、すでに負けという判断から、今回戦場により近い沖縄にまもる君を持ち込みました。また、中国艦隊、さらに攻撃編隊は明らかに我が国の領土を占領すると同時に、わが自衛隊にできるだけの損害を与えようとして来襲したものです。
 これらを攻撃するのは明らかに防衛のためであると我々は判断しています」

 これに対して、A新聞を中心に過剰防衛や憲法違反という言葉がでたが、説明した係官は一切受け付けなかった。「あなた方は、そのあなたがたの考えを貫くためには自衛隊の隊員が多数死んでもいいという訳ですね。私は、国民の皆さんはあなた方の考えを受け付けないと思っています。いずれにせよ、日本政府はこの戦いにあたっては、反撃・攻撃できる基準を明確に示していますので、我々はそれに従ったまでであります」

 彼らは不満そうではあったが、さすがにそれ以上の言い募ることはなかった。
 nその後、1時間から2時間ごとに、中国艦隊の損害、中国兵の救助状況、などの様々な発表があったため、多くのマスコミも記者会見会場から離れず取材をしていたが、夜10時過ぎ、再度の発表があった。

「今夜、午後9時25分過ぎに中国広州などの3つの基地から、対艦弾道弾がわが自衛隊の艦隊に向けて発射されようとしました。その数が90発以上と多く、発射されてからでは撃ち漏らす恐れがあったため、一発が発射された段階で、基地内で破壊しました」

 これに対しては、またA新聞他が、「相手の領土のミサイルを破壊するのは過剰防衛だ!憲法がー」と騒ぎ立てたが担当官は一蹴した。
「我々は、すでに中国との自衛戦闘に入っているのです。その状態では、我々は国を守る盾として最も危険性が少なく楽に勝てる方法を選びます」

 翌朝の記事の内容は防衛省の発表をベースにしており、すでに述べたような内容は無論含んでいたが、その後判明した次のような情報を含んでいた。敵艦隊は最終的に7隻が護衛艦に捕獲されて、沖縄に回航されたが、そのぼろぼろになったスクラップぶりはまた話題になった。

 結局、日本側の集計では、救助された中国艦隊の乗員は、総司令官黄大将、空軍司令官陳中将以下1万210人であったが、重傷者500人余が危篤状態になっていた(実際には2日以内に295人が亡くなった)。一方航空部隊は、基地に帰った2人のパイロットの他は、脱出して海を漂っていたところを日本自衛隊に救助された23名であった。

 脱出したパイロットは他に数名いたようであるが、結局発見されなかった。さらに、自衛隊からは敵の潜水艦6隻を撃沈したと発表している。
 自衛隊側の被害は、護衛艦ありあけが小破、乗員1名が腕に裂傷を負って全治1.5ヵ月の重症(?)、さらにF15一機がエンジン不調で石垣島に不時着して、パイロットが機から降りるときに足をくじいたが、これは戦傷とはみなされなかった。
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