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第15章 変わってしまった地球世界
15.5 隣国の情勢2
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「諸君、われわれはアメリカ合衆国の後押しの元に、待ち望んだ一線級の戦闘機を大量に戦力化した。従ってこれを生かして、大臣閣下が述べられたように、日本に対して何らかの鉄槌を下すべきだ。日本は、ぼろを着た野蛮人の段階で、我が国の祖先がもたらした文明によって一応人と呼べるものになったのだ。
しかし、彼らは資源に恵まれ、肥沃で恵まれた国土、さらには海に囲まれたという地理的条件のお陰で我々より人口が多くなり豊かにもなった。そして我が国の恩を忘れたのだ。近年においては、あろうことか我が国を植民地にした上、あの無謀な戦争に巻き込んだ。
そして現在においては、まぐれで魔法の処方なる手法を入手し、それを生かして大きな発展を遂げているが、我が国に対しては実質的な技術封鎖に踏み切っている。その上に、隣の同じ朝鮮民族である現在の朝鮮共和国に対して、我が国に断りなしに介入して、さらにこれを経済的・技術的に援助してすでに彼らの友好国に仕上げている。
一方で、朝鮮共和国は我が国の援助の申し出と統一の申し出を無礼にも断り続けている」
そのように、エリート空軍幕僚のカン・ムニョル中佐は、空軍の将校を前に反日丸出しの話を始めるが、これは現在のK国社会においては普通のことである。これは、経済が急成長して一人当たりのGDPが日本と大差がなくなった段階で、K国人の日本人を侮る姿勢は明確になってきている。
それが、余りに露骨になって、個人ベースで日本人を罵り馬鹿にするのみならず、世界に向けてそれを発信する。さらには、行政府が露骨にこうした反日世論に迎合するに至り、日本人においても普通の人にそれが広く知るようになった。このため、嫌韓が一部のものに留まらなくなってしまった。
だから、日本の世論のK国人に対する姿勢も硬直化して、すでに取り返しがつかない状態になってきている。その結果が、世論に押された形での、事実上のK国への技術禁輸である。確かにこれは特定の国を狙った差別であり、正当性はない。だから、K国政府は国連を始め、国際社会に声高にこのことで日本を非難し、全ての技術の無償全面開示を求めた。
しかし、この日本を口汚く罵る態度と、過剰な要求は更に日本の世論を硬化させた。そして、日本政府はこの世論を利用して、『世論が許さない』ということで、K国と尻馬に乗ってきた中国北京政府の要求を拒んだ。さらにそれに並行して、過去のK国政府と民間への日本への侮蔑行為、さらには偏った教科書の記述まで晒して、世論の硬化はやむを得ない事だと国際社会に訴えた。まあ、時間かせぎである。
一方で、朝鮮共和国の人々は、同じ朝鮮民族ではあるが、長く無条件に上に従うという洗脳を受けてきて、性格が素直になっている。その朝鮮共和国は、以前の独裁者であったキム一族を処刑・追放して指導者になったアン初代大統領の下で、7年間の経済発展を続け、2代目の大統領李(リ)の下で引き続き順調に発展している。
この発展は、日本の無償援助もあるが、日本の民間企業が素直で勤勉なKT国の労働力を認めて多大な投資をしたことに大きな要因がある。なにしろ日本からKT国は近いのだ。このような日本の助けを共和国政府が公表してきたこと、さらに絶大な人気のまま次代に譲った初代大統領アンが日本人とのハーフであることもあって、朝鮮共和国の人々は極めて親日的である。
そのために、日本企業の進出はますます増えるという循環になっており、日本の新技術は直ちに取り入れられて、電力はすでにAE発電がほぼ100%になって、電力料はK国の1/4である。遅れたインフラが却って最新技術を取り入れやすくしているのだ。同様な事象は、アフリカ等の地域での携帯電話の急速な普及に見られる。
このように、朝鮮共和国が順調に経済発展しているのを見て、K国は3年程度前から、世論の突き上げもあって継続的に統一の申し出を行っている。従来の統一に否定的な世論とは様変わりであるが、これは3年前の時点でK国の1/3程度になった一人当たりのGDP、それに日本の最新技術が障害なく普及しているのを見てでのことである。
しかし、共和国政府はこれまでのK国政府からの数々の無礼な態度を相当に根に持っていた。さらに、国民も訪れるK国民の観光客の相手を見下げる態度に好感を持っていない。加えて、同じ言葉をしゃべる民族であって、隣り合っているためにお互いのラジオ・テレビの報道がもろに視聴できるのだ。
そして、K国の人々はK国語が地域的に極めて限定されていることをいいことに、その放送において、様々な国、特に日本に対しては聞くに堪えないことを言ってきている。すでにテレビを普通に持っている朝鮮共和国の人々は、まだチャンネル数が少ない自国の放送に加えてK国の番組の視聴をするわけだが、その中に自国を馬鹿にする言葉、シーンがしばしば出てくるのだ。これで、友好的であろうわけはない。
統一したら、自分たちが2等国民に位置づけられるのは明白と人々は考えている。また、朝鮮共和国はまず間違いなく世界の最貧国から出発したので、その最貧の者でも飢えることがないようにということは配慮してきている、そのため総じて貧しいために経済的には平等な社会にならざるを得ないというなった。
結果的には、K国の貧しい層と朝鮮共和国の大多数は経済的に同等であり、むしろ、K国が周りに豊かな層が贅沢をしているのを見ているだけに、余計貧しさを痛感せざるを得ないという仕組みになっている。これらのことは、共和国政府も客観的に観察しており、加えてK国の国教ともいえる『反日』には同調できないこともあって、明らかに落ち目のK国と統一するメリットを見いだせていない。
カン・ムニョル中佐は話を続ける。
「これらのこと、日本の振る舞い、そして朝鮮共和国の無礼さは、わが優秀な民族の煮えたぎる怒りの源になっている。このような日本にはとりわけ鉄槌を下すべきである。しかし、残念ながら日本に直接打撃を与えることは容易なことではない。
たぶんそれは、今や友好国として我が国を全面的にアメリカ合衆国と共同しても難しい。これは、一つには地球同盟軍の存在も考えなければならないからでもある。地球同盟軍は、客観的に見て地球上では突出した軍事力を持っている。これは、アメリカと言えども凌駕することは不可能なレベルである。
この軍は世界の国々から供出された人員と予算から成り立ち、その要員は出身国の利害に影響されないということになっている。我が国も同盟軍には120名の人員を供出しているが、日本は4万2千人と全構成員24万の13%にあたる人員を供出している。その中での発言力は強く、日本人将校の発言はかなりの確率で実現する可能性がある。
そればかりでなく、地球同盟軍の役割りの一つは地球上での国・地域または何らかの組織による軍事衝突を防ぐことにある。従って、仮に我が国が日本を侵攻しようとすると日本が防衛するまでもなく、地球防衛軍が出張ってきて、わが軍を身動きできないようにするであろう。
しかし、朝鮮共和国は事情が違う。今の政府との間にはそういう話は交わしていないが、過去のKT国とは同じ民族である我々は同じ国の国民になるべきであるとな。我々は朝鮮共和国、いやKT国をわがK国に統一する。そのために、スターダスト200機が生きてくる。
彼らも日本の貸与で、“しでん”30機、“らいでん”4機を持っているが、これらを駐機している2つの基地を奇襲攻撃すれば、これらの破壊は容易である。日本は多大な資本をつぎ込んで、KT国にインフラと工場を建設し結果的にはKT国は世界に向けて大きな輸出額を稼いでいる。これは、その後は我が国のものになるのだ。
これは、かの傲慢な日本人にとって大いなる衝撃になるはずである。これは日本に対する第1の鉄槌になるのだ」
カン中佐は言葉を切ったが、パクの友人のムン少佐が手を挙げて質問する。
「戦闘機と攻撃機を無力化するのは判りましたが、それだけで国を支配することは当然無理でしょう。私の知る限り、北の人々も我々を歓呼で迎えるという状況にはなく、むしろ嫌っている。その状況で、そのあたりはどのようにされるおつもりかお聞きしたい」
「ああ、当然だ。しかし、北の重力エンジン機を無力化すれば、制空権をとれることになる。それはわかるな?」
「ああ、そうですね。制空権は取れるでしょう。しかし、政権をどのよう奪取されるのか、そこです」
「我々は、北の指導者だったキム一族の、キム・ボウクンの妾腹の子、キム・シャウン、18歳を押さえている。元々はアメリカが押さえていたのだがな。彼を連れて大統領府を急襲して大統領以下を監禁し、臨時政府を宣言する。そのあたりは情報部できちんと計画している」
「なるほど、しかしキム一族は北では必ずしも評判は良くないと言いますが、その点はどうなのですか」
「ああ、それの承知している。多分北の人民は元の北の体制に戻りたいとは思っていないだろうよ。しかし彼らはどう言っても60年以上に渡ってあの政権下で暮らしてきたのだ。最初は強圧で押さえつけても、すぐに慣れるよ。北の者達は、進んでいる我々と違って自由というものを本当には知らないからな」
パク少佐は、吐き気を催しながらその言葉を聞いて思った。
『なにが、自由というものを知らないだ!マスコミで躍らされて、自由と勘違いして衆愚に踊らされているのが我が国だ。いまだにロウソク民主主義だと、考えることを止めた愚民を操っているのが、この連中だ』
しかし、したり顔で満足げな大臣を後ろにして喋っているカン中佐を見ると、すでに物事は決まっているのは明らかだ。如何に彼が反対しようとも、カン中佐の言った作戦は実行されるだろう。しかしパク中佐にはこの作戦がアメリカの了解を得ているとは思えなかった。
朝鮮共和国にはアメリカ資本も相当に入り込んでいる。それを、その国自体をK国に横から攫われるのは面白くないはずだ。なにしろ、今の大統領は自分の都合でK国に近づいているが、アメリカの軍と国務省はK国とはこの10数年の間は反目しあってきたのだ。
確かにパクの思った通り、この作戦は大統領まで承認を取った一大作戦として、すでにあらかたの準備は済んでいた。そしてK国のこの動きは、アメリカと共同しての何らかの嫌がらせ行為を警戒していた日本にとっては全くの予想外であった。
それはアメリカにとってもその通りであり、アメリカとしてはK国への戦闘機の売却は全くの日本への嫌がらせの行動であり、その圧倒的な戦力の差を考えると、実際にK国が日本に何かを仕掛けられるとは思ってはいなかった。母艦はもちろん攻撃機サンダーボルトもK国に売らなかったのはその表れである。
150mmのレールガンを積んだ重力エンジン機は、攻撃対象の都市インフラに重大な被害が与えられる。その点では25mmのレールガンではそれが限定的である。結局、アメリカもK国の政治的な判断を信じていなかったわけであるが、K国の判断と行動はその予想を斜め方向に外した。
無論、朝鮮共和国はアメリカのK国への戦闘機売却を非難した。今までは、重力エンジン機についてはK国に優位に立っていたので余裕はあったが、200機ものスターダストをK国が入手することによって、完全にその優位が覆されたのである。
そして、現在で朝鮮共和国の保護国の立場になっている日本に泣きついて、追加の“しでん”の貸与を要請し、日本もそれを基本で受け入れ、乗員の訓練をしているうちにK国の攻撃が実行されたのだ。日本も、地球同盟軍の存在を考えて、まさかK国がそのような暴挙を実行するとは思っていなかった。
それは新月の夜、K国の太田基地を飛び立ったK国名、閃光戦闘機10機の2編隊に加えて重力エンジン輸送機スペースキャリアと戦闘機10機の合計3編隊が、朝鮮共和国の平壌郊外の北山基地と順川市基地を目指した。これらは、アメリカの新開発のステレス皮膜で覆っており、それはレーダーで捉えるのは非常に難しいほどの性能であった。
日本列島付近は、日本の無人・有人衛星によって精密に監視されていたが、基本は光波と電波による監視であった。その監視網は朝鮮共和国も含んではいたが、新月の夜でこの時代で最も優れたステレス性能のある戦闘機の群れをキャッチするのは無理であった。
共和国の地上の管理レーダーも同様に全く役に立たず、結局この群れ見つけたのは、“しでん”等を配備している両基地の上空で滞空して警戒していた、“しでん”戦闘機各2機であった。キャッチしたのは戦闘機に積んでいた重力検知器であるが、探知距離の限界のために30㎞手前であり、5万mの高空を1㎞/秒の速度で接近してくる編隊を迎撃するには全く余裕がなかった。
しかし、監視していたパイロット達は訓練通り直ちに行動に移った。まず機首を接近してくる敵に向けて、50%加速の5Gで突進した。しかし、彼らは接近してくる敵がクリヤーになっていくうちに唸り声をあげた。2機の味方に対して相手は10機、それに対して自機に積んでいるレールガン2基なのだ。
しかし、多分敵が1回の攻撃で基地の味方機を全て破壊できるわけはない。だから必ず旋回して帰ってくるはずだ。北山基地の2機ずつの迎撃機は、最初のすれ違いで片方が1機、もう片方が同じく1機破壊したが、閃光の反撃で片方が撃墜された。順川市基地の迎撃機は相手を1機撃墜したが1機は撃墜された。
各々の基地は25mmレールガンと爆弾によって爆撃されたが、爆弾は警戒機の警報によって警戒に当たっていた地上のレールガンによって2/3ほどが爆破されたが、基地に落ちた5発程度の爆弾はレールガンによる破壊より広範囲の破壊をもたらした。
K国側のこの空襲によって、朝鮮共和国の“しでん”戦闘機が30機中22機、“らいでん”攻撃機は4基すべてが失われた。一方のK国側も攻撃から免れて地上から上がってくる“しでん”戦闘機による反抗もあって、20機の攻撃機の12機が失われた。
こうして、“しでん”戦闘機は8機が生き残ったので、K国側がそれほど容易には制空権を取れない情勢になった。しかし、大統領府に向かった編隊には迎撃はなく、輸送機、閃光戦闘機も乗ってきた地上要員を下し、上空を制圧して大統領府への侵攻を成功させた。
しかし、彼らは資源に恵まれ、肥沃で恵まれた国土、さらには海に囲まれたという地理的条件のお陰で我々より人口が多くなり豊かにもなった。そして我が国の恩を忘れたのだ。近年においては、あろうことか我が国を植民地にした上、あの無謀な戦争に巻き込んだ。
そして現在においては、まぐれで魔法の処方なる手法を入手し、それを生かして大きな発展を遂げているが、我が国に対しては実質的な技術封鎖に踏み切っている。その上に、隣の同じ朝鮮民族である現在の朝鮮共和国に対して、我が国に断りなしに介入して、さらにこれを経済的・技術的に援助してすでに彼らの友好国に仕上げている。
一方で、朝鮮共和国は我が国の援助の申し出と統一の申し出を無礼にも断り続けている」
そのように、エリート空軍幕僚のカン・ムニョル中佐は、空軍の将校を前に反日丸出しの話を始めるが、これは現在のK国社会においては普通のことである。これは、経済が急成長して一人当たりのGDPが日本と大差がなくなった段階で、K国人の日本人を侮る姿勢は明確になってきている。
それが、余りに露骨になって、個人ベースで日本人を罵り馬鹿にするのみならず、世界に向けてそれを発信する。さらには、行政府が露骨にこうした反日世論に迎合するに至り、日本人においても普通の人にそれが広く知るようになった。このため、嫌韓が一部のものに留まらなくなってしまった。
だから、日本の世論のK国人に対する姿勢も硬直化して、すでに取り返しがつかない状態になってきている。その結果が、世論に押された形での、事実上のK国への技術禁輸である。確かにこれは特定の国を狙った差別であり、正当性はない。だから、K国政府は国連を始め、国際社会に声高にこのことで日本を非難し、全ての技術の無償全面開示を求めた。
しかし、この日本を口汚く罵る態度と、過剰な要求は更に日本の世論を硬化させた。そして、日本政府はこの世論を利用して、『世論が許さない』ということで、K国と尻馬に乗ってきた中国北京政府の要求を拒んだ。さらにそれに並行して、過去のK国政府と民間への日本への侮蔑行為、さらには偏った教科書の記述まで晒して、世論の硬化はやむを得ない事だと国際社会に訴えた。まあ、時間かせぎである。
一方で、朝鮮共和国の人々は、同じ朝鮮民族ではあるが、長く無条件に上に従うという洗脳を受けてきて、性格が素直になっている。その朝鮮共和国は、以前の独裁者であったキム一族を処刑・追放して指導者になったアン初代大統領の下で、7年間の経済発展を続け、2代目の大統領李(リ)の下で引き続き順調に発展している。
この発展は、日本の無償援助もあるが、日本の民間企業が素直で勤勉なKT国の労働力を認めて多大な投資をしたことに大きな要因がある。なにしろ日本からKT国は近いのだ。このような日本の助けを共和国政府が公表してきたこと、さらに絶大な人気のまま次代に譲った初代大統領アンが日本人とのハーフであることもあって、朝鮮共和国の人々は極めて親日的である。
そのために、日本企業の進出はますます増えるという循環になっており、日本の新技術は直ちに取り入れられて、電力はすでにAE発電がほぼ100%になって、電力料はK国の1/4である。遅れたインフラが却って最新技術を取り入れやすくしているのだ。同様な事象は、アフリカ等の地域での携帯電話の急速な普及に見られる。
このように、朝鮮共和国が順調に経済発展しているのを見て、K国は3年程度前から、世論の突き上げもあって継続的に統一の申し出を行っている。従来の統一に否定的な世論とは様変わりであるが、これは3年前の時点でK国の1/3程度になった一人当たりのGDP、それに日本の最新技術が障害なく普及しているのを見てでのことである。
しかし、共和国政府はこれまでのK国政府からの数々の無礼な態度を相当に根に持っていた。さらに、国民も訪れるK国民の観光客の相手を見下げる態度に好感を持っていない。加えて、同じ言葉をしゃべる民族であって、隣り合っているためにお互いのラジオ・テレビの報道がもろに視聴できるのだ。
そして、K国の人々はK国語が地域的に極めて限定されていることをいいことに、その放送において、様々な国、特に日本に対しては聞くに堪えないことを言ってきている。すでにテレビを普通に持っている朝鮮共和国の人々は、まだチャンネル数が少ない自国の放送に加えてK国の番組の視聴をするわけだが、その中に自国を馬鹿にする言葉、シーンがしばしば出てくるのだ。これで、友好的であろうわけはない。
統一したら、自分たちが2等国民に位置づけられるのは明白と人々は考えている。また、朝鮮共和国はまず間違いなく世界の最貧国から出発したので、その最貧の者でも飢えることがないようにということは配慮してきている、そのため総じて貧しいために経済的には平等な社会にならざるを得ないというなった。
結果的には、K国の貧しい層と朝鮮共和国の大多数は経済的に同等であり、むしろ、K国が周りに豊かな層が贅沢をしているのを見ているだけに、余計貧しさを痛感せざるを得ないという仕組みになっている。これらのことは、共和国政府も客観的に観察しており、加えてK国の国教ともいえる『反日』には同調できないこともあって、明らかに落ち目のK国と統一するメリットを見いだせていない。
カン・ムニョル中佐は話を続ける。
「これらのこと、日本の振る舞い、そして朝鮮共和国の無礼さは、わが優秀な民族の煮えたぎる怒りの源になっている。このような日本にはとりわけ鉄槌を下すべきである。しかし、残念ながら日本に直接打撃を与えることは容易なことではない。
たぶんそれは、今や友好国として我が国を全面的にアメリカ合衆国と共同しても難しい。これは、一つには地球同盟軍の存在も考えなければならないからでもある。地球同盟軍は、客観的に見て地球上では突出した軍事力を持っている。これは、アメリカと言えども凌駕することは不可能なレベルである。
この軍は世界の国々から供出された人員と予算から成り立ち、その要員は出身国の利害に影響されないということになっている。我が国も同盟軍には120名の人員を供出しているが、日本は4万2千人と全構成員24万の13%にあたる人員を供出している。その中での発言力は強く、日本人将校の発言はかなりの確率で実現する可能性がある。
そればかりでなく、地球同盟軍の役割りの一つは地球上での国・地域または何らかの組織による軍事衝突を防ぐことにある。従って、仮に我が国が日本を侵攻しようとすると日本が防衛するまでもなく、地球防衛軍が出張ってきて、わが軍を身動きできないようにするであろう。
しかし、朝鮮共和国は事情が違う。今の政府との間にはそういう話は交わしていないが、過去のKT国とは同じ民族である我々は同じ国の国民になるべきであるとな。我々は朝鮮共和国、いやKT国をわがK国に統一する。そのために、スターダスト200機が生きてくる。
彼らも日本の貸与で、“しでん”30機、“らいでん”4機を持っているが、これらを駐機している2つの基地を奇襲攻撃すれば、これらの破壊は容易である。日本は多大な資本をつぎ込んで、KT国にインフラと工場を建設し結果的にはKT国は世界に向けて大きな輸出額を稼いでいる。これは、その後は我が国のものになるのだ。
これは、かの傲慢な日本人にとって大いなる衝撃になるはずである。これは日本に対する第1の鉄槌になるのだ」
カン中佐は言葉を切ったが、パクの友人のムン少佐が手を挙げて質問する。
「戦闘機と攻撃機を無力化するのは判りましたが、それだけで国を支配することは当然無理でしょう。私の知る限り、北の人々も我々を歓呼で迎えるという状況にはなく、むしろ嫌っている。その状況で、そのあたりはどのようにされるおつもりかお聞きしたい」
「ああ、当然だ。しかし、北の重力エンジン機を無力化すれば、制空権をとれることになる。それはわかるな?」
「ああ、そうですね。制空権は取れるでしょう。しかし、政権をどのよう奪取されるのか、そこです」
「我々は、北の指導者だったキム一族の、キム・ボウクンの妾腹の子、キム・シャウン、18歳を押さえている。元々はアメリカが押さえていたのだがな。彼を連れて大統領府を急襲して大統領以下を監禁し、臨時政府を宣言する。そのあたりは情報部できちんと計画している」
「なるほど、しかしキム一族は北では必ずしも評判は良くないと言いますが、その点はどうなのですか」
「ああ、それの承知している。多分北の人民は元の北の体制に戻りたいとは思っていないだろうよ。しかし彼らはどう言っても60年以上に渡ってあの政権下で暮らしてきたのだ。最初は強圧で押さえつけても、すぐに慣れるよ。北の者達は、進んでいる我々と違って自由というものを本当には知らないからな」
パク少佐は、吐き気を催しながらその言葉を聞いて思った。
『なにが、自由というものを知らないだ!マスコミで躍らされて、自由と勘違いして衆愚に踊らされているのが我が国だ。いまだにロウソク民主主義だと、考えることを止めた愚民を操っているのが、この連中だ』
しかし、したり顔で満足げな大臣を後ろにして喋っているカン中佐を見ると、すでに物事は決まっているのは明らかだ。如何に彼が反対しようとも、カン中佐の言った作戦は実行されるだろう。しかしパク中佐にはこの作戦がアメリカの了解を得ているとは思えなかった。
朝鮮共和国にはアメリカ資本も相当に入り込んでいる。それを、その国自体をK国に横から攫われるのは面白くないはずだ。なにしろ、今の大統領は自分の都合でK国に近づいているが、アメリカの軍と国務省はK国とはこの10数年の間は反目しあってきたのだ。
確かにパクの思った通り、この作戦は大統領まで承認を取った一大作戦として、すでにあらかたの準備は済んでいた。そしてK国のこの動きは、アメリカと共同しての何らかの嫌がらせ行為を警戒していた日本にとっては全くの予想外であった。
それはアメリカにとってもその通りであり、アメリカとしてはK国への戦闘機の売却は全くの日本への嫌がらせの行動であり、その圧倒的な戦力の差を考えると、実際にK国が日本に何かを仕掛けられるとは思ってはいなかった。母艦はもちろん攻撃機サンダーボルトもK国に売らなかったのはその表れである。
150mmのレールガンを積んだ重力エンジン機は、攻撃対象の都市インフラに重大な被害が与えられる。その点では25mmのレールガンではそれが限定的である。結局、アメリカもK国の政治的な判断を信じていなかったわけであるが、K国の判断と行動はその予想を斜め方向に外した。
無論、朝鮮共和国はアメリカのK国への戦闘機売却を非難した。今までは、重力エンジン機についてはK国に優位に立っていたので余裕はあったが、200機ものスターダストをK国が入手することによって、完全にその優位が覆されたのである。
そして、現在で朝鮮共和国の保護国の立場になっている日本に泣きついて、追加の“しでん”の貸与を要請し、日本もそれを基本で受け入れ、乗員の訓練をしているうちにK国の攻撃が実行されたのだ。日本も、地球同盟軍の存在を考えて、まさかK国がそのような暴挙を実行するとは思っていなかった。
それは新月の夜、K国の太田基地を飛び立ったK国名、閃光戦闘機10機の2編隊に加えて重力エンジン輸送機スペースキャリアと戦闘機10機の合計3編隊が、朝鮮共和国の平壌郊外の北山基地と順川市基地を目指した。これらは、アメリカの新開発のステレス皮膜で覆っており、それはレーダーで捉えるのは非常に難しいほどの性能であった。
日本列島付近は、日本の無人・有人衛星によって精密に監視されていたが、基本は光波と電波による監視であった。その監視網は朝鮮共和国も含んではいたが、新月の夜でこの時代で最も優れたステレス性能のある戦闘機の群れをキャッチするのは無理であった。
共和国の地上の管理レーダーも同様に全く役に立たず、結局この群れ見つけたのは、“しでん”等を配備している両基地の上空で滞空して警戒していた、“しでん”戦闘機各2機であった。キャッチしたのは戦闘機に積んでいた重力検知器であるが、探知距離の限界のために30㎞手前であり、5万mの高空を1㎞/秒の速度で接近してくる編隊を迎撃するには全く余裕がなかった。
しかし、監視していたパイロット達は訓練通り直ちに行動に移った。まず機首を接近してくる敵に向けて、50%加速の5Gで突進した。しかし、彼らは接近してくる敵がクリヤーになっていくうちに唸り声をあげた。2機の味方に対して相手は10機、それに対して自機に積んでいるレールガン2基なのだ。
しかし、多分敵が1回の攻撃で基地の味方機を全て破壊できるわけはない。だから必ず旋回して帰ってくるはずだ。北山基地の2機ずつの迎撃機は、最初のすれ違いで片方が1機、もう片方が同じく1機破壊したが、閃光の反撃で片方が撃墜された。順川市基地の迎撃機は相手を1機撃墜したが1機は撃墜された。
各々の基地は25mmレールガンと爆弾によって爆撃されたが、爆弾は警戒機の警報によって警戒に当たっていた地上のレールガンによって2/3ほどが爆破されたが、基地に落ちた5発程度の爆弾はレールガンによる破壊より広範囲の破壊をもたらした。
K国側のこの空襲によって、朝鮮共和国の“しでん”戦闘機が30機中22機、“らいでん”攻撃機は4基すべてが失われた。一方のK国側も攻撃から免れて地上から上がってくる“しでん”戦闘機による反抗もあって、20機の攻撃機の12機が失われた。
こうして、“しでん”戦闘機は8機が生き残ったので、K国側がそれほど容易には制空権を取れない情勢になった。しかし、大統領府に向かった編隊には迎撃はなく、輸送機、閃光戦闘機も乗ってきた地上要員を下し、上空を制圧して大統領府への侵攻を成功させた。
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強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
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