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第2章 過去の文明への干渉開始
36.2023年9月、薩摩・日向
島津家の勃興は、島津忠久が西暦1200年頃に源頼朝により薩摩国・大隅国・日向国の3国の他、初期には越前国守護にも任じられている。そのことで、忠久は鎌倉幕府有力御家人の中でも異例の4ヶ国を有する守護職に任じられて以降、島津氏は南九州の氏族として守護から守護大名となり、さらには戦国大名へと発展を遂げた。
そして、その全盛期には九州のほぼ全土を制圧するに至ったが、江戸期には現在の鹿児島県を領有して明治維新まで存続した。1492年の段階では、11代である島津忠昌の治政の下にあったが、彼は京から臨済宗の僧侶である桂庵玄樹を招聘して薩南学派を起こすなど学問を好んだインテリであった。しかし、残念ながら薩摩ではそのインテリぶりを評価する者はほとんどおらず、領国内の一族・国人が立て続けに挙兵した。
それを彼は必死に押さえようとしたが、殆どの戦いに敗れ、世を儚んだ忠昌はついに自害して果てたという、まことに可哀そうな人である。そもそも、九州は15世紀から16世紀にかけて、多くの大名に分かれて相争う国で、島津家はその筆頭であった。とは言え、島津忠昌の時代は内乱に忙しく、他に打って出る余裕はなかった。
そのように、戦が好きで強い人にとって良い国であるが、勢力争いに血道を上げるような殿さまを頂く領民はたまったものではない。当然戦には費用がかかる訳であり、それを領主は年貢という形で民百姓から取り上げるのだ。
「おらあ、勘弁ならん。種もみまで持っていくような領主は願い下げじゃ。おい、皆逃散じゃ、逃散すっぞ!」
国人新納家が治める姶良領の南方村で寄り合いにおいて、好川村の佐助が気勢をあげる。10年前から断続的に桜島が噴火を起こし、錦江湾沿岸は大きな被害を受けている。当然、農業生産は落ち込んだが、領主達はその落ち込みに年貢を増やすことで応じた。
このため、民百姓は困窮して、雑穀や山で問った木の実、魚などを必死に集めて飢えをしのぐことになった。当然、不満は高まっていったが、領主とその周辺には不満を言っても聞くようなものはおらず、苦情は聞き流された。 むろん一揆で反抗するという手段はあるが、その指導者は死罪確定であり、また、精強な薩摩の地の侍たちに百姓が武力で勝てる道理はない。
彼等が南方村の庄屋の家に集まっているのは、領主が垂水の領主名坂玄番に攻めかけるために年貢の臨時徴収をしたということで不満が限界を越えたことにあった。元々、百姓とてギリギリで生きているわけで、さほどコメなどは残っていない。そこで、臨時に奪っていくわけだから、種もみまでを持っていくことになる。
無論領主とて、それまで奪ってしまえば次の年に困るのは自分達であることは判ってはいる。しかし、領主新納信孝の脳内では自分が勝って垂水の領を奪うことは確定事項であったので、その時点で種もみを与えればよい程度の考えであった。よしんば自分の思惑が外れても、飢えて死ぬのは百姓だ。
「逃散か。佐助、行く当てはあるんじゃろな?」
思慮深いと見做されている南方村庄屋の貫太郎が聞く。
「おおよ。おらの隣の芳坊が先日、薩摩城塞さ行ってきたぞ。それで、耳よりな話を聞いておる。芳坊 、おめえの聞いてきたさ言ってけれ」
佐助が隣に座っている10代に見える若者の肩を叩き言う。
「はあ、おらがその薩摩城塞と呼ばれるところに行ったのは3日前ですだ。そこに行ったのは、桂庵様から城塞はこの近くだけでなく、いろんなところにあって、民百姓を受け入れてくれると聞いたからだ」
芳人がそう言ったが、桂庵は国守である島津忠昌が京から招いた国有数の学僧で、その名声は近隣に鳴り響いている。
「なに!そんなことを、それは確かか?」
貫太郎が聞き返すのに芳人は懐から紙を数枚取り出して答える。
「ああ、確かじゃ。現にこの紙にはそう書いてある」
そして、芳人が貫太郎に1枚渡すと貫太郎はそれをしげしげと見つめる。それは、まず違っているのは色とりどりの絵と文字が記されていることだ。それだけでも目を引くが、さらに文字の形が非常に整っている。
「芳人、おめえは字が読めるのけ?」
貫太郎はまずその紙の色どりに驚き、さらに賢そうではあるが、見るから水のみ百姓の芳人という若者がそれを読める様子なのに驚いた。自分は庄屋の家に生まれたので一通りの読み書きは出来るが、百姓にはそれが出来る者はほとんどいないのだ。
それに対して、佐助が我がことのように自慢して答える。
「ああ、芳坊はわが好川村の神童じゃぞ。薩摩の桂庵様にも学問を習っちょる」
「それでな、この説明によると、こういうことが書いちょる。説明したいがよいかな?」
芳人は寄り合いに出ている10人ほどに届くように声を張り上げ、皆が自分を注視しているのを確認して話し始める。
「城塞では、大きな農場といろんな店や物を作る作業所を作ることになっちょる。そこでは働く者を集めちょる。これは、大人はもちろん、小さい子でも、勉強をしながら出来ることをやれば良いことになっちょる。ただ、大人も勉強して文字と算数を覚えにゃならん。そしてな……」
芳人は、思わせぶりに一旦言葉を切って、皆を見渡して話を続ける。
「そこではな、住むところをくれるぞ。それから、そこに住んじょれば食堂と言う所で朝、昼、晩3食が食える。またな、働くときの服は新しいものをくれる。なにより、そこで命じられた仕事をすれば、給金というお金をくれるぞ。
その金さえあれば、城塞の中にある店でそれこそ夢にも出てこないようなものが買えるぞ。この絵は、その店の中のものを写したものじゃ。ほれ、何かわからんものも多いじゃろうが、おらもようわからん。だけど、ごっつうええものであることは確かじゃ。それをおめえらが稼ぐ金で買えるのじゃ」
芳人は懐からA3版の写真を数枚取り出して順次掲げて見せる。人々は目を輝かせてそれを見ているが、ひとりが叫び始める。
「そげなうまい話があるものか!おらたちはいつも騙されてきた。おらんちは7人子ができたが、結局生き残ったのは1人だけじゃ。女房も3年前に死んだ。こりゃ碌に食うものがないせいじゃ。薩摩の御屋形様や桂庵様は立派な方かもしれん。しかし、そげな立派な方々がおら達のために何をしてくれた?」
「海津村の寛治か。おめえの言うのもわかる。なにせ、話がうますぎる。桜島の噴火、その後の飢饉、薩摩の御屋形様もなにもできず、しかも家来衆から背かれ攻められてもはや力はない。おめえが言う城塞じゃが、御屋形様がお認めになって作られたものの、針金で囲んでいるだけのもんじゃ。
確かに、そこの者達は摩訶不思議な乗り物を使ってはおるし、鉄の大船が新しく作った桟橋に来ているのも知ってちょる。だけんど、この国には新納の御領主のように、ええもんがあれば隙あらば盗ってやろうという者ばかりじゃ。その城塞とて数千の軍勢に攻められたら、どうにもならんじゃろう。おら達がそこにおったら皆殺しじゃ。どうじゃ、芳人?」
貫太郎が一旦寛治に同意して、芳人を問いつめる。
「ああ、その点はおらも気になっただ。だんも、城塞の後ろ盾はそれほど弱いものではないがね。なにやら、その本拠は『北海道』と『沖縄』と言うが、ものすごく豊からしいぞ。それらを治めているのが、『日本』という名の国らしい。
その日本は、京におわさっしゃる帝を天皇陛下として迎えているらしい。その日本が使っておるからくりが凄い。さっき貫太郎どんが言った、からくり仕掛けの走る乗り物、海を帆がなくて走る鉄の大船に、見た者もあるじゃろう、人を乗せて空を飛ぶ飛行機というものもあった、普通の民がそれに乗れるという。
そういうからくりを使える国じゃから戦も強い。その日本の兵は陸を走るからくり、海走る大船、空を飛ぶ飛行機を使って、見えないほどと遠いところから、爆発を起こすものを投げつけられるというぞ。薩摩城塞にはそういう兵が多くおるから、この周辺から万の兵が押し寄せても敗れることはないというぞ。ただ、城塞の兵はできるだけ攻め寄せる兵も殺したくはないと言っとるがの」
「ううむ。話が途方もなさ過ぎてやっぱり素直に信じられないのう。簡単に勝てるが、殺したくないとか言うてもな。新納の殿さんなど、簡単に敵を殺せるなら出来るだけ殺そうとするだろうよ。しかし、今はおらも正直なところ、その城塞の話が半分でも本当なら、村を挙げて、そこに逃げ込みたいと思うちょる。
だけんど、そこまでどうやって行くかだの。大体城塞まで6里くらいかの。女子供に年より迄連れて行くと、そう早くは歩けん。多分、3刻(6時間)はかかる。必ずや、新納の殿さんが追いついてくるぞ。追いつかれたら、おらたちのような肝いりのものは皆殺しだのう。そうなると残った者も引き返すしかなかろう」
貫太郎が腕を組みながら困って言うと芳人が答える。
「実はこの周辺の村で一斉に城塞に向かうかもしれんというのは城塞で話してみただ。相手は、村田という城塞の『保安』という部署の頭だった。まあ、桂庵様の紹介があったから会えたのだのじゃ。人数は、大体この南方村で520人、好川村で320人、海津村で340人、…………、合計で2520人位ということでの。
村田どんの話では、その人数位の受け入れはできるということじゃ。しばらくは一部屋に4人位入ることになるのと、服が暫く足りんかもしれんらしいが。ただ、食い物は問題ないらしい。
あらかじめ知らせれば、護衛につくというし、足弱の子供や年よりなどについては船を出してくれるらしい」
「「「「ほう!」」」」
芳人の話に驚きの声があがった。それはそうだろう。民百姓のために護衛が出るなどという話は例がなく驚くのが当然だ。
「そ、そうか。その護衛というのは幾人かの?」
貫太郎も驚いて聞き返すのに、芳人は頭をかしげて答える。
「うーん、戦用の自動車というものを出すと言っておった。それと、船も出すとな。人数は100もないと思うぞ。城塞の兵は精々200位のはずだし。しかし、その自動車は馬どころではない速さで駆けるし、新納の殿の持っている武器では壊すのは無理だと言っておった。
また、兵の持っている武器は、弓より遠くから遥かに強い攻撃が出来ると言っておった。それにのう、護衛している者が危うくなれは、相手を殺すこともやむを得ないとな。村田ドンは新納の殿様やその郎党より、民百姓の方が大事だと言っておったが、変わったことをいうものだと思ったぞ」
「何だ、それは。自分たちは危なくないというのか?」
聞いていた一人言うのに、芳人は応える。
「ああ、おらもそう思ったから聞いたぞ。その自動車に乗ってさえいれば、まず騎馬でも傷つけるのはできんだろうと言っておった」
結局寄合いは、全部で11ケ村の新納領から9ケ村の約2500人の村人すべてが逃散するということで決まった。
2ケ村は新納の親戚が村長なのだ。決行の日時は2日後の朝ということになった。当然寄合に出た皆は、決行は夜と思っていたが、城塞側が夜は混乱するので却って危ないということを芳人に伝えていたので、そのようになったのだ。
その日の朝、夜明けごろから南方村に人々が集まり始めたが、その時点では薩摩城塞(ベース)から軽装甲機動車2台、高機動車2台、2トントラック2台が庄屋宅付近の集合場所に来ていた。自衛隊員は20名が来ており、89式小銃に手榴弾各3発を個人装備している。
その他に軽装甲車には62式機関銃が供えられており、念のため84mm無反動砲も2基持ってきている。その他に、船外機を装備した渡河ボートを3艘と、420トン積の輸送艇を1艘もってきており、200人位は海からベースに付属する桟橋まで運ぶことができる。
これに対して、今回の主敵になりうるのは、国人領主新納信孝であり、動員能力は20騎の騎馬に歩兵が50兵程度であろう。近隣の領主から助っ人を頼むとしても、精々200~300騎、1000兵程度であろうから、弓と槍に刀の相手には十分な戦力である。
ただ、それは制限なしに相手を殲滅する場合、あるいは適当な脅しで相手が逃げてくれる場合の話である。しかし、指揮官の村田3佐は敵対して攻撃してくる相手であっても、出来るだけ傷つけないようにという困難な命題を与えられている。その意味では、相手が多いほど、相手の死傷者が増えることになるので、新納信孝が自領の動員のみによることを祈っていた。
日が昇りきった頃、予定の人数が集まって来たが、その前から、渡河艇によって順次幼い子供や妊婦、弱った老人や体調の悪いものについては輸送艇に乗せていった。見たところ荷車に過剰に荷を積んだ者もいたが、自分で引いていける範囲ということで自衛隊は助けてはいない。
そうやって、わいわいやっているうちに、騎馬が30騎ほどに、歩兵が70人程の一隊がやって来た。先頭にいるのは粗末な鎧兜をつけ槍を持って騎馬武者であるが、それを見て人々が「新納のお殿様!」と叫ぶ。
「我はこの姶良領主新納信孝じゃ。何者じゃ貴様らは?」
「薩摩城塞、警備主任である日本国自衛隊3佐村田省吾だ。我々は南方村庄屋である貫太郎殿の要請によって来たものだ。それはここに集まっている人々がこの姶良領を去って、わが薩摩城塞に移動するに当たって護衛のためだ」
村田が高機動車の助手席で、小銃を小脇に抱えて立ち上がり声を張り上げる。
「なにを勝手なことを言っておる。百姓どもの逃散などこのわしが許さん!貫太郎め、勝手なことをした報いは判っておろうの」
髭もじゃで小柄ながら筋肉でずんぐりした新納は、馬に拍車をかけて村田の高機動車の後ろ斜めにいた貫太郎へ向けて槍を構えて突っ込もうとする。
それに対して村田が、小銃を構えて「止まれ!」と叫んだが、相手が無視するのを見て、小銃の連発で打つ。
ダダダ!3連射で、銃弾は馬の前足を薙ぎ払う。「ギャーン」と馬は叫び、馬上の男を放り出しながらどっと倒れ伏す。ギャオーンと叫ぶ馬を横目に、新納が落下の衝撃でよろよろ立ち上がった。それに、もう一台の高機動車の助手席の水上1曹長が駆け下り、小銃の銃床で新納のこめかみを殴りつける。
数瞬、尚も馬は叫んでいる中での硬直を破って、新納の横にいた若い武将が、「この―」と叫び、槍を構えて騎馬で突っ込んでこようとする。しかし、それを地上の水上が小銃でダーンと肩を打ち抜く。後ろにのけぞり落下する若者をよそに、馬が狂乱しながら、銃を構えた水上の横を抜けて逃げ去る。
気がつくと12人の自衛隊の隊員が、小銃の照準を騎馬と歩兵に向けている。新納の兵は硬直して身動きできないところに、村田3佐が騎馬の足元に連射をして叫ぶ。
「去れ!去らずば、全員を撃つぞ!」
さらに、彼等らの頭上をかすめるように1連射、2連射する。そのダダダという射撃音と頭上を飛ぶ銃弾に恐怖して、1騎が馬首を巡らし逃げ出す。そうすると残りの騎馬も一斉に逃げ出し、歩兵も必死の形相でそれに続く。
その後の、逃げ出した人々の2000人以上の6里の道は平穏なものであったが、海路をとった200人余の方が到着は4時間以上も早く到着している。脳筋ではあるが、猛将として知られていた新納信孝が手も足も出ず、一方的に敗れたことが与えた影響は大きかった。
結果的に、最初から日本国に協力的であった島津忠昌が表向き実権を握り、実際は海外から帰って来た人々が指導して薩摩・大隅からなる鹿児島の産業開発が進んだ。それは、全面的な土地改良を行って農業改革を行うと共に、豊富な金を始めとする鉱山開発、工場建設を進めることであった。
島津忠昌は後に鹿児島県知事になったが、新納信孝は自衛隊に入隊したものの将校になるには学力が足りず、最終的に定年前に3尉になって退官した。
そして、その全盛期には九州のほぼ全土を制圧するに至ったが、江戸期には現在の鹿児島県を領有して明治維新まで存続した。1492年の段階では、11代である島津忠昌の治政の下にあったが、彼は京から臨済宗の僧侶である桂庵玄樹を招聘して薩南学派を起こすなど学問を好んだインテリであった。しかし、残念ながら薩摩ではそのインテリぶりを評価する者はほとんどおらず、領国内の一族・国人が立て続けに挙兵した。
それを彼は必死に押さえようとしたが、殆どの戦いに敗れ、世を儚んだ忠昌はついに自害して果てたという、まことに可哀そうな人である。そもそも、九州は15世紀から16世紀にかけて、多くの大名に分かれて相争う国で、島津家はその筆頭であった。とは言え、島津忠昌の時代は内乱に忙しく、他に打って出る余裕はなかった。
そのように、戦が好きで強い人にとって良い国であるが、勢力争いに血道を上げるような殿さまを頂く領民はたまったものではない。当然戦には費用がかかる訳であり、それを領主は年貢という形で民百姓から取り上げるのだ。
「おらあ、勘弁ならん。種もみまで持っていくような領主は願い下げじゃ。おい、皆逃散じゃ、逃散すっぞ!」
国人新納家が治める姶良領の南方村で寄り合いにおいて、好川村の佐助が気勢をあげる。10年前から断続的に桜島が噴火を起こし、錦江湾沿岸は大きな被害を受けている。当然、農業生産は落ち込んだが、領主達はその落ち込みに年貢を増やすことで応じた。
このため、民百姓は困窮して、雑穀や山で問った木の実、魚などを必死に集めて飢えをしのぐことになった。当然、不満は高まっていったが、領主とその周辺には不満を言っても聞くようなものはおらず、苦情は聞き流された。 むろん一揆で反抗するという手段はあるが、その指導者は死罪確定であり、また、精強な薩摩の地の侍たちに百姓が武力で勝てる道理はない。
彼等が南方村の庄屋の家に集まっているのは、領主が垂水の領主名坂玄番に攻めかけるために年貢の臨時徴収をしたということで不満が限界を越えたことにあった。元々、百姓とてギリギリで生きているわけで、さほどコメなどは残っていない。そこで、臨時に奪っていくわけだから、種もみまでを持っていくことになる。
無論領主とて、それまで奪ってしまえば次の年に困るのは自分達であることは判ってはいる。しかし、領主新納信孝の脳内では自分が勝って垂水の領を奪うことは確定事項であったので、その時点で種もみを与えればよい程度の考えであった。よしんば自分の思惑が外れても、飢えて死ぬのは百姓だ。
「逃散か。佐助、行く当てはあるんじゃろな?」
思慮深いと見做されている南方村庄屋の貫太郎が聞く。
「おおよ。おらの隣の芳坊が先日、薩摩城塞さ行ってきたぞ。それで、耳よりな話を聞いておる。芳坊 、おめえの聞いてきたさ言ってけれ」
佐助が隣に座っている10代に見える若者の肩を叩き言う。
「はあ、おらがその薩摩城塞と呼ばれるところに行ったのは3日前ですだ。そこに行ったのは、桂庵様から城塞はこの近くだけでなく、いろんなところにあって、民百姓を受け入れてくれると聞いたからだ」
芳人がそう言ったが、桂庵は国守である島津忠昌が京から招いた国有数の学僧で、その名声は近隣に鳴り響いている。
「なに!そんなことを、それは確かか?」
貫太郎が聞き返すのに芳人は懐から紙を数枚取り出して答える。
「ああ、確かじゃ。現にこの紙にはそう書いてある」
そして、芳人が貫太郎に1枚渡すと貫太郎はそれをしげしげと見つめる。それは、まず違っているのは色とりどりの絵と文字が記されていることだ。それだけでも目を引くが、さらに文字の形が非常に整っている。
「芳人、おめえは字が読めるのけ?」
貫太郎はまずその紙の色どりに驚き、さらに賢そうではあるが、見るから水のみ百姓の芳人という若者がそれを読める様子なのに驚いた。自分は庄屋の家に生まれたので一通りの読み書きは出来るが、百姓にはそれが出来る者はほとんどいないのだ。
それに対して、佐助が我がことのように自慢して答える。
「ああ、芳坊はわが好川村の神童じゃぞ。薩摩の桂庵様にも学問を習っちょる」
「それでな、この説明によると、こういうことが書いちょる。説明したいがよいかな?」
芳人は寄り合いに出ている10人ほどに届くように声を張り上げ、皆が自分を注視しているのを確認して話し始める。
「城塞では、大きな農場といろんな店や物を作る作業所を作ることになっちょる。そこでは働く者を集めちょる。これは、大人はもちろん、小さい子でも、勉強をしながら出来ることをやれば良いことになっちょる。ただ、大人も勉強して文字と算数を覚えにゃならん。そしてな……」
芳人は、思わせぶりに一旦言葉を切って、皆を見渡して話を続ける。
「そこではな、住むところをくれるぞ。それから、そこに住んじょれば食堂と言う所で朝、昼、晩3食が食える。またな、働くときの服は新しいものをくれる。なにより、そこで命じられた仕事をすれば、給金というお金をくれるぞ。
その金さえあれば、城塞の中にある店でそれこそ夢にも出てこないようなものが買えるぞ。この絵は、その店の中のものを写したものじゃ。ほれ、何かわからんものも多いじゃろうが、おらもようわからん。だけど、ごっつうええものであることは確かじゃ。それをおめえらが稼ぐ金で買えるのじゃ」
芳人は懐からA3版の写真を数枚取り出して順次掲げて見せる。人々は目を輝かせてそれを見ているが、ひとりが叫び始める。
「そげなうまい話があるものか!おらたちはいつも騙されてきた。おらんちは7人子ができたが、結局生き残ったのは1人だけじゃ。女房も3年前に死んだ。こりゃ碌に食うものがないせいじゃ。薩摩の御屋形様や桂庵様は立派な方かもしれん。しかし、そげな立派な方々がおら達のために何をしてくれた?」
「海津村の寛治か。おめえの言うのもわかる。なにせ、話がうますぎる。桜島の噴火、その後の飢饉、薩摩の御屋形様もなにもできず、しかも家来衆から背かれ攻められてもはや力はない。おめえが言う城塞じゃが、御屋形様がお認めになって作られたものの、針金で囲んでいるだけのもんじゃ。
確かに、そこの者達は摩訶不思議な乗り物を使ってはおるし、鉄の大船が新しく作った桟橋に来ているのも知ってちょる。だけんど、この国には新納の御領主のように、ええもんがあれば隙あらば盗ってやろうという者ばかりじゃ。その城塞とて数千の軍勢に攻められたら、どうにもならんじゃろう。おら達がそこにおったら皆殺しじゃ。どうじゃ、芳人?」
貫太郎が一旦寛治に同意して、芳人を問いつめる。
「ああ、その点はおらも気になっただ。だんも、城塞の後ろ盾はそれほど弱いものではないがね。なにやら、その本拠は『北海道』と『沖縄』と言うが、ものすごく豊からしいぞ。それらを治めているのが、『日本』という名の国らしい。
その日本は、京におわさっしゃる帝を天皇陛下として迎えているらしい。その日本が使っておるからくりが凄い。さっき貫太郎どんが言った、からくり仕掛けの走る乗り物、海を帆がなくて走る鉄の大船に、見た者もあるじゃろう、人を乗せて空を飛ぶ飛行機というものもあった、普通の民がそれに乗れるという。
そういうからくりを使える国じゃから戦も強い。その日本の兵は陸を走るからくり、海走る大船、空を飛ぶ飛行機を使って、見えないほどと遠いところから、爆発を起こすものを投げつけられるというぞ。薩摩城塞にはそういう兵が多くおるから、この周辺から万の兵が押し寄せても敗れることはないというぞ。ただ、城塞の兵はできるだけ攻め寄せる兵も殺したくはないと言っとるがの」
「ううむ。話が途方もなさ過ぎてやっぱり素直に信じられないのう。簡単に勝てるが、殺したくないとか言うてもな。新納の殿さんなど、簡単に敵を殺せるなら出来るだけ殺そうとするだろうよ。しかし、今はおらも正直なところ、その城塞の話が半分でも本当なら、村を挙げて、そこに逃げ込みたいと思うちょる。
だけんど、そこまでどうやって行くかだの。大体城塞まで6里くらいかの。女子供に年より迄連れて行くと、そう早くは歩けん。多分、3刻(6時間)はかかる。必ずや、新納の殿さんが追いついてくるぞ。追いつかれたら、おらたちのような肝いりのものは皆殺しだのう。そうなると残った者も引き返すしかなかろう」
貫太郎が腕を組みながら困って言うと芳人が答える。
「実はこの周辺の村で一斉に城塞に向かうかもしれんというのは城塞で話してみただ。相手は、村田という城塞の『保安』という部署の頭だった。まあ、桂庵様の紹介があったから会えたのだのじゃ。人数は、大体この南方村で520人、好川村で320人、海津村で340人、…………、合計で2520人位ということでの。
村田どんの話では、その人数位の受け入れはできるということじゃ。しばらくは一部屋に4人位入ることになるのと、服が暫く足りんかもしれんらしいが。ただ、食い物は問題ないらしい。
あらかじめ知らせれば、護衛につくというし、足弱の子供や年よりなどについては船を出してくれるらしい」
「「「「ほう!」」」」
芳人の話に驚きの声があがった。それはそうだろう。民百姓のために護衛が出るなどという話は例がなく驚くのが当然だ。
「そ、そうか。その護衛というのは幾人かの?」
貫太郎も驚いて聞き返すのに、芳人は頭をかしげて答える。
「うーん、戦用の自動車というものを出すと言っておった。それと、船も出すとな。人数は100もないと思うぞ。城塞の兵は精々200位のはずだし。しかし、その自動車は馬どころではない速さで駆けるし、新納の殿の持っている武器では壊すのは無理だと言っておった。
また、兵の持っている武器は、弓より遠くから遥かに強い攻撃が出来ると言っておった。それにのう、護衛している者が危うくなれは、相手を殺すこともやむを得ないとな。村田ドンは新納の殿様やその郎党より、民百姓の方が大事だと言っておったが、変わったことをいうものだと思ったぞ」
「何だ、それは。自分たちは危なくないというのか?」
聞いていた一人言うのに、芳人は応える。
「ああ、おらもそう思ったから聞いたぞ。その自動車に乗ってさえいれば、まず騎馬でも傷つけるのはできんだろうと言っておった」
結局寄合いは、全部で11ケ村の新納領から9ケ村の約2500人の村人すべてが逃散するということで決まった。
2ケ村は新納の親戚が村長なのだ。決行の日時は2日後の朝ということになった。当然寄合に出た皆は、決行は夜と思っていたが、城塞側が夜は混乱するので却って危ないということを芳人に伝えていたので、そのようになったのだ。
その日の朝、夜明けごろから南方村に人々が集まり始めたが、その時点では薩摩城塞(ベース)から軽装甲機動車2台、高機動車2台、2トントラック2台が庄屋宅付近の集合場所に来ていた。自衛隊員は20名が来ており、89式小銃に手榴弾各3発を個人装備している。
その他に軽装甲車には62式機関銃が供えられており、念のため84mm無反動砲も2基持ってきている。その他に、船外機を装備した渡河ボートを3艘と、420トン積の輸送艇を1艘もってきており、200人位は海からベースに付属する桟橋まで運ぶことができる。
これに対して、今回の主敵になりうるのは、国人領主新納信孝であり、動員能力は20騎の騎馬に歩兵が50兵程度であろう。近隣の領主から助っ人を頼むとしても、精々200~300騎、1000兵程度であろうから、弓と槍に刀の相手には十分な戦力である。
ただ、それは制限なしに相手を殲滅する場合、あるいは適当な脅しで相手が逃げてくれる場合の話である。しかし、指揮官の村田3佐は敵対して攻撃してくる相手であっても、出来るだけ傷つけないようにという困難な命題を与えられている。その意味では、相手が多いほど、相手の死傷者が増えることになるので、新納信孝が自領の動員のみによることを祈っていた。
日が昇りきった頃、予定の人数が集まって来たが、その前から、渡河艇によって順次幼い子供や妊婦、弱った老人や体調の悪いものについては輸送艇に乗せていった。見たところ荷車に過剰に荷を積んだ者もいたが、自分で引いていける範囲ということで自衛隊は助けてはいない。
そうやって、わいわいやっているうちに、騎馬が30騎ほどに、歩兵が70人程の一隊がやって来た。先頭にいるのは粗末な鎧兜をつけ槍を持って騎馬武者であるが、それを見て人々が「新納のお殿様!」と叫ぶ。
「我はこの姶良領主新納信孝じゃ。何者じゃ貴様らは?」
「薩摩城塞、警備主任である日本国自衛隊3佐村田省吾だ。我々は南方村庄屋である貫太郎殿の要請によって来たものだ。それはここに集まっている人々がこの姶良領を去って、わが薩摩城塞に移動するに当たって護衛のためだ」
村田が高機動車の助手席で、小銃を小脇に抱えて立ち上がり声を張り上げる。
「なにを勝手なことを言っておる。百姓どもの逃散などこのわしが許さん!貫太郎め、勝手なことをした報いは判っておろうの」
髭もじゃで小柄ながら筋肉でずんぐりした新納は、馬に拍車をかけて村田の高機動車の後ろ斜めにいた貫太郎へ向けて槍を構えて突っ込もうとする。
それに対して村田が、小銃を構えて「止まれ!」と叫んだが、相手が無視するのを見て、小銃の連発で打つ。
ダダダ!3連射で、銃弾は馬の前足を薙ぎ払う。「ギャーン」と馬は叫び、馬上の男を放り出しながらどっと倒れ伏す。ギャオーンと叫ぶ馬を横目に、新納が落下の衝撃でよろよろ立ち上がった。それに、もう一台の高機動車の助手席の水上1曹長が駆け下り、小銃の銃床で新納のこめかみを殴りつける。
数瞬、尚も馬は叫んでいる中での硬直を破って、新納の横にいた若い武将が、「この―」と叫び、槍を構えて騎馬で突っ込んでこようとする。しかし、それを地上の水上が小銃でダーンと肩を打ち抜く。後ろにのけぞり落下する若者をよそに、馬が狂乱しながら、銃を構えた水上の横を抜けて逃げ去る。
気がつくと12人の自衛隊の隊員が、小銃の照準を騎馬と歩兵に向けている。新納の兵は硬直して身動きできないところに、村田3佐が騎馬の足元に連射をして叫ぶ。
「去れ!去らずば、全員を撃つぞ!」
さらに、彼等らの頭上をかすめるように1連射、2連射する。そのダダダという射撃音と頭上を飛ぶ銃弾に恐怖して、1騎が馬首を巡らし逃げ出す。そうすると残りの騎馬も一斉に逃げ出し、歩兵も必死の形相でそれに続く。
その後の、逃げ出した人々の2000人以上の6里の道は平穏なものであったが、海路をとった200人余の方が到着は4時間以上も早く到着している。脳筋ではあるが、猛将として知られていた新納信孝が手も足も出ず、一方的に敗れたことが与えた影響は大きかった。
結果的に、最初から日本国に協力的であった島津忠昌が表向き実権を握り、実際は海外から帰って来た人々が指導して薩摩・大隅からなる鹿児島の産業開発が進んだ。それは、全面的な土地改良を行って農業改革を行うと共に、豊富な金を始めとする鉱山開発、工場建設を進めることであった。
島津忠昌は後に鹿児島県知事になったが、新納信孝は自衛隊に入隊したものの将校になるには学力が足りず、最終的に定年前に3尉になって退官した。
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