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第二章:他罰性の化け物
第二十二話 東の森のアシュリン
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氷夜が目覚めないまま迎えた四回目の朝。
私はアキトから貰った情報を頼りに森の中にある孤児院へと向かっていた。
「えーっと……こっちであってるのよね?」
慎重に地図と見比べながら私は森の中を進む。
ここは王都グランツブルグの東地区に位置するツヴァルビッヒ大森林。
市街地に隣接しているとだけあって道は一応整備されているのだが、いかんせんこの森は広すぎる。
もう十五分ほど歩いているが、まだまだ目的地の孤児院には着きそうにない。
「はぁ……こんなことならメロアに頼んで孤児院に転送してもらえばよかったわ」
ちょうどメロアとは朝に会っているからその時に頼んでおけば、今頃孤児院には着いていたはずだ。
なぜ頼まなかったのかと朝の自分を問い詰めてやりたい。
……まぁ問い詰めたところで意味はないんだけどね。
「さて……もうひと頑張りよ」
頬を叩いて再び気合を入れなおす。
そうしてしばらく歩いていると、ようやく孤児院が見えてきた。
「ふぅ……やっと着いたわね」
時間にして30分ほどだろうか。
森の奥にあったのは小さな学校くらいの孤児院だった。
ざっと見れば小学校低学年くらいの子どもたちが十数名ほど。
中庭で元気にはしゃぎまわっている。
その傍には彼らよりも年齢が一回り高そうな見張りらしき人が佇んでいた。
「よし」
話を聞くなら子どもたちよりもまずはあの人だろう。
「すみません。ちょっとお尋ねしたいことが……っ!?」
声をかけようとして思わず固まった。
その人は私でも見惚れそうになるほどの美少女だった。
燃えるような緋色の瞳と絹のような白髪、そして褐色の肌。
私よりも背は低いが、顔立ちは西洋人形のように整っており、完璧なバランスでメイド服を着こなしている。
山羊のように婉曲した特徴的な耳には民族的な装飾がつけられていた。
「あのー」
メロアとはまた違う意味で神秘的な雰囲気を纏った彼女は私を見て訝しむかのような表情を浮かべた。
「どちらさまですか? ここは関係者以外の立ち入りは禁止されていますが……」
「す、すみません。別に怪しい者じゃないんです!」
そこまで言ってから気付く。
私の馬鹿……これじゃあ本当に怪しい人みたいじゃない。
「私、鈴崎小春っていいます! 知り合いを助けるためにロクサムという花が欲しくて……アキトからここを訪ねるように言われてきました!」
慌ててここに来た目的を話し、アキトから貰った紹介状を手渡す。
彼女はそれをしばらく読み込んだ後、私に視線を合わせてくれた。
「なるほど、アキト様の知り合いだったようですね。これは失礼しました。私はアシュリン・ガルザーネと申します。ロクサムの群生地へなら私が案内できますよ」
「本当ですか!」
「ええ、ただしロクサムがある場所までの道中、私の指示に従ってもらうことになります。よろしいでしょうか?」
「もちろんです!」
こういうのは詳しい人に任せるのが一番のはず。
そもそも私が頼む立場なんだから、それくらいは当然だろう。
なんて浅い考えでアシュリンの提示した条件を快く承諾した……のだが、
「――それでは小春様、部屋の掃除からお願いします」
「はい?」
私はすぐに後悔することになった。
「遅いですよ。もっとてきぱきやらないと」
「はいぃ!」
まずは部屋の掃除から始まり、
「次はこちらです」
「は、はい!」
子どもたちの服を洗濯したり、食器を洗ったり。
様々な雑用をこなしてようやく手が空くと、アシュリンさんは周囲で遊んでいた子どもたちを集めてからとんでもないことを口走った。
「こちら新入りの小春さんです。今日は皆さまと遊んでくださるようですよ」
「ちょ、ちょっと!?」
……聞いてないわよそんなの!?
これ以上の雑用はさすがに御免だと抗議したかったが、
「ちがうの?」
「うぐぐっ……」
子どもたちの輝く眼を見たらとても否定はできなかった。
……それが甘かった。
子どもたちの体力と想像力はまさに無限。
一たび了承してしまえば、こちらの都合などお構いなしに私を巻き込んでいく。
「それじゃあ小春お姉ちゃんが怪獣役ね」
「え?」
ヒーローごっこに付き合わされたかと思えば、
「小春おねえちゃんメリーゴーランドやって?」
「ご、ごめんね。それは一体どういう遊びなのかな?」
「私たちを掴んでくるくる回すの! いつもの人ならやってくれるよ?」
「…………」
無理難題を吹っ掛けられたりもした。
氷夜の相手をして鍛えられたツッコミもこの子たちの前では無力でしかない。
そうこうしている時間はどんどんと過ぎていく。
「ぜぇ……ぜぇ。もう無理ぃ」
まさか子どもたちの面倒を見るのがこんなに大変だとは思ってもみなかった。
これじゃあ、ロクサムを探しに行く前に私の体力が尽きてしまう。
「ア、アシュリンさん、これはロクサムを探しに行くのと何か関係があるんですか?」
本を片手にハンモックに寝そべっているアシュリンさんに恐る恐る尋ねると、彼女はあっけらかんと事実を口にした。
「関係ないですよ? ただ私の仕事を代わりにやってもらっているだけですから」
「か、関係ない!?」
「あ、私の名前は呼び捨てで結構ですので」
「そんなの聞いてないわよ!」
……ああ、もうなんだか腹が立ってきた。
雑用を人に押し付けておいて、優雅に休憩できるふてぶてしさとか、
のらりくらりとしているところとか。
どことなく氷夜に雰囲気が似てて癪に障る。
「じゃあ遠慮なく聞かせて貰いますけどね。なんで私にこんなことをさせているんですか?」
「理由も何もめんどくさかったので小春様にやってもらおうと思っただけです。子どもの相手って疲れるので」
「あ、あんたねぇ~」
自分の仕事を押し付けてどうするのよ?と突っ込んでもアシュリンは小悪魔のように笑うだけだ。
「あれあれ? 雑用をやらされるのは不服ですか? でしたらこの広い森の中を一人で探しに行ってもいいんですよ?」
「っ……」
「ご自分の立場を理解されたのでしたら続きをやってください。ほら早く早く」
「あんた……覚えてなさいよ」
悔しいけど、氷夜のためにもここはアシュリンに従う他ないわ。
「はぁ……」
仕方なく手に握りしめた雑巾を床に置き、膝をつく。
そうして床掃除に移ろうとしたその時、唐突に扉が開かれた。
「――戻ったぞ」
現れたのは騎士のような甲冑を身にまとった美女。
「…………アシュリン?」
頭から生えた触覚のようなものをぴょこぴょこと動かしながら、彼女は私をこき使ったアシュリンに対して問いを投げかける。
「これは一体なんだ?」
「ネ、ネイロ様。これはその…………」
「その?」
「てへっ!」
「アシュリン貴様!」
アシュリンがとぼけたのと同時に、その人はアシュリンにとびかかった。
********
「すまないなご客人。うちのアシュリンがご迷惑をおかけした」
「いえいえ。もう気にしてないですよ」
私はネイロさん?の横にアシュリンを見る。
きっと裏でこってり絞られたのだろう。
先程までとは打って変わってアシュリンは借りてきた猫のように大人しくしていた。
「さて自己紹介がまだだったな。私はネイロ・トラバルト。この孤児院の管理を任されている者だ。貴殿は……」
「す、鈴崎小春です。少し前にこの世界に転移してきました」
「なるほど。最近やってきた転移者というのは貴殿のことだったのか。元の世界の戻るまでの間にはなるかもしれないが、これからよろしくな」
「ええ」
差し出された手に応じてがっちりと握手を交わすと、ネイロさんはさっそく本題に斬り込んできた。
「しかし小春殿、本日はどういった用件でこちらに? こんな森の中には転移者の方が欲しがるものはないと思いますが」
「そのことなんですが実は……」
私は氷夜のことも含めてネイロさんに今までの経緯を話した。
「ふむふむ……氷夜のためにロクサムをか。であれば、なおさら我々も協力しないわけにはいかないな。なぁアシュリン?」
「も、もひろんでしゅ。しぇいいっぱい、案内させていただきましゅ」
ネイロさんに頬っぺたを抓られて面白い顔になるアシュリン。
アシュリンが同行するというのは些か不安だが、いい気味だから気にしないでおく。
……それよりも気になったことがある。
「ネイロさんは氷夜を知っているんですか?」
「もちろんだとも。一応私たちも城の使用人だ。あいつとは何度か一緒に仕事をしたことがある」
「へぇ……ってことはアシュリンも?」
「ええ。氷夜様とはそれはもう親しくさせていただきました。おはようからおやすみまで夫婦のようにしっぽりと……」
「はいはい」
氷夜がふざけた時と同じように適当に相槌を打って受け流していると、その横ではネイロさんが申し訳なさそうにしていた。
「本当にうちの馬鹿がご迷惑を……」
「いえいえ。別に慣れていますから」
正幸みたいに傲慢なタイプならともかくアシュリンはふざけているだけだ。
反抗期の子どもだと思えばいい。
「そう言ってくれるとこちらとしても助かる。私は仕事で残らなければならないのでな」
「そ、そうですか」
さすがにアシュリンと二人きりなのは予想してなかった。
「けどまあいいわ。行きましょうアシュリン」
「承知いたしました。それではネクロ様、私たちはこれにて失礼します」
「ああ、行ってこい。二人とも無事で帰って来るんだぞ?」
「はい!」
ネイロさんの暖かい言葉を背に私たちは孤児院を出る。
「それでロクサムがあるのはどっちなの?」
「――こちらです」
私の問いに迷いなく答えるアシュリン。
だが数歩進んだところで、アシュリンは唐突に振り返った。
「あっ……こちらではなく反対側でした」
「なんであんたが間違えるのよ!」
――前言撤回。
やっぱりアシュリンと二人は無理かも。
私はアキトから貰った情報を頼りに森の中にある孤児院へと向かっていた。
「えーっと……こっちであってるのよね?」
慎重に地図と見比べながら私は森の中を進む。
ここは王都グランツブルグの東地区に位置するツヴァルビッヒ大森林。
市街地に隣接しているとだけあって道は一応整備されているのだが、いかんせんこの森は広すぎる。
もう十五分ほど歩いているが、まだまだ目的地の孤児院には着きそうにない。
「はぁ……こんなことならメロアに頼んで孤児院に転送してもらえばよかったわ」
ちょうどメロアとは朝に会っているからその時に頼んでおけば、今頃孤児院には着いていたはずだ。
なぜ頼まなかったのかと朝の自分を問い詰めてやりたい。
……まぁ問い詰めたところで意味はないんだけどね。
「さて……もうひと頑張りよ」
頬を叩いて再び気合を入れなおす。
そうしてしばらく歩いていると、ようやく孤児院が見えてきた。
「ふぅ……やっと着いたわね」
時間にして30分ほどだろうか。
森の奥にあったのは小さな学校くらいの孤児院だった。
ざっと見れば小学校低学年くらいの子どもたちが十数名ほど。
中庭で元気にはしゃぎまわっている。
その傍には彼らよりも年齢が一回り高そうな見張りらしき人が佇んでいた。
「よし」
話を聞くなら子どもたちよりもまずはあの人だろう。
「すみません。ちょっとお尋ねしたいことが……っ!?」
声をかけようとして思わず固まった。
その人は私でも見惚れそうになるほどの美少女だった。
燃えるような緋色の瞳と絹のような白髪、そして褐色の肌。
私よりも背は低いが、顔立ちは西洋人形のように整っており、完璧なバランスでメイド服を着こなしている。
山羊のように婉曲した特徴的な耳には民族的な装飾がつけられていた。
「あのー」
メロアとはまた違う意味で神秘的な雰囲気を纏った彼女は私を見て訝しむかのような表情を浮かべた。
「どちらさまですか? ここは関係者以外の立ち入りは禁止されていますが……」
「す、すみません。別に怪しい者じゃないんです!」
そこまで言ってから気付く。
私の馬鹿……これじゃあ本当に怪しい人みたいじゃない。
「私、鈴崎小春っていいます! 知り合いを助けるためにロクサムという花が欲しくて……アキトからここを訪ねるように言われてきました!」
慌ててここに来た目的を話し、アキトから貰った紹介状を手渡す。
彼女はそれをしばらく読み込んだ後、私に視線を合わせてくれた。
「なるほど、アキト様の知り合いだったようですね。これは失礼しました。私はアシュリン・ガルザーネと申します。ロクサムの群生地へなら私が案内できますよ」
「本当ですか!」
「ええ、ただしロクサムがある場所までの道中、私の指示に従ってもらうことになります。よろしいでしょうか?」
「もちろんです!」
こういうのは詳しい人に任せるのが一番のはず。
そもそも私が頼む立場なんだから、それくらいは当然だろう。
なんて浅い考えでアシュリンの提示した条件を快く承諾した……のだが、
「――それでは小春様、部屋の掃除からお願いします」
「はい?」
私はすぐに後悔することになった。
「遅いですよ。もっとてきぱきやらないと」
「はいぃ!」
まずは部屋の掃除から始まり、
「次はこちらです」
「は、はい!」
子どもたちの服を洗濯したり、食器を洗ったり。
様々な雑用をこなしてようやく手が空くと、アシュリンさんは周囲で遊んでいた子どもたちを集めてからとんでもないことを口走った。
「こちら新入りの小春さんです。今日は皆さまと遊んでくださるようですよ」
「ちょ、ちょっと!?」
……聞いてないわよそんなの!?
これ以上の雑用はさすがに御免だと抗議したかったが、
「ちがうの?」
「うぐぐっ……」
子どもたちの輝く眼を見たらとても否定はできなかった。
……それが甘かった。
子どもたちの体力と想像力はまさに無限。
一たび了承してしまえば、こちらの都合などお構いなしに私を巻き込んでいく。
「それじゃあ小春お姉ちゃんが怪獣役ね」
「え?」
ヒーローごっこに付き合わされたかと思えば、
「小春おねえちゃんメリーゴーランドやって?」
「ご、ごめんね。それは一体どういう遊びなのかな?」
「私たちを掴んでくるくる回すの! いつもの人ならやってくれるよ?」
「…………」
無理難題を吹っ掛けられたりもした。
氷夜の相手をして鍛えられたツッコミもこの子たちの前では無力でしかない。
そうこうしている時間はどんどんと過ぎていく。
「ぜぇ……ぜぇ。もう無理ぃ」
まさか子どもたちの面倒を見るのがこんなに大変だとは思ってもみなかった。
これじゃあ、ロクサムを探しに行く前に私の体力が尽きてしまう。
「ア、アシュリンさん、これはロクサムを探しに行くのと何か関係があるんですか?」
本を片手にハンモックに寝そべっているアシュリンさんに恐る恐る尋ねると、彼女はあっけらかんと事実を口にした。
「関係ないですよ? ただ私の仕事を代わりにやってもらっているだけですから」
「か、関係ない!?」
「あ、私の名前は呼び捨てで結構ですので」
「そんなの聞いてないわよ!」
……ああ、もうなんだか腹が立ってきた。
雑用を人に押し付けておいて、優雅に休憩できるふてぶてしさとか、
のらりくらりとしているところとか。
どことなく氷夜に雰囲気が似てて癪に障る。
「じゃあ遠慮なく聞かせて貰いますけどね。なんで私にこんなことをさせているんですか?」
「理由も何もめんどくさかったので小春様にやってもらおうと思っただけです。子どもの相手って疲れるので」
「あ、あんたねぇ~」
自分の仕事を押し付けてどうするのよ?と突っ込んでもアシュリンは小悪魔のように笑うだけだ。
「あれあれ? 雑用をやらされるのは不服ですか? でしたらこの広い森の中を一人で探しに行ってもいいんですよ?」
「っ……」
「ご自分の立場を理解されたのでしたら続きをやってください。ほら早く早く」
「あんた……覚えてなさいよ」
悔しいけど、氷夜のためにもここはアシュリンに従う他ないわ。
「はぁ……」
仕方なく手に握りしめた雑巾を床に置き、膝をつく。
そうして床掃除に移ろうとしたその時、唐突に扉が開かれた。
「――戻ったぞ」
現れたのは騎士のような甲冑を身にまとった美女。
「…………アシュリン?」
頭から生えた触覚のようなものをぴょこぴょこと動かしながら、彼女は私をこき使ったアシュリンに対して問いを投げかける。
「これは一体なんだ?」
「ネ、ネイロ様。これはその…………」
「その?」
「てへっ!」
「アシュリン貴様!」
アシュリンがとぼけたのと同時に、その人はアシュリンにとびかかった。
********
「すまないなご客人。うちのアシュリンがご迷惑をおかけした」
「いえいえ。もう気にしてないですよ」
私はネイロさん?の横にアシュリンを見る。
きっと裏でこってり絞られたのだろう。
先程までとは打って変わってアシュリンは借りてきた猫のように大人しくしていた。
「さて自己紹介がまだだったな。私はネイロ・トラバルト。この孤児院の管理を任されている者だ。貴殿は……」
「す、鈴崎小春です。少し前にこの世界に転移してきました」
「なるほど。最近やってきた転移者というのは貴殿のことだったのか。元の世界の戻るまでの間にはなるかもしれないが、これからよろしくな」
「ええ」
差し出された手に応じてがっちりと握手を交わすと、ネイロさんはさっそく本題に斬り込んできた。
「しかし小春殿、本日はどういった用件でこちらに? こんな森の中には転移者の方が欲しがるものはないと思いますが」
「そのことなんですが実は……」
私は氷夜のことも含めてネイロさんに今までの経緯を話した。
「ふむふむ……氷夜のためにロクサムをか。であれば、なおさら我々も協力しないわけにはいかないな。なぁアシュリン?」
「も、もひろんでしゅ。しぇいいっぱい、案内させていただきましゅ」
ネイロさんに頬っぺたを抓られて面白い顔になるアシュリン。
アシュリンが同行するというのは些か不安だが、いい気味だから気にしないでおく。
……それよりも気になったことがある。
「ネイロさんは氷夜を知っているんですか?」
「もちろんだとも。一応私たちも城の使用人だ。あいつとは何度か一緒に仕事をしたことがある」
「へぇ……ってことはアシュリンも?」
「ええ。氷夜様とはそれはもう親しくさせていただきました。おはようからおやすみまで夫婦のようにしっぽりと……」
「はいはい」
氷夜がふざけた時と同じように適当に相槌を打って受け流していると、その横ではネイロさんが申し訳なさそうにしていた。
「本当にうちの馬鹿がご迷惑を……」
「いえいえ。別に慣れていますから」
正幸みたいに傲慢なタイプならともかくアシュリンはふざけているだけだ。
反抗期の子どもだと思えばいい。
「そう言ってくれるとこちらとしても助かる。私は仕事で残らなければならないのでな」
「そ、そうですか」
さすがにアシュリンと二人きりなのは予想してなかった。
「けどまあいいわ。行きましょうアシュリン」
「承知いたしました。それではネクロ様、私たちはこれにて失礼します」
「ああ、行ってこい。二人とも無事で帰って来るんだぞ?」
「はい!」
ネイロさんの暖かい言葉を背に私たちは孤児院を出る。
「それでロクサムがあるのはどっちなの?」
「――こちらです」
私の問いに迷いなく答えるアシュリン。
だが数歩進んだところで、アシュリンは唐突に振り返った。
「あっ……こちらではなく反対側でした」
「なんであんたが間違えるのよ!」
――前言撤回。
やっぱりアシュリンと二人は無理かも。
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