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巡り巡って俺は妹に嫌われている
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「……はぁ」
何気なく溜め息を吐きたくなる、そんなことが最近は増えた気がする。
俺、如月春次は県立白坂高校に通う二年生。家族構成は伯父母と俺、一つ年下の妹だ。妹……如月汐波は二年程前までは従順で兄思いの妹だった…なのに、今は……。
「じろじろと見ないでください」
つっけんどんかつ冷酷な態度…昔は"お兄ちゃん"と言って何処へでも付いてきたし、『お兄ちゃんと結婚する!』が口癖だったのに……。
そう、妹は現在俺に対して"のみ"の反抗期なのだ…あれは…両親の葬儀が終わってからだったかな……。
両親の死が遺した傷は深いらしい……。
それでも、汐波の可愛さに変わりはない。
空色のリボンでツインテールに結われたツヤのある黒髪にあどけない顔立ち、芯の強さを醸し出す瞳に長い睫毛…そして、その胸元……他の15歳とは一線を画すそれは144センチしかない身長にアンバランスかもしれない。しかし、そのギャップこそ汐波の魅力をより一層……。
「あなたの邪な考えが筒抜けなのですが……」
……しまった、勘がいいということを忘れていた。
知らぬ間にサディスティックになっていた妹のせいで俺は新しい境地に辿り着き……。
「いい加減にしてもらえませんか? あなたがマゾだろうが私には関係ありません。ですが、あたしで興奮するのはやめてください」
朝からこの罵倒ラッシュ……。しかも、声を荒げるでもなくただ静かに淡々と罵るため、よりダメージがでかい……。俺の精神がいかに鍛えられたか……。
二年程、こんな生活が続いている。これが妹じゃなきゃとっくに挫けてる…だが、兄は妹がいれば何倍にだって強くなれるんだ!
「まったく、朝から仲のいい兄妹だ」
後ろから聞こえる声にまた溜め息を吐きたくなる……。声の主は伯父だ。伯父は敏腕銀行員で、実の子でない俺たちに深い情を注いでくれる。しかし、家庭ではやや空気を読んでくれない……。そんなことありませんよ。そう答える汐波の声に俺のときとは違い棘が無いことが汐波の反抗期が俺に対してのみのものであることを証明している……。
汐波はいつも俺より十分程家を早く出発する…先に言おう、汐波も白坂高校の生徒だ。だが、俺と一緒に登校してくれない…一度だけ俺が頑張って早く仕度を完了させ一緒に登校しようとしたら、『あなたと一緒に登校したら朝の爽やかな空気が濁ってしまいます』と言われてしまった…その日、俺は熱を出して高校を欠席したのはここだけの話だ。
どんよりとした空の下、俺は長い坂を登って登校する。自転車通学もいいが、朝から汗だくにはなりたくないため徒歩で登校している。本来は十分で着くが少しゆっくり行くのがいつものこと。
「おはよう春次、待たせたかな?」
家から二分くらい登ると俺の幼なじみである栞仲晃翔(かんなこうと)が家から出てきた。
男子にしては小柄で、緩くウェーブした髪に甘い童顔という中性的な容貌が特徴の俺の一番の親友。まっすぐで優しい性格で男女を問わず人に好かれる。
「今日もしぃちゃんは一緒じゃないんだ……。もう二年も経つのに」
晃翔は汐波のことをしぃちゃんと呼ぶ。晃翔とは小学校に上がる前からの仲で、汐波も晃翔には優しく接する。ちょっと妬ける……。
「……へ、くしゅっん」
ん~くしゃみが…。
「平気?もう花粉の時期じゃないけどティッシュあるよ?」
晃翔は心配そうな顔を覗かせた。ちなみに晃翔は花粉症患者。
ティッシュを受け取り鼻をかむ。くれるというのでそのまま貰った。
「助かるよ。晃翔」
素直に礼を言うと晃翔は照れながらどういたしましてと言った。つーか俺……風邪かな? 熱っぽいし……なぁ。
「顔が赤いよ?熱あるんじゃない?」
俺のデコに手を当てる……。
「大丈夫? 今日はあまり無理しちゃダメだよ」
晃翔は俺のデコから手を離し、優しく微笑んだ。こいつ本当に男かよ? とか思ってはいけない。きっと汐波がいなくて、晃翔が女子だったら間違いなく惚れていたな。
さて、長い坂を登りきると門の白が特徴の県立白坂高校に到着する。今日も一日頑張りますか!!
何気なく溜め息を吐きたくなる、そんなことが最近は増えた気がする。
俺、如月春次は県立白坂高校に通う二年生。家族構成は伯父母と俺、一つ年下の妹だ。妹……如月汐波は二年程前までは従順で兄思いの妹だった…なのに、今は……。
「じろじろと見ないでください」
つっけんどんかつ冷酷な態度…昔は"お兄ちゃん"と言って何処へでも付いてきたし、『お兄ちゃんと結婚する!』が口癖だったのに……。
そう、妹は現在俺に対して"のみ"の反抗期なのだ…あれは…両親の葬儀が終わってからだったかな……。
両親の死が遺した傷は深いらしい……。
それでも、汐波の可愛さに変わりはない。
空色のリボンでツインテールに結われたツヤのある黒髪にあどけない顔立ち、芯の強さを醸し出す瞳に長い睫毛…そして、その胸元……他の15歳とは一線を画すそれは144センチしかない身長にアンバランスかもしれない。しかし、そのギャップこそ汐波の魅力をより一層……。
「あなたの邪な考えが筒抜けなのですが……」
……しまった、勘がいいということを忘れていた。
知らぬ間にサディスティックになっていた妹のせいで俺は新しい境地に辿り着き……。
「いい加減にしてもらえませんか? あなたがマゾだろうが私には関係ありません。ですが、あたしで興奮するのはやめてください」
朝からこの罵倒ラッシュ……。しかも、声を荒げるでもなくただ静かに淡々と罵るため、よりダメージがでかい……。俺の精神がいかに鍛えられたか……。
二年程、こんな生活が続いている。これが妹じゃなきゃとっくに挫けてる…だが、兄は妹がいれば何倍にだって強くなれるんだ!
「まったく、朝から仲のいい兄妹だ」
後ろから聞こえる声にまた溜め息を吐きたくなる……。声の主は伯父だ。伯父は敏腕銀行員で、実の子でない俺たちに深い情を注いでくれる。しかし、家庭ではやや空気を読んでくれない……。そんなことありませんよ。そう答える汐波の声に俺のときとは違い棘が無いことが汐波の反抗期が俺に対してのみのものであることを証明している……。
汐波はいつも俺より十分程家を早く出発する…先に言おう、汐波も白坂高校の生徒だ。だが、俺と一緒に登校してくれない…一度だけ俺が頑張って早く仕度を完了させ一緒に登校しようとしたら、『あなたと一緒に登校したら朝の爽やかな空気が濁ってしまいます』と言われてしまった…その日、俺は熱を出して高校を欠席したのはここだけの話だ。
どんよりとした空の下、俺は長い坂を登って登校する。自転車通学もいいが、朝から汗だくにはなりたくないため徒歩で登校している。本来は十分で着くが少しゆっくり行くのがいつものこと。
「おはよう春次、待たせたかな?」
家から二分くらい登ると俺の幼なじみである栞仲晃翔(かんなこうと)が家から出てきた。
男子にしては小柄で、緩くウェーブした髪に甘い童顔という中性的な容貌が特徴の俺の一番の親友。まっすぐで優しい性格で男女を問わず人に好かれる。
「今日もしぃちゃんは一緒じゃないんだ……。もう二年も経つのに」
晃翔は汐波のことをしぃちゃんと呼ぶ。晃翔とは小学校に上がる前からの仲で、汐波も晃翔には優しく接する。ちょっと妬ける……。
「……へ、くしゅっん」
ん~くしゃみが…。
「平気?もう花粉の時期じゃないけどティッシュあるよ?」
晃翔は心配そうな顔を覗かせた。ちなみに晃翔は花粉症患者。
ティッシュを受け取り鼻をかむ。くれるというのでそのまま貰った。
「助かるよ。晃翔」
素直に礼を言うと晃翔は照れながらどういたしましてと言った。つーか俺……風邪かな? 熱っぽいし……なぁ。
「顔が赤いよ?熱あるんじゃない?」
俺のデコに手を当てる……。
「大丈夫? 今日はあまり無理しちゃダメだよ」
晃翔は俺のデコから手を離し、優しく微笑んだ。こいつ本当に男かよ? とか思ってはいけない。きっと汐波がいなくて、晃翔が女子だったら間違いなく惚れていたな。
さて、長い坂を登りきると門の白が特徴の県立白坂高校に到着する。今日も一日頑張りますか!!
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