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巡り巡って俺は妹とデート中
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汐波とのデートが楽しみ過ぎて眠れない日々を送ること一週間……ようやく土曜日になった。思い返せば授業中に爆睡して怒られたこともあったが、そんなことは些細なことだ。しかし、汐波はあれ以来声をかけてはくれなかった…デートの件は本当に実在するのか、という疑念に駈られる程だし、看病の時に見せた優しさもナリを潜めている……。それでも信じて俺は駅へ向かった。
少しありきたりだが、汐波は駅前にある噴水の前で待っていた………が、
「しまった…汐波! 待たせたな。悪いな、コイツは今日俺とデートする約束なんだ」
俺は汐波の前に慌てて駆け寄り、汐波をナンパしていた不埒な男共に対峙した。
見慣れたはずの俺でさえ見惚れてしまうんだ。一般人から見て汐波が魅力的に映らない訳がない。しかも、今日の汐波の格好はかなり扇情的だ……。それなのに、俺は汐波を一人で待たせてしまった…完全に俺の失策だ……。兄失格だ……。自責の念が俺に重くのし掛かる……、
幸い、ナンパ野郎は直ぐに退散してくれたが、俺は汐波にとにかく謝った。
「まずは遅れてすまない……。それにイヤな思いをさせて……」
汐波は俺に顔を上げるように促してから嬉しいような悲しいようなことを言った。
「あなたのセクハラに比べれば何の気にもなりません。ですが、なかなかカッコいい出だしでしたよ。今日のお兄ちゃんの持点は100点です。減点方式で30点を下回ったら教えてあげません」
改めて汐波の表情を見る。挑戦的な表情……俺を試そうという魂胆か……にしても、今日の汐波は大人っぽいなぁ……。でも、
「なぁ、汐波? 少し化粧をしているのか? 凄く大人っぽくて綺麗だけど……俺は、いつもの可愛い汐波が好きだな……」
歩き始めた汐波に少し後ろから聞いてみる。
そう、大人っぽい汐波は綺麗だが……。俺の知らない汐波だった。それは、汐波がさらに俺から遠のいていくようで怖かった……。
まぁ、今の時点で少し遠のかれているのだが……。それに今の台詞は普段ならセクハラとして一蹴されそうだし……。でも、今日の汐波は一味違った。
「よく気付きましたね。逆に気味が悪いくらいですが、あたし自身も違和感を感じていたので落としますね」
汐波はおもむろにポシェットからメイク落としのシートで顔を拭いた。拭き終えるてこっちを振り向いて、
「どうかな、お兄ちゃん?」
そう言って笑って見せた。久々に見る汐波の笑顔に俺は素直に可愛いよと褒めた。それでも、納得がいかないことが一つだけある。
「にしても、今日の汐波の格好はかなり扇情的だそ? だから、あんな絡まれ方をするんだぞ?」
そう、今日の汐波は全体的に肌の露出度が高い……かなり丈の短いワンピースを着ているのだから当然だが。ほんのり赤みがかかった肩に水の溜まりそうな鎖骨……、視線を下げるとこれでもかと自己主張をする美しき双丘に身長に対しては長いその美脚を惜し気もなく晒して……その姿はまさに誘っているのではなかろうかと考えて差し支えないように見える。
「でもこれ、ほぼお兄ちゃんの嗜好に忠実だと思うんだよね?」
………う、図星だ。でも、その姿を他の一般人に晒してたまるか!
「そうだとしても、何かもう一枚羽織って!」
汐波は一瞬だけ虚を衝かれたような表情をしたが、何故か直ぐにジト目になった。
「やっぱりそういう趣味でしたか。カマをかけて正解でした。あなたの一見硬派に見えて実はムッツリな部分がイヤなのです。15点減点。最初から羽織る服を用意して正解でした」
……衝撃の誘導尋問だと! 汐波は白いカーディガンを羽織ながらいきなり減点した。
「ま、まぁそれはいいとして……どこに行くんだ? 買い物か? 映画か? そういえば、この近くにケーキバイキングの店があったな……そこか?」
「ケーキバイキングは開店してすぐに同級生と行きました。今日はスタパで買い物です」
いつの間に……悔しい……まぁ気にするなよ、俺。買い物か。服かな? 雑貨かな?
ちなみに、スタパというのは百合咲市の北部にある超大型商業施設の『スターパレス・ショッピングモール』を省略した言い方だ。
駅からすぐにあるスタパの入り口をくぐり、店内へ。一階は食料品売り場やゲーム類など家族連れの買い物に的を絞ったフロアだ。
俺らは三階にある衣料品売り場へ向かった。ちなみに二階はゲーセンとフードコートになっている。
「どの店で買うんだ?」
フロア中に店が並びマネキンだらけだ。
左右で男性用の衣料品と女性用の衣料品とコーナーが別れている。
取り敢えずこっち、と汐波に連れられて女性用のコーナーを突き進む……。居心地が悪いよ……。
「そうね、今日はお兄ちゃんにフルコーデして貰おうかな。だから、まずは……あそこよ」
汐波が指差した先にあったのは……ランジェリーショップ1? はぁ……なにこれ、新手の苛め?
俺の中では驚きと疑問が渦を描いていた……。
少しありきたりだが、汐波は駅前にある噴水の前で待っていた………が、
「しまった…汐波! 待たせたな。悪いな、コイツは今日俺とデートする約束なんだ」
俺は汐波の前に慌てて駆け寄り、汐波をナンパしていた不埒な男共に対峙した。
見慣れたはずの俺でさえ見惚れてしまうんだ。一般人から見て汐波が魅力的に映らない訳がない。しかも、今日の汐波の格好はかなり扇情的だ……。それなのに、俺は汐波を一人で待たせてしまった…完全に俺の失策だ……。兄失格だ……。自責の念が俺に重くのし掛かる……、
幸い、ナンパ野郎は直ぐに退散してくれたが、俺は汐波にとにかく謝った。
「まずは遅れてすまない……。それにイヤな思いをさせて……」
汐波は俺に顔を上げるように促してから嬉しいような悲しいようなことを言った。
「あなたのセクハラに比べれば何の気にもなりません。ですが、なかなかカッコいい出だしでしたよ。今日のお兄ちゃんの持点は100点です。減点方式で30点を下回ったら教えてあげません」
改めて汐波の表情を見る。挑戦的な表情……俺を試そうという魂胆か……にしても、今日の汐波は大人っぽいなぁ……。でも、
「なぁ、汐波? 少し化粧をしているのか? 凄く大人っぽくて綺麗だけど……俺は、いつもの可愛い汐波が好きだな……」
歩き始めた汐波に少し後ろから聞いてみる。
そう、大人っぽい汐波は綺麗だが……。俺の知らない汐波だった。それは、汐波がさらに俺から遠のいていくようで怖かった……。
まぁ、今の時点で少し遠のかれているのだが……。それに今の台詞は普段ならセクハラとして一蹴されそうだし……。でも、今日の汐波は一味違った。
「よく気付きましたね。逆に気味が悪いくらいですが、あたし自身も違和感を感じていたので落としますね」
汐波はおもむろにポシェットからメイク落としのシートで顔を拭いた。拭き終えるてこっちを振り向いて、
「どうかな、お兄ちゃん?」
そう言って笑って見せた。久々に見る汐波の笑顔に俺は素直に可愛いよと褒めた。それでも、納得がいかないことが一つだけある。
「にしても、今日の汐波の格好はかなり扇情的だそ? だから、あんな絡まれ方をするんだぞ?」
そう、今日の汐波は全体的に肌の露出度が高い……かなり丈の短いワンピースを着ているのだから当然だが。ほんのり赤みがかかった肩に水の溜まりそうな鎖骨……、視線を下げるとこれでもかと自己主張をする美しき双丘に身長に対しては長いその美脚を惜し気もなく晒して……その姿はまさに誘っているのではなかろうかと考えて差し支えないように見える。
「でもこれ、ほぼお兄ちゃんの嗜好に忠実だと思うんだよね?」
………う、図星だ。でも、その姿を他の一般人に晒してたまるか!
「そうだとしても、何かもう一枚羽織って!」
汐波は一瞬だけ虚を衝かれたような表情をしたが、何故か直ぐにジト目になった。
「やっぱりそういう趣味でしたか。カマをかけて正解でした。あなたの一見硬派に見えて実はムッツリな部分がイヤなのです。15点減点。最初から羽織る服を用意して正解でした」
……衝撃の誘導尋問だと! 汐波は白いカーディガンを羽織ながらいきなり減点した。
「ま、まぁそれはいいとして……どこに行くんだ? 買い物か? 映画か? そういえば、この近くにケーキバイキングの店があったな……そこか?」
「ケーキバイキングは開店してすぐに同級生と行きました。今日はスタパで買い物です」
いつの間に……悔しい……まぁ気にするなよ、俺。買い物か。服かな? 雑貨かな?
ちなみに、スタパというのは百合咲市の北部にある超大型商業施設の『スターパレス・ショッピングモール』を省略した言い方だ。
駅からすぐにあるスタパの入り口をくぐり、店内へ。一階は食料品売り場やゲーム類など家族連れの買い物に的を絞ったフロアだ。
俺らは三階にある衣料品売り場へ向かった。ちなみに二階はゲーセンとフードコートになっている。
「どの店で買うんだ?」
フロア中に店が並びマネキンだらけだ。
左右で男性用の衣料品と女性用の衣料品とコーナーが別れている。
取り敢えずこっち、と汐波に連れられて女性用のコーナーを突き進む……。居心地が悪いよ……。
「そうね、今日はお兄ちゃんにフルコーデして貰おうかな。だから、まずは……あそこよ」
汐波が指差した先にあったのは……ランジェリーショップ1? はぁ……なにこれ、新手の苛め?
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