異世界でも水分補給は大事です! ~液体生成スキルでのんびりサバイバル~

楠富 つかさ

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第13話

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 冒険者としての日々も充実しているが、こうして宿でのお仕事を手伝っているとアルバイトという感覚がしてそれはそれで楽しい。
 私とリーシアさんがお世話になっている森の恵み亭は、宿ではあるんだけど日中や夜間には食堂として冒険者やフェクチェー住民のお腹を満たしている。

「いらっしゃいませー。こちらのお席にどうぞ」

 食事にやってきたお客さんを席に通して、木製のカップに私のスキルで注いだ冷えた水を提供する。
 お湯のために火の魔石片を使うように、氷属性の魔石を使えば水や食材を冷たく維持することができるけど、この辺りには氷属性の魔石を落とす魔物がいないので貴重品。そこで私が冷えた水を提供すればお客さんも喜ぶというわけだ。

「シズクさんこれお願いします」

 宿の看板娘でもあるユミルさんから料理を受け取ってお客さんのもとへ持っていく。宿の料理は毎日おまかせ一本コース。今日はおいしいと評判のパンとチリコンカンみたいな豆料理と、ちょっとよく分からない葉野菜のサラダだ。冒険者は稼げるようになるまで時間がかかるので、そういった駆け出しでもお腹いっぱい食べられるように安くて多い料理を心がけているそうだ。

「本日のおまかせです」
「おう、嬢ちゃんありがとな。なぁ、今夜この宿で世話になるからよ、夜の世話も頼めないか?」

 私が料理を出したお客さんはいかいも冒険者っていう感じのガラの悪そうな男の人で、にやにやした顔で私の身体をなめるように見てくる。いきなりのことで何も言えない私を助けてくれたのはユミルさんだった。

「だめだめお客さん。この子は手伝ってくれている冒険者なんだから。そういうのはちゃんと色町に行ってよね」
「フェクチェーにんなもんねぇだろうがよぉ。嬢ちゃんでもいいんだぜ」
「お客さん……私、すっごく高いんだよ?」

 ユミルさんがハンドサインを出すと、客の男が顔をしかめる。

「っけ、足元みやがって。くぅ、冷えた水に免じて勘弁してやるよ」
「うん。それがいい。ほら、シズクさんも行くよ」

 そういって男から離れるユミルさんについていくように私も厨房に戻る。ちょっと、気になってしまうのだけれど……。

「ユミルさん、お金さえあれば、その……するの? お世話」
「軽蔑した? ごめんね、安宿の娘にとっては当たり前のことだから。妹はまだそういうことしてないから、もし嫌だったら今度から妹経由でも――」

 日本とは、違う。ここは異世界で……ユミルさんにとっては妹たちを守るために、必要なことなんだ。

「ううん、ユミルさんはユミルさんだから。これまで通りでいてほしい、な」
「ありがとう、シズクさん。シズクさんは……心から愛する人と、そういうことができるよう、祈ってるね」

 この世界でそういう人と出会えるかは分からないけれど、私はユミルさんの綺麗な心に頷いた。
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