異世界でも水分補給は大事です! ~液体生成スキルでのんびりサバイバル~

楠富 つかさ

文字の大きさ
9 / 14

第9話

しおりを挟む
 翌日、リーシアさんに連れられて、私は冒険者ギルドへとやってきた。宿から歩いて数分の距離にあるその建物は、街の他の建物と比べてどっしりとした石造りで、入口の上には剣と盾を模した看板が掲げられている。

「ここが冒険者ギルドだよ。まずは登録を済ませよう」

 中に入ると、ざわめきとともに熱気が押し寄せてきた。ギルドの中は広々としていて、いくつかのカウンターと掲示板、それに数席のテーブルと椅子が並んでいる。掲示板にはびっしりと紙が貼られていて、恐らく依頼書なのだろう。テーブルでは武具を身に着けた冒険者たちが談笑していた。

「なんだか、すごい活気ですね……」
「ここはこの町を拠点にする冒険者たちの集合場所だからね。まあ、あまり緊張しないで。登録自体は簡単だ」

 そう言うとリーシアさんは私を受付カウンターへと導いた。カウンターの向こう側には、小柄な女性が立っていた。見た目は人間だけど、耳が尖っているところを見るとエルフだろうか。金色の髪をきれいにまとめた彼女は、にこやかな笑顔で出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 リーシアさんが私を促すように前に出た。

「彼女を冒険者として登録してもらいたいんだ。初めてだから、手続きの説明をお願いできるかい?」
「承知しました。それでは冒険者登録についてご説明いたしますね」

 受付の女性は手際よく説明を始めた。冒険者登録には大銅貨1枚の登録料が必要なこと、登録したばかりの冒険者は七級からスタートすること、一ヵ月間依頼を受けない場合は登録が抹消されることなど、基本的なルールを丁寧に教えてくれる。

「以上が登録に関する基本的な内容となります。何かご不明点はございますか?」
「あ、いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 説明を聞き終えたところで、リーシアさんがカウンターに大銅貨を1枚置いた。

「私が立て替えるよ。シズク、このお金はあとで返してくれればいいから気にしないで」
「す、すみません……ありがとうございます」

 恐縮しながらお礼を言うと、受付の女性が紙とペンを差し出してきた。

「それでは、こちらの用紙にお名前と基本情報をご記入ください。魔法が使える方はその種類や得意な魔法も記載していただけると、今後の依頼に役立つかと思います」

 私はペンを取り、用紙に名前と基本情報を書き込む。名前の欄には「シズク」と記入し、得意な魔法の欄には「水魔法」と書いた。いまさらだけど、こっちの世界の文字なのに普通に読み書きできることに驚いてしまう。

「ありがとうございます。それでは、登録証を作成いたしますので、少々お待ちください」

 受付の女性が用紙を持って奥へと消えていった。その間、私はリーシアさんと並んでカウンターの前で待つ。

「冒険者登録って、思ったより簡単なんですね」
「そうだろう? 中には読み書きができないけど冒険者になる者もいるからね。まあ、登録してからが本番さ。依頼をこなして評価を上げていくのが重要なんだ。そうすれば級も上がるし、報酬の良い依頼も受けられるようになる」

 少しすると、受付の女性が戻ってきた。手には小さな金属のプレートがある。

「お待たせいたしました。こちらがシズク様の冒険者登録証です。七級冒険者として登録されましたので、今後はこちらをお持ちいただき、依頼を受けてください」

 手渡されたプレートは手のひらに収まるくらいのサイズで、銀色に輝いている。よく見ると、名前と級が刻まれていた。

「わぁ……これが登録証なんですね」
「ええ、それがあなたの冒険者としての証明になります。大事にしてくださいね」

 私は登録証をしっかりと握りしめてお礼を言った。

「ありがとうございます!」

 こうして私は正式に冒険者としての一歩を踏み出したのだった。

 カウンターを離れ、いよいよ依頼が貼られた掲示板の前に立つ。

「さて、次は早速依頼を受ける準備だな。シズク、何か得意分野はあるか?」
「うーん、まだわからないですけど……水魔法が使えるので、それを活かせる依頼があればいいなって」
「なるほど。それなら、水源の確保や清掃系の依頼が向いているかもしれないな。初心者向けの依頼は意外とそういう日常的なものも多いんだ」
「そうなんですね! 少し安心しました」

 冒険者としての生活は不安もあるけれど、リーシアさんがついていてくれるおかげで心強い。これからどんな冒険が待っているのだろう。私は新しい登録証を握りしめ、貼られた依頼に目を向けるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
 2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。  死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。  命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。  自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える

遊鷹太
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、 家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。 降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。 この世界では、魔法は一人一つが常識。 そんな中で恒一が与えられたのは、 元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。 戦えない。派手じゃない。評価もされない。 だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、 戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。 保存、浄化、環境制御―― 誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。 理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、 英雄になることではない。 事故を起こさず、仲間を死なせず、 “必要とされる仕事”を積み上げること。 これは、 才能ではなく使い方で世界を変える男の、 静かな成り上がりの物語。

処理中です...