恋の泉の温もりよ

楠富 つかさ

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 受験会場は当然ながら高校の建物なのだが、その入口までバスで移動する。試験開始の九時半には少し余裕を持って到着した。けれどもう結構な人数が会場に集まっていた。
 玄関でスリッパを履いて、二階の教室へと案内される。ゆもりちゃんと同じ会場だと良いな……なんて思いながら、受験票に書かれた番号で教室に割り振られる。ゆもりちゃんも彩織ちゃんも同じ会場だ。さすがにこの待ち時間でおしゃべりに行くわけにはいかないけど、心強い感じがする。

「それでは、時間になりましたらアナウンスしますのでそれまでは待機していてください」

 教室の席がほとんど埋まってきたタイミングで、試験官の先生がそう告げる。教室の中はみんな受験前最後の追い込みなのかピリピリとした空気感が漂っている。
 それから三十分後、問題用紙が配られていよいよ本番が始まった。最初は国語の試験だ。
 問題数は全部で三十問。制限時間は五十分。一ページ目を読み始めてすぐに気が付いた。これ、難しい。最初の数行を読んでみただけで、これが難しめの設問だということが分かった。でも、私は諦めなかった。最後まで問題を解いていく。分からない問題は飛ばして次の問題に進んで、また戻って解いていく。その繰り返しをしていくうちに、残り時間は五分を切った。そして、私は確信していた。全部解けたと。
 記述問題に漢字のミスがないか確認も完了させたタイミングで、試験終了のチャイムが鳴る。

「筆記用具を置いて回答用紙を伏せて机の右端へ寄せてください」

 その声に従って、解答用紙を裏返しにして机の端へ。試験官の先生が手際よく回収していく。

「お疲れ様です。十分間の休憩です。お手洗いに行く人はどうぞ」

 その言葉を聞いて、私は真っ先にゆもりちゃんの方を見る。すると、ゆもりちゃんもこちらを見ていたようで目が合う。彩織ちゃんはちょっと遠くの席だけど、ゆもりちゃんは寄ってきてくれた。

「ゆもりちゃん、どうだった?」
「うーん、正直に言うと微妙かなぁ。国語は得意な方なんだけど、今回に限っては難しく感じちゃった」
「そっかぁ……」
「心は? 自信ある?」
「うーん、最初は分からない問題もあったけど、読んでいるうちにこれかなって書き進めた感じ。取り敢えず空欄はないよ」

 そう答えて胸を張ると、ゆもりちゃんはにっこりと笑った。
 そして、あっという間に十分は過ぎてしまって、試験官の先生が次の問題用紙を持って教室に戻ってきた。次は……数学だ。ちょっと苦手だけど、絶対に合格するんだ!
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