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序章
#04
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征華女子にとって初めての大規模模擬戦、それが新人戦。
建物を模した岩の塊がいくつも立ち並ぶフィールドで、一部屋五人同士での対戦、それを三年生は見学し妹候補を選定する。なんともこの学園らしいイベントだ。
戦闘開始前のちょっとしたブリーフィングタイムに、私がぽつりとこぼす。
「にしても、相手のチームが伊澄の部屋とは。運がいいのか悪いのか」
「なんだ、知り合いか?」
はやての問いかけにまぁねと答えつつ、部屋長の恋に報告をあげる。そう、この前の歓迎会の日に聞いた伊澄のルームメイトたちの情報だ。とりわけ要注意は清都聖來……どうやら一年の首席として入学したらしい彼女を、うちの部屋の誰がマッチアップして足止めできるのか、という問題である。
「清都さんのことは私も知ってます。光属性の短剣使いですが、魔力を込めれば刀身のサイズは自由自在、同じ剣士として戦いたい気持ちはやまやまですが、彼女を相手にしながら指揮を執るのは無理です」
「じゃ、そいつはあたしに任せてくれ」
「えぇそのつもりです。が、できれば清都さんには二対一の状態を作りたい。そのためには……そうですね、森さんか仲藤さんを速攻で撃破する必要があります。しかも石橋さんと市来さんをうまく分断しないと、あの二人だけは連携を完璧に仕上げているはずです。かなりの脅威になりますね……」
豪商、石橋家の娘とその護衛。確実に二人まとめて行動されたら隙はないだろう。
伊澄には悪いけど、新人戦での戦果は今後の学園生活を大きく左右する。正直、トーナメントではないし、各部屋数戦こなしておしまいだから、ここは確実に勝たせてもらおう。
「ティアさん、石橋さんをお願いします。速攻に成功したら私と交代して、その後は清都さんをお願いします」
「おっけー。おまかせあれ。剣士が相手だと腕がなるねぇ」
ティアが毛先を弄びながらにっこりと笑う。ギャルっぽいけど、その笑みから獰猛さがにじんでいた。
「恵鈴さんは市来さんをお願いします」
「水属性対決だね。頑張るよ」
ティアと連携してうまくあの主従を引き離せるかが、この一戦の鍵になるだろう。
「ヘティさんは私が護衛しますので……森さんに速攻を仕掛けましょう。魔導器の射撃は脅威ですから。なので、はやてさんは清都さんを警戒しつつ、我々が森さんを撃破するまで仲藤さんに仕掛けてください」
魔導器は魔導産業の粋を集めて作られた人類側の決戦兵器。巨大な刀身と火砲を両立する変形機構を搭載したメカニカルな武器だ。そのうえ、身体強化の術式を彫り込んでおけば、ある程度膂力がなくても取り回せるし、近接戦闘のスキルも個人差が縮まる。
今はまだ異世界の術式を込めた刀剣類が主流だけど、もう二十年もすれば魔導器の方がメインになるなんて言われている。今回の戦闘フィールドは地形の差や遮蔽物も多い。砲撃されたら一たまりもない。
実力不明といえば魔導器使いの森さんも大概だが、こちらチームのパペッター、ヘティことヘンリエッタもなかなかだ。ベースになるぬいぐるみを見せてもらったが、ユニコーンとグリフォンを模したものだった。これでどんな戦闘をするのか、ちょっとした楽しみでもある。
「とりあえず作戦会議としては以上ね。勝っても負けてもこの五人で現状どこまでできるのか、それを見極めたいと思ってる。でもさ、勝てるなら勝ちたいよね。というわけで、勝ちを狙っていこう!」
「「「「おー!!!」」」」
建物を模した岩の塊がいくつも立ち並ぶフィールドで、一部屋五人同士での対戦、それを三年生は見学し妹候補を選定する。なんともこの学園らしいイベントだ。
戦闘開始前のちょっとしたブリーフィングタイムに、私がぽつりとこぼす。
「にしても、相手のチームが伊澄の部屋とは。運がいいのか悪いのか」
「なんだ、知り合いか?」
はやての問いかけにまぁねと答えつつ、部屋長の恋に報告をあげる。そう、この前の歓迎会の日に聞いた伊澄のルームメイトたちの情報だ。とりわけ要注意は清都聖來……どうやら一年の首席として入学したらしい彼女を、うちの部屋の誰がマッチアップして足止めできるのか、という問題である。
「清都さんのことは私も知ってます。光属性の短剣使いですが、魔力を込めれば刀身のサイズは自由自在、同じ剣士として戦いたい気持ちはやまやまですが、彼女を相手にしながら指揮を執るのは無理です」
「じゃ、そいつはあたしに任せてくれ」
「えぇそのつもりです。が、できれば清都さんには二対一の状態を作りたい。そのためには……そうですね、森さんか仲藤さんを速攻で撃破する必要があります。しかも石橋さんと市来さんをうまく分断しないと、あの二人だけは連携を完璧に仕上げているはずです。かなりの脅威になりますね……」
豪商、石橋家の娘とその護衛。確実に二人まとめて行動されたら隙はないだろう。
伊澄には悪いけど、新人戦での戦果は今後の学園生活を大きく左右する。正直、トーナメントではないし、各部屋数戦こなしておしまいだから、ここは確実に勝たせてもらおう。
「ティアさん、石橋さんをお願いします。速攻に成功したら私と交代して、その後は清都さんをお願いします」
「おっけー。おまかせあれ。剣士が相手だと腕がなるねぇ」
ティアが毛先を弄びながらにっこりと笑う。ギャルっぽいけど、その笑みから獰猛さがにじんでいた。
「恵鈴さんは市来さんをお願いします」
「水属性対決だね。頑張るよ」
ティアと連携してうまくあの主従を引き離せるかが、この一戦の鍵になるだろう。
「ヘティさんは私が護衛しますので……森さんに速攻を仕掛けましょう。魔導器の射撃は脅威ですから。なので、はやてさんは清都さんを警戒しつつ、我々が森さんを撃破するまで仲藤さんに仕掛けてください」
魔導器は魔導産業の粋を集めて作られた人類側の決戦兵器。巨大な刀身と火砲を両立する変形機構を搭載したメカニカルな武器だ。そのうえ、身体強化の術式を彫り込んでおけば、ある程度膂力がなくても取り回せるし、近接戦闘のスキルも個人差が縮まる。
今はまだ異世界の術式を込めた刀剣類が主流だけど、もう二十年もすれば魔導器の方がメインになるなんて言われている。今回の戦闘フィールドは地形の差や遮蔽物も多い。砲撃されたら一たまりもない。
実力不明といえば魔導器使いの森さんも大概だが、こちらチームのパペッター、ヘティことヘンリエッタもなかなかだ。ベースになるぬいぐるみを見せてもらったが、ユニコーンとグリフォンを模したものだった。これでどんな戦闘をするのか、ちょっとした楽しみでもある。
「とりあえず作戦会議としては以上ね。勝っても負けてもこの五人で現状どこまでできるのか、それを見極めたいと思ってる。でもさ、勝てるなら勝ちたいよね。というわけで、勝ちを狙っていこう!」
「「「「おー!!!」」」」
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