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006 初めての接客

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 お店を開けると土曜日ということもあってか、数人のお客さんが流れ込んできた。

「いらっしゃいませー」
「わー、新人さん? 可愛いわね~」
「あ、ありがとうございます。ランです。よろしくお願いします!」

 三十代くらいのOLっぽいお客様(二人組)に挨拶しながら席に案内する。

「いらっしゃいませぇ、空いているお席どうぞ」

 すかさず同い年くらいのおひとり様を席に通す。マカさんやサラさんがすかさず注文を聞いてキッチンにいるモエちゃんにオーダーする。この時間帯だとドリンクとかサンドイッチがメインだから注文を受けてから配膳するまでの時間はあんまりかからない。

「ランちゃーん、3番卓さんがランちゃんをご指名だよ。持って行って」

 私たちキャストの名前はブラ紐の右側にバッジをつけているからお客さんにすぐわかる。初めましての挨拶をしてまわる必要がなくて助かるけど。ちなみにバッジをつけるのはオープン直前だから準備中はサラさんの名前は分からなかったのだ。
 とにもかくにも、お盆に乗ったアイスコーヒーとハムサンドのセットを3番卓さん、さっき案内した年の近そうな女性が座る席に持っていく。

「ご指名いただきありがとうございます。オーダーのアイスコーヒーとハムサンドでございます」
「うん。ありがとう。ランちゃんは何か飲む? コーヒー? メロンソーダ?」
「えっと、じゃあ……コーヒーで」
「はーい。アイスコーヒー追加!!」
「ありがとうございまーす」

 お店がそこまで広くないこともあって、席によってはお客さんの注文がダイレクトでモエちゃんに聞こえる。すぐにグラスに注がれたアイスコーヒーをサラさんが持ってきてくれた。

「接待、頑張ってね」

 そう言ってサラさんは別のテーブルへオーダーを取りに行ってしまった。……客数に対してキャストの人数が多くないのに、こうしてお客様の接待してていいのかな? 一人のゲストにどれくらいの時間着いていいかも知らされてないし。

「大きいね。うらやましいよ」

 そう言ってお客さんの手が当たり前のように私の胸に伸びてくる。
 減るもんじゃなしと受け入れてはいるが、ブラ越しに揉んだ後は上乳をつんつんとされ落ち着かない。取り敢えずコーヒーにミルクだけ入れて口をつけるが、

「キミさ星花女子で軽音やってた藍ちゃんでしょ?」
「ぁぐ……」

 初日からバレてるぅ。あやうくコーヒーを吹き出してしまうかと思った。

「私もOGでさ。たぶんキミより一学年上」
「な、なるほど」
「ギタボだよね。ここさ、4Mのみんながいる関係もあって夜は楽器演奏もしてるからキミのギターもまた聴けたりして?」

 それはちょっと考えたことなかったなぁ。4Mのみんなはゲーム実況とか料理動画が人気だけど、たまに上がる歌ってみた動画とか演奏してみた動画もかなり再生されている。憧れの4Mと演奏かあ、ちょっと楽しそうかも。

「そうだ、あーん……して?」

 ハムサンドをあーんしてあげたりほっぺをすりすりしてあげたりと、そのお客様は15分ほど接待を受けると会計を済ませて帰っていった。

「ランちゃん次こっち~」
「あ、はーい!!」

 ランチタイムが近づくについれて少しずつ忙しさが増していきつつも、お客様から入れてもらったドリンクで少しだけお腹がたぽっとする私だった。
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