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#1 入寮初日
正直、最初は戸惑った。まさか自分が女の子を好きになるなんてかけらも思っていなかった。けれどこの学校に来て、ちょっと変わったお茶会に参加するようになって私、佐野いちごの運命は変わってしまった。
「私は、……私は!!」
差し出された手は十三本。自分がこんなにモテるなんて、人生何が起こるか分かったものじゃない。まさか、いちごって名前だけでこんなことになるなんて……。
私が入学したのは空の宮市にある女子校、星花女子学園。全寮制ってわけじゃないけど寮もあり、私は寮で生活することにした。一人部屋の寮と二人部屋の寮があるが、一人部屋の方は勉強とか部活でいい成績をおさめた人のための寮らしい。凡人の私は二人部屋の桜花寮に入寮となった。
「あら、あなたがルームメイトね。わたし、飯島由梨よ。よろしくね」
部屋に入ると同室になった子が声をかけてきた。彼女はどうやらクラスメイトでもあるらしい。一応、入学式はまだなんだけど……どこ情報なんだろうか。
「えっと、佐野いちごです。こちらこそよろしくお願いします……」
緊張しながら挨拶すると、彼女から意外な言葉が返ってきた。
「ふーん、いちごちゃんっていうんだ。かわいい名前ね。それに、メンバーに迎えられそうね」
「へっ?」
いきなりメンバーどうこう言いだしたから何のことやら、である。
「あぁ、今はまだ気にしなくてもいいわ。ほら、荷物の片付けとか手伝うわよ」
こうして私の新しい生活が始まったわけなんだけれど……正直寮生活はどきどきだ。姉妹もいない私からすれば、女子だけの共同生活というだけで分からないことだらけだ。入寮のタイミングが入学式より一週間も前というのも納得だ。でなきゃこの環境に順応できない。
「分からないことがあれば何でも言ってちょうだい。わたし、中学からずっと星花の生徒だし。ちなみに中学時代のルームメイトは菊花寮へ出世」
外部生の入試と同時期に、内部生も試験があって、そこで優秀な成績を修めたらしい。
「飯島さんも勉強できそうな雰囲気だけど……」
「由梨でいいわよ。わたしはまぁ、普通よ。成績が抜群にいいってわけじゃないし、理数系はからっきしよ」
そんな感じで話しているうちにお互い慣れてきて、呼び方も由梨ちゃんと呼ぶようになった。
「じゃあ、早速だけどお夕飯とかどう? それともお風呂が先の方がいい?」
時計を見ると夕方の五時半を回っていた。お昼ご飯を食べてから実家を出たから、あっという間にこんな時間になってしまった。
「先にお風呂かな。一応、しおりを読んだけど五時過ぎから入れるんだよね?」
「えぇ。いちごちゃんは熱いお風呂が好きなの?」
大浴場で追い炊きなんてできないので、熱めにお湯を張って、お湯を足しながら調節していると書いてあった。熱いお湯に短めに入るのが好きな私としては、先に入ってしまいたい。由梨ちゃんは違うのかな。
「そうね。ゆっくり浸かりながら考え事したい気分だからぬるめがいいのだけれど……せっかくだし、一緒に入りましょうか」
「うん! ……ってええ!?」
そっか……そうだよね。寮のお風呂は共同なんだもん。これまで友達とお風呂なんて修学旅行くらいだったけど、これが当たり前になるんだよね……。
「大丈夫、すぐ慣れるわ」
そうかなぁ……と首を傾げながらも私は由梨ちゃんと一緒にお風呂に向かった。脱衣所で服を脱ぐと、そのスタイルの良すぎる体に思わず目が釘付けになる。
「……すっごい」
ぽつりと呟いた言葉に、由梨ちゃんはくすりと笑った。
「いちごちゃんだってなかなかのものだと思うけどなぁ。まぁ、わたしほどじゃないにしても」
そう言って自分の胸元に手を当てる。確かに大きい方ではあると思うんだけど、由梨ちゃんと比べると見劣りしてしまう。
「さて、おしゃべりはこの辺にしておきましょうか」
お風呂場に入ると由梨ちゃんがシャワーの温度を確認してくれた。ちょうどいい温度になってるみたいだ。
「背中、流そうか?」
「え、そんな恥ずかしいからいいって」
そんなやりとりをしつつ体を洗い、お湯に浸かった。お風呂にはもう何人か人がいて、おしゃべりに花を咲かせたり、のんびりしたりと思い思いに過ごしている。
「ふぅ、気持ちいい~!」
大きなお風呂なんて久しぶりだった私は思わず声が出てしまう。あまり温泉や銭湯に行ったことがないから、これから毎日銭湯気分だ。
「あら、新入生かしら?」
声をかけられたので振り返ると、そこには綺麗な黒髪ロングヘアーの女の子がいた。
「はい、佐野いちごです。これからよろしくお願いします」
「私は東雲柚葉よ。もうすぐ三年生よ。よろしくね」
「そうなんですか。こちらこそよろしくお願いします」
私はぺこりと頭を下げる。東雲先輩はとても大人っぽい雰囲気のある人だった。
「ところで、あなたのルームメイトは誰かしら?」
「あ、わたしですよ。東雲先輩」
「あら、由梨だったのね。ふーん……じゃあ、杏子は無事に菊花寮へ行けたのね」
杏子さんというのが、中学時代の由梨ちゃんのルームメイトの名前なんだろう。由梨ちゃんは東雲先輩と顔見知りらしい。まぁ、ずっとここに通っているんだから当然……なのかな?
とりあえず三人でのんびりと過ごして、お風呂を出た。そのあとは夕食で、食後はまったりと過ごして寝た。初日としては順調な一日を過ごしたんじゃないかな。とりあえず、由梨ちゃんがルームメイトでよかった。
「私は、……私は!!」
差し出された手は十三本。自分がこんなにモテるなんて、人生何が起こるか分かったものじゃない。まさか、いちごって名前だけでこんなことになるなんて……。
私が入学したのは空の宮市にある女子校、星花女子学園。全寮制ってわけじゃないけど寮もあり、私は寮で生活することにした。一人部屋の寮と二人部屋の寮があるが、一人部屋の方は勉強とか部活でいい成績をおさめた人のための寮らしい。凡人の私は二人部屋の桜花寮に入寮となった。
「あら、あなたがルームメイトね。わたし、飯島由梨よ。よろしくね」
部屋に入ると同室になった子が声をかけてきた。彼女はどうやらクラスメイトでもあるらしい。一応、入学式はまだなんだけど……どこ情報なんだろうか。
「えっと、佐野いちごです。こちらこそよろしくお願いします……」
緊張しながら挨拶すると、彼女から意外な言葉が返ってきた。
「ふーん、いちごちゃんっていうんだ。かわいい名前ね。それに、メンバーに迎えられそうね」
「へっ?」
いきなりメンバーどうこう言いだしたから何のことやら、である。
「あぁ、今はまだ気にしなくてもいいわ。ほら、荷物の片付けとか手伝うわよ」
こうして私の新しい生活が始まったわけなんだけれど……正直寮生活はどきどきだ。姉妹もいない私からすれば、女子だけの共同生活というだけで分からないことだらけだ。入寮のタイミングが入学式より一週間も前というのも納得だ。でなきゃこの環境に順応できない。
「分からないことがあれば何でも言ってちょうだい。わたし、中学からずっと星花の生徒だし。ちなみに中学時代のルームメイトは菊花寮へ出世」
外部生の入試と同時期に、内部生も試験があって、そこで優秀な成績を修めたらしい。
「飯島さんも勉強できそうな雰囲気だけど……」
「由梨でいいわよ。わたしはまぁ、普通よ。成績が抜群にいいってわけじゃないし、理数系はからっきしよ」
そんな感じで話しているうちにお互い慣れてきて、呼び方も由梨ちゃんと呼ぶようになった。
「じゃあ、早速だけどお夕飯とかどう? それともお風呂が先の方がいい?」
時計を見ると夕方の五時半を回っていた。お昼ご飯を食べてから実家を出たから、あっという間にこんな時間になってしまった。
「先にお風呂かな。一応、しおりを読んだけど五時過ぎから入れるんだよね?」
「えぇ。いちごちゃんは熱いお風呂が好きなの?」
大浴場で追い炊きなんてできないので、熱めにお湯を張って、お湯を足しながら調節していると書いてあった。熱いお湯に短めに入るのが好きな私としては、先に入ってしまいたい。由梨ちゃんは違うのかな。
「そうね。ゆっくり浸かりながら考え事したい気分だからぬるめがいいのだけれど……せっかくだし、一緒に入りましょうか」
「うん! ……ってええ!?」
そっか……そうだよね。寮のお風呂は共同なんだもん。これまで友達とお風呂なんて修学旅行くらいだったけど、これが当たり前になるんだよね……。
「大丈夫、すぐ慣れるわ」
そうかなぁ……と首を傾げながらも私は由梨ちゃんと一緒にお風呂に向かった。脱衣所で服を脱ぐと、そのスタイルの良すぎる体に思わず目が釘付けになる。
「……すっごい」
ぽつりと呟いた言葉に、由梨ちゃんはくすりと笑った。
「いちごちゃんだってなかなかのものだと思うけどなぁ。まぁ、わたしほどじゃないにしても」
そう言って自分の胸元に手を当てる。確かに大きい方ではあると思うんだけど、由梨ちゃんと比べると見劣りしてしまう。
「さて、おしゃべりはこの辺にしておきましょうか」
お風呂場に入ると由梨ちゃんがシャワーの温度を確認してくれた。ちょうどいい温度になってるみたいだ。
「背中、流そうか?」
「え、そんな恥ずかしいからいいって」
そんなやりとりをしつつ体を洗い、お湯に浸かった。お風呂にはもう何人か人がいて、おしゃべりに花を咲かせたり、のんびりしたりと思い思いに過ごしている。
「ふぅ、気持ちいい~!」
大きなお風呂なんて久しぶりだった私は思わず声が出てしまう。あまり温泉や銭湯に行ったことがないから、これから毎日銭湯気分だ。
「あら、新入生かしら?」
声をかけられたので振り返ると、そこには綺麗な黒髪ロングヘアーの女の子がいた。
「はい、佐野いちごです。これからよろしくお願いします」
「私は東雲柚葉よ。もうすぐ三年生よ。よろしくね」
「そうなんですか。こちらこそよろしくお願いします」
私はぺこりと頭を下げる。東雲先輩はとても大人っぽい雰囲気のある人だった。
「ところで、あなたのルームメイトは誰かしら?」
「あ、わたしですよ。東雲先輩」
「あら、由梨だったのね。ふーん……じゃあ、杏子は無事に菊花寮へ行けたのね」
杏子さんというのが、中学時代の由梨ちゃんのルームメイトの名前なんだろう。由梨ちゃんは東雲先輩と顔見知りらしい。まぁ、ずっとここに通っているんだから当然……なのかな?
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