実る果実に百合を添えて

楠富 つかさ

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#7 千葉柘榴

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 新学期が始まって三日が過ぎた。果実会のお茶会は毎日行われているわけじゃなくて、もっぱら火曜と金曜らしい。そして今日は金曜日。お茶会の日だ。

「ねぇ由梨ちゃん。お茶会に誘いたい人がいるんだけど……」
「ん? あぁ。いいんじゃないかな。あの子でしょ?」

 由梨ちゃんの視線の先にいるのは千葉柘榴ちゃん。席が私の隣ということもあって、よく話すようになった。お互いに人見知り気味なんだけど、ちょっとずつ話していくうちに打ち解けられた気がする。
 柘榴ちゃんは神奈川の出身で、勉強の成績がいいからと菊花寮に住んでいるらしい。私は勉強くらいしか取り柄がないのに、それでも菊花寮水準には達していないから本当に尊敬する。

「じゃあ、頑張っていちごちゃんから誘うんだよ」
「う、うん……」

 由梨ちゃん、本当にお姉さんというかお母さんというか。
 帰り支度を進める柘榴ちゃんに声をかける。

「ねぇ柘榴ちゃん。この後って用事ある?」
「いいえ。いちごさんからそんなことを聞いてくれるなんて、どこか一緒に行きますか?」
「そうなの。実はね……この後お茶会があって。柘榴ちゃんと一緒に行けたらいいなって」

 お茶会の誘いに柘榴ちゃんは一瞬だけ驚いた様子だった。……ちょっと急だったかな。

「ふふふ、いちごちゃんが誘ってくれるなら、行ってみようかしら」
「ありがと、私も最初に行った時は緊張したけど、みんないい人だから」
「ひょっとして、飯島さんもそのお茶会の参加者なの?」
「そうだよ。よろしくね」

 由梨ちゃんと柘榴ちゃんが話しているのはまだ見たことないから、ここが初めての会話なのかも。友達と友達が友達になる瞬間っていうのは、あんまり人生で出会ったことがないから、そわそわしてしまう。

「飯島さんはいちごさんのルームメートなんですよね。いちごさんとっても素敵な方だから、羨ましいです」
「由梨でいいよ。いちごちゃんは可愛くって毎日楽しいよ。今度、お部屋にもおいでよ」

 旧校舎へ向かう道中、気付けば右腕に百合ちゃん、左腕に柘榴ちゃんが腕を絡めていた。私が一番低身長だから気を抜くと連行される宇宙人みたいになってしまいそう。というか、気付かなかったけど……柘榴ちゃんのふくらみ、けっこう大きいのかも。腕にむにゅっと触れるやわらかさに鼓動が早くなってしまう。

「んしょ、っと」

 お茶会の会場になる部屋の前で二人の腕から脱出すると、由梨ちゃんが察してくれたのか私の横に並ぶ。

「ようこそ、星花女子学園――果実会へ!」

 お茶会に新しいメンバーが加わった瞬間だ!
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