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#5 担任教師 浅茅咲耶
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翌朝、二人揃って登校する。朝は早いがモノレールが混雑する時間に通うよりはいい。国税によって維持されている校舎は綺麗で、最下位層が集まる四組といえども、教室は綺麗だ。窓側から番号順だから私と寿奈の席は廊下側の後ろだ。
「そういえば昨日は上級生が講堂まで案内してくれたけど、担任の先生ってどんな人なんだろうね?」
「さぁ? でもまぁ、プロの対魔導犯罪のエキスパートなんでしょうね、きっと」
そう言いながら、寿奈のさらに後方。教室の隅に視線を移す。
「綾乃ちゃん? そこに何かあるの?」
やはり寿奈は気付かないようだ。教室にはもう四組の中では最上位である76位の生徒もいるが、彼女も気付いたそぶりは見せない。本当に気付いていないのか、対角線上にいるから注目する必要もないと判断しているのか。
「綾乃ちゃん? え、何か見えるの? 幽霊?」
「魔法がある時代に幽霊ね……ま、全否定はしないけど、そこに居るのは人間よ。そうでしょう? 先生?」
刹那、教室の隅が揺らぐ。人の姿が現れたかと思いきや、すぐにその人影は教室後方のロッカーに座り込み、
「まさか99位に気付かれるとはな。驚いたよ」
「へ? だ、誰!?」
ロッカーの上に座りながら優雅な雰囲気すら感じさせる童女。そう捉える程に小柄で童顔。しかも身に纏うは真っ白なロリータ服。ぽつぽつと生徒が集まりだした教室に、彼女の存在は非常に浮いていた。だが、私は彼女の名前を知っていた。
「まさかあの“白光の魔女”浅茅咲耶が四組の担任? 随分と大盤振る舞いね」
「ど、どういうこと?」
寿奈が困惑するのも無理はない。彼女の背後にいたのだから。
「光属性魔術のスペシャリストにして、多くの魔導犯罪組織を壊滅させた女傑よ。近年姿を見せないと思ったら、教師なんてやってたんだ」
「どうしてそこまで知っているのか、問うても意味などあるまい。そろそろ朝のホームルームじゃ。各々席に着け」
そう言って再び姿を消す魔女。厳密には透明化しているのだろう。自身が光を反射しないようにすることで、周囲に溶け込んでいるというロジックだろう。でもあの幼い容姿はどういうことだろうか。あれもこちらの認識を歪めているのか?
「さてと、朝の挨拶も早々にだな、お前らに連絡がある」
再び姿を現した浅茅先生は教卓に座り我々を見下ろす。
「来週から第一回校内模擬戦、いわゆる新人戦が行われる。今週中にエントリーメンバーを確定させるんだぞ。んじゃ……あぁ、自己紹介が遅れたな。浅茅咲耶だ。魔導官の仕事は辞めて今じゃ生粋の高校教師だ。担当は魔導史と英語。こんな見た目だが、きちんと敬えよ。んじゃ、ロングホームルームまで休憩時間だ」
三度姿を消す浅茅先生。気配もないということは、どこかに移動したのだろう。よく分からないが実力は確かな人物だ。まぁ、魔導官の仕事を辞めたのが事実かどうか……少し怪しい気もするが。
「なんか凄そうな先生だね」
「ただまぁ……エントリーの確定の方法を教えてくれないのは、いかがなものかと思うけどね」
どこに書類を持って行けばいいのやら。ちょうど八十六位の生徒が教卓の真正面だったということもありプリントの配布を始めた。多分そこに全て書かれているのだろう。入ったばかりでお互いのことを知らない状態でチームを組ませて何の意味があるのだろうか。これを機に打ち解け結束せよということだろうか。その上、だが、実力が近いようならランキングの変動も起こりうるだろうが、力も未熟で術式の組み方も入学試験に出るような内容しか知らない我々を戦わせる意味が分からない。……実戦慣れさせるため、だろうか。この時期なら大きく順位も変わらないだろうし、一番ありうる考えか。
「そういえば昨日は上級生が講堂まで案内してくれたけど、担任の先生ってどんな人なんだろうね?」
「さぁ? でもまぁ、プロの対魔導犯罪のエキスパートなんでしょうね、きっと」
そう言いながら、寿奈のさらに後方。教室の隅に視線を移す。
「綾乃ちゃん? そこに何かあるの?」
やはり寿奈は気付かないようだ。教室にはもう四組の中では最上位である76位の生徒もいるが、彼女も気付いたそぶりは見せない。本当に気付いていないのか、対角線上にいるから注目する必要もないと判断しているのか。
「綾乃ちゃん? え、何か見えるの? 幽霊?」
「魔法がある時代に幽霊ね……ま、全否定はしないけど、そこに居るのは人間よ。そうでしょう? 先生?」
刹那、教室の隅が揺らぐ。人の姿が現れたかと思いきや、すぐにその人影は教室後方のロッカーに座り込み、
「まさか99位に気付かれるとはな。驚いたよ」
「へ? だ、誰!?」
ロッカーの上に座りながら優雅な雰囲気すら感じさせる童女。そう捉える程に小柄で童顔。しかも身に纏うは真っ白なロリータ服。ぽつぽつと生徒が集まりだした教室に、彼女の存在は非常に浮いていた。だが、私は彼女の名前を知っていた。
「まさかあの“白光の魔女”浅茅咲耶が四組の担任? 随分と大盤振る舞いね」
「ど、どういうこと?」
寿奈が困惑するのも無理はない。彼女の背後にいたのだから。
「光属性魔術のスペシャリストにして、多くの魔導犯罪組織を壊滅させた女傑よ。近年姿を見せないと思ったら、教師なんてやってたんだ」
「どうしてそこまで知っているのか、問うても意味などあるまい。そろそろ朝のホームルームじゃ。各々席に着け」
そう言って再び姿を消す魔女。厳密には透明化しているのだろう。自身が光を反射しないようにすることで、周囲に溶け込んでいるというロジックだろう。でもあの幼い容姿はどういうことだろうか。あれもこちらの認識を歪めているのか?
「さてと、朝の挨拶も早々にだな、お前らに連絡がある」
再び姿を現した浅茅先生は教卓に座り我々を見下ろす。
「来週から第一回校内模擬戦、いわゆる新人戦が行われる。今週中にエントリーメンバーを確定させるんだぞ。んじゃ……あぁ、自己紹介が遅れたな。浅茅咲耶だ。魔導官の仕事は辞めて今じゃ生粋の高校教師だ。担当は魔導史と英語。こんな見た目だが、きちんと敬えよ。んじゃ、ロングホームルームまで休憩時間だ」
三度姿を消す浅茅先生。気配もないということは、どこかに移動したのだろう。よく分からないが実力は確かな人物だ。まぁ、魔導官の仕事を辞めたのが事実かどうか……少し怪しい気もするが。
「なんか凄そうな先生だね」
「ただまぁ……エントリーの確定の方法を教えてくれないのは、いかがなものかと思うけどね」
どこに書類を持って行けばいいのやら。ちょうど八十六位の生徒が教卓の真正面だったということもありプリントの配布を始めた。多分そこに全て書かれているのだろう。入ったばかりでお互いのことを知らない状態でチームを組ませて何の意味があるのだろうか。これを機に打ち解け結束せよということだろうか。その上、だが、実力が近いようならランキングの変動も起こりうるだろうが、力も未熟で術式の組み方も入学試験に出るような内容しか知らない我々を戦わせる意味が分からない。……実戦慣れさせるため、だろうか。この時期なら大きく順位も変わらないだろうし、一番ありうる考えか。
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