中二病少女、異世界で最強の魔導師になる

楠富 つかさ

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第七話 ミュイス村へ

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 リセイラの村で宿はすぐ見つけられた。異世界の宿屋なんて場合によっては雑魚寝かと思っていたけど、幸いにしてちゃんとした部屋でベッドも二つあり、ぐっすりと眠ることができた。食事も近隣で農業がまだちゃんと行われているようで、パンと野菜スープを食べることができた。
 旅のために用意してもらった保存食はまだある程度残っているが、これから先の補給を考えると、ここらで少し食料を買い込むのもいいかもしれない。幸いにして軍資金としてある程度のお金ももらっていることだし。

「ふあぁーあ、やっぱりベッドで休むと回復するわぁ」

 大あくびをしながら尚も眠たげなユフィに少量の水を浴びせて目を覚まさせる。

「あう、もう乱暴なんだから」

 てきぱきと身支度をして宿を出ると、商売をやっている地域はなかなかに活気にあふれていた。

「魔王がいて魔物の危機にさらされているっていうのに、豪儀なもんだな」
「まぁ、魔物を倒せる人が集まってるわけだし、活気づくよね」

 鍛冶をやっているのか、少し離れた場所から鉄を叩くような音も聞こえてくる。
 私は魔術師だしユフィのブライトスターも聖剣と呼ばれるだけあって刃こぼれ一つしない。鍛冶師の世話になることはなさそうだ。

「ユフィ、盾は欲しいか?」
「うーん、いらないかな。素早く動ける方がいいし、一応ブライトスターは片手で振り回せるけど、力をぐっと込めたい時は両手で持つかもしれないし」
「ならいい。そうだ、水を入れていける革袋を買い足しておこう」

 水も場合によっては傷むことがあるが、私の場合は火の魔法で煮沸することもできるし、そもそも水を生み出すことで補充もできる。

「まいどあり!」

 革袋を買ってふと思ったが、これって何の革を使っているんだろうか。魔物は倒せば雲散霧消してしまうのだから、普通の動物もいるんだろうな。でないと食肉とかないわけだし。

「買ったついでで悪いけど、ここからミュイス村までどれくらいかかる?」
「おう? 嬢ちゃんたちどこから来た?」
「王都よ」
「王都からかぁ。なら、ミュイス村まで歩いて五日か六日ってところだろうね。あんな最前線に行くとか、嬢ちゃんたち命知らずだねぇ。かぁ、行き急ぐんじゃないよ」

 道具屋の店主から好意で薬草を少しおまけしてもらった。幸いここまでの戦闘でダメージを負うことはなかったけど、取り敢えず打ち身に効果がある薬草らしいから、ここぞという時には頼らせてもらおう。
 この世界、魔法はあれど治癒の魔法は貴重らしいしポーションの類も存在しないという。治療と言えば薬草か軟膏……リアリティがあるというか、異世界の定番から少し外してきている気がする。まぁ、ブライトスターの結界はかなりマジカルな存在だけれど。

「さて、そろそろ出発だ。また魔物に遭遇するかもしれないから、気を付けて進もう」
「おっけ。マイティのことは私が守るからね」
「頼りにしてるよ、ユフィ」
『ふふ、仲良き事は良い事ですな』

 ……いまいち信用ならないカラウとともに、私たちは旅を進めるのだった。
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