中二病少女、異世界で最強の魔導師になる

楠富 つかさ

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第九話 VSゴスロリ少女

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 ユフィがブライトスターに光属性の魔力を集める。眩い軌跡を残して剣を振りぬく。

「せい! |双光斬≪そうこうざん」!」

 ゴスロリは的確にユフィの技をかわす。結局、名乗りもしてないから呼び名は暫定でゴスロリとしておく。光属性の攻撃が通用しそうだというのに、回避されては仕方ない。着地しそうな場所を目掛けて魔法を放つ。

詠唱破棄クイックスペル、ブラッドクロー!!」

 闇色の爪が剣で弾かれてしまう……。威力を捨てて速度を重視しているからって一撃で弾ける程に柔な術を使った覚えはないはずなんだけど。

「生憎だけど、闇属性の魔術は血の濃い私らみたいな魔族には効かないのよ!」

 ユフィの大上段からの振り下ろしに剣を、ゴスロリは斜に構えた剣で受け流す。返す刃で振りぬいた一撃を、ユフィはブライトスターの展開するバリアで受け止める。

「厄介な力を持っていますね、これならどうですか、暴食の槍!」

 フォークみたいな鋭い槍がユフィを追撃する。

「サンダーライト!」

 ゴスロリの目の前に雷を落として勢いを削ぐ。続けて、氷の礫を放つ。

「相手が槍も使うならマイティ、貴女も槍を使ってみては?」

 カラウがクロディアンの先端にとまり、そんなことを言う。クロディアンの先端は刀剣の鍔のように、アーチ状になっている。カラウに言われるがままそこに、魔力を流し込むと……。

「え、刃……?」

 黒曜石のような鋭く美しい刃が姿を現した。これが……クロディアンのもう一つの姿。
 陰陽が逆転したかのように、光属性の力が流れ込む。光は光でも、ユフィが持つ太陽みたいな光というよりは、月のような……。まぁ、ユフィが持つ剣がブライトスターで星の名を冠しているのに、あれだけ明るいことから、この感覚っていうのはそんな正確なものではないのかもしれないが。

「やってみようか」

 武器を槍に持ち替え、ユフィに間合いへ入らせずに戦うゴスロリの背後から、槍を振りかぶって突き出す。

「な!?」

 掠る程度ではあったが、体勢を崩すことには成功した。ここで追撃の魔術を放つ。

「喰らえっ極夜の月光!! ルナライトクロー!!」

 青白く輝く魔術の爪撃がしたたかに直撃する。ゴスロリが切り裂かれ、マネキンみたいな白い肌がちらつく。この隙を逃しはしない!

「今だ!! ユフィ!!」
「オッケー! 響け!! 陽光衝波斬ようこうしょうはざん!!」

 ユフィが持つブライトスターから太陽光のような波動が迸る。その波動はゴスロリに直撃した。彼女は槍を地面に突き刺し、闇色のドームを生じさせるが、灼熱の一撃はそれを容易く打ち払い、ゴスロリ少女を吹き飛ばした。

「や、やりすぎちゃったかな。でもまぁ、先に剣を抜いたのは向こうだし……?」

 頬をかくユフィに肩をすくめながら、ゴスロリ少女が倒れた方を向くのだが……気づけばあれだけ見事だったゴスロリ服は闇に溶けるかのように消え去り、全裸の少女が倒れていた。

「……裸だね。どうしよう?」
「うわぁ……どうしたものかな」

 起伏の乏しい胸が上下していることから、どうやら絶命はしていないようだ。

「取り敢えず、彼女は武器をどこからともなく取り出した。武装解除は難しそうだし、こちらも油断なく警戒を続けようか。準備が出来たら起こすから声をかけてちょうだい」

 こういう時、指針を示してくれるからカラウを頼っていいものなのかな……。一先ず私は槍を、ユフィは剣を構えたまま全裸の少女に近づくのだった。
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