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「びええぇぇっ! すみませんすみませんすみませんすみません! わざとじゃないんです王族の方を傷つけようだなんて思っていませんっ! 食べられる野草を探してたら足元が疎かになっただけなんです……!!」
突然の出来事と、その後の私のエキセントリックな動きに、ウィレム先生は宝石みたいに綺麗な瞳を見開いて固まっている。
けれど私が地面に額を擦りつける勢いでひれ伏そうとすると、素早く私を止めて視線を合わせながら優しく微笑んでくれた。
「そんなことをする必要はない。こちらこそ、驚いてしまいすぐに反応できなくてすまなかった。むしろ、こんなところで昼寝をしていた俺が悪いんだから謝るのは俺の方だ」
「いえっ! 先生が悪いだなんてそんなことないですっ……! 本当に野草に夢中になってた私の不注意なのでっっ」
「君、名前は? 夜会などで見かけたことがないということは、貴族ではない子だろうか。けれど、学園の中ではそんなこと気にせずに、教師と生徒として接してほしい…………野草?」
「ありがとうございます! 寛大なお心に感謝いたします! 私の名前はルアーシャ・ドナ、お察しの通りしがない平民の娘でございます! お昼ご飯代を節約したいので、食べられる野草を探しに来ました!」
「昼食代が足りずに? まさか、この国はそんなに飢えた子を見逃していたのか……っ?」
「あ、いえ! 違うんです!」
「違う?」
自分のことは教師として接して欲しいとは言ったものの、私の言葉に王族としての責任を感じてしまったであろうウィレム先生の眉根が寄り表情が曇る。
何か、とても悲壮な勘違いを彼にさせてしまっている。そう気づいて、今度は私が慌ててそんな彼を止めた。
「別にうちがご飯も食べられないくらいお金がないとかではなくて! 我が家は妹と弟が多くて、私の下に五人、弟と妹がいるんです……! だから、両親は欲しいものとか遠慮することないって言ってるんですけど、私が勝手に節約してるだけなんです……! なので国がアレとかそんなんじゃないですっ!」
「六人きょうだい? それは、賑やかそうだな」
「はい! しかも全員、私と同じホワイトブロンドと青い瞳で! みんなで移動してると目立つので、ご近所さんでは『ドナさんちの子どもたち』といったらちょっと有名なんですよ……!」
子沢山な中流家庭の長女。それゆえの節約精神。
決して国の政策に問題があるわけでなく、私が好きで野草を食べているだけだと身振り手振りを交えて説明する。
事実、私も両親も弟妹たちも国への不満は何もない。
「しかし、成長期の子供が思いきり食べられないというのは教師としても見過ごせないな……。学食を無償で提供できないか学園に掛け合ってみよう」
「本当ですか?!」
え、ウィレム先生メッチャ優しい。
学食が無料になったらメッチャ嬉しい。
「あぁ。それと、ちょうど授業の資料整理や研究を手伝ってくれる助手を生徒の中から募集しようと思ってたんだ。君さえ良ければどうだろうか。もちろん報酬はちゃんと渡すよ」
「良いんですか?!」
「うん。むしろ、君はちょっと危なっかしい気がするから、俺の目の届くところにいた方が良いと思う。これも何かの縁だし、これから君が卒業するまでの三年間よろしく頼むよ」
「はいっ! よろしくお願いします!」
学園の有名教師ウィレム・アダマス。
彼は王族だからという理由だけでなく、その神々しいまでの美貌と強大な魔力を有する才能、そして穏やかな人柄で生徒たちから絶大な人気を集めていた。
そんな人の助手になれた上にバイト代まで貰えるなんて断る理由がない。
突然の出来事と、その後の私のエキセントリックな動きに、ウィレム先生は宝石みたいに綺麗な瞳を見開いて固まっている。
けれど私が地面に額を擦りつける勢いでひれ伏そうとすると、素早く私を止めて視線を合わせながら優しく微笑んでくれた。
「そんなことをする必要はない。こちらこそ、驚いてしまいすぐに反応できなくてすまなかった。むしろ、こんなところで昼寝をしていた俺が悪いんだから謝るのは俺の方だ」
「いえっ! 先生が悪いだなんてそんなことないですっ……! 本当に野草に夢中になってた私の不注意なのでっっ」
「君、名前は? 夜会などで見かけたことがないということは、貴族ではない子だろうか。けれど、学園の中ではそんなこと気にせずに、教師と生徒として接してほしい…………野草?」
「ありがとうございます! 寛大なお心に感謝いたします! 私の名前はルアーシャ・ドナ、お察しの通りしがない平民の娘でございます! お昼ご飯代を節約したいので、食べられる野草を探しに来ました!」
「昼食代が足りずに? まさか、この国はそんなに飢えた子を見逃していたのか……っ?」
「あ、いえ! 違うんです!」
「違う?」
自分のことは教師として接して欲しいとは言ったものの、私の言葉に王族としての責任を感じてしまったであろうウィレム先生の眉根が寄り表情が曇る。
何か、とても悲壮な勘違いを彼にさせてしまっている。そう気づいて、今度は私が慌ててそんな彼を止めた。
「別にうちがご飯も食べられないくらいお金がないとかではなくて! 我が家は妹と弟が多くて、私の下に五人、弟と妹がいるんです……! だから、両親は欲しいものとか遠慮することないって言ってるんですけど、私が勝手に節約してるだけなんです……! なので国がアレとかそんなんじゃないですっ!」
「六人きょうだい? それは、賑やかそうだな」
「はい! しかも全員、私と同じホワイトブロンドと青い瞳で! みんなで移動してると目立つので、ご近所さんでは『ドナさんちの子どもたち』といったらちょっと有名なんですよ……!」
子沢山な中流家庭の長女。それゆえの節約精神。
決して国の政策に問題があるわけでなく、私が好きで野草を食べているだけだと身振り手振りを交えて説明する。
事実、私も両親も弟妹たちも国への不満は何もない。
「しかし、成長期の子供が思いきり食べられないというのは教師としても見過ごせないな……。学食を無償で提供できないか学園に掛け合ってみよう」
「本当ですか?!」
え、ウィレム先生メッチャ優しい。
学食が無料になったらメッチャ嬉しい。
「あぁ。それと、ちょうど授業の資料整理や研究を手伝ってくれる助手を生徒の中から募集しようと思ってたんだ。君さえ良ければどうだろうか。もちろん報酬はちゃんと渡すよ」
「良いんですか?!」
「うん。むしろ、君はちょっと危なっかしい気がするから、俺の目の届くところにいた方が良いと思う。これも何かの縁だし、これから君が卒業するまでの三年間よろしく頼むよ」
「はいっ! よろしくお願いします!」
学園の有名教師ウィレム・アダマス。
彼は王族だからという理由だけでなく、その神々しいまでの美貌と強大な魔力を有する才能、そして穏やかな人柄で生徒たちから絶大な人気を集めていた。
そんな人の助手になれた上にバイト代まで貰えるなんて断る理由がない。
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