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こうして偶然から始まった私のラッキーな助手生活。
ウィレム先生の研究室に通い、彼の役に立ち、更に二人だけの時間を過ごせたことは、私の三年間の学園生活の中でもとても大切な宝物だ。
『ルアーシャ、学園生活で何か困っていることは? 俺で良ければ力になるから何でも相談してほしい』
『王都で有名なお菓子を貰ったからルアーシャにあげるよ。他の生徒には内緒だよ』
『――あっ、ごめん。ちょっと夜明けまで新しい魔法の研究をしていたから眠くて。普段は人前であくびなんてしないのだけど、ルアーシャと二人の時はつい素が出ちゃうな。君といると癒やされるんだ』
瞼を閉じれば、いくらでもウィレム先生の笑顔と彼がくれた言葉が浮かび上がる。
――けれど。その大切な時間も、あと三ヶ月で終わってしまう。
私が学園を卒業する日がすぐそこまで迫ってきていた。
学園を卒業し教師と生徒という関係がなくなってしまったら、平民の私はウィレム先生に話しかけることもできなくなるだろう。
(そんなの、嫌……! 私、もっと先生の側にいたい……!)
いつの間にか胸に芽生えていたウィレム先生への恋心。
平民の私が王弟である先生と両想いになりたいなんて、不相応なことは願わないけれど。せめて、卒業した後でも彼に関われる可能性が欲しい。
そう願った私は、夜な夜な寮の部屋で頭を抱えてどうにかそれを叶えられないか考えた。
悩みすぎて毛根が絶滅するかと思うほど脳をフル回転させたけれど、おかげである起死回生の手段を思いつく。
それは、冬休み明けに行なわれる卒業試験で優秀な結果を残し、この学園の職員として採用され就職することだった。
現在、私の成績は学年の上位グループの真ん中くらい。
体内に巡る魔力の含有量が平均値しかないわりには、良い成績をおさめられていると思う。
(助手の私が残念な点数を取ってウィレム先生に恥をかかせるわけにはいかないもの……!)
そう。私が魔力量のわりに日々のテストで上位に食い込めているのは、努力次第で点数のとれる座学と魔法のコントロールの技術を死に物狂いで学んでいるからだ。
魔法のコントロールに必要な精神力と器用さ。それを鍛えるために行った滝行や瞑想、米粒に小さな文字をびっしり書く訓練、魔術書の写経。
おかげで今はヘアピン1本でどんな鍵でも開けられるほどの技と集中力を身につけた。
でも、持って生まれた才能……魔力の量だけは、自分の努力だけではどうにもならない。
学園の教師として確実に採用されるには、溢れるほどの魔力も欲しい。
(魔力の量が足りないからって、それで諦めてウィレム先生と一緒にいられなくなるのは絶対に嫌なの……!)
どうにかして魔力を増やす方法はないのか。
何冊もの分厚い魔術書の頁をめくり、血眼で文字を追い続けた。
そうして頁をめくり過ぎて手の指がカッサカサになった頃。
私は遂に、自分が求める答えの記されている本を見つけた。
ウィレム先生の研究室に通い、彼の役に立ち、更に二人だけの時間を過ごせたことは、私の三年間の学園生活の中でもとても大切な宝物だ。
『ルアーシャ、学園生活で何か困っていることは? 俺で良ければ力になるから何でも相談してほしい』
『王都で有名なお菓子を貰ったからルアーシャにあげるよ。他の生徒には内緒だよ』
『――あっ、ごめん。ちょっと夜明けまで新しい魔法の研究をしていたから眠くて。普段は人前であくびなんてしないのだけど、ルアーシャと二人の時はつい素が出ちゃうな。君といると癒やされるんだ』
瞼を閉じれば、いくらでもウィレム先生の笑顔と彼がくれた言葉が浮かび上がる。
――けれど。その大切な時間も、あと三ヶ月で終わってしまう。
私が学園を卒業する日がすぐそこまで迫ってきていた。
学園を卒業し教師と生徒という関係がなくなってしまったら、平民の私はウィレム先生に話しかけることもできなくなるだろう。
(そんなの、嫌……! 私、もっと先生の側にいたい……!)
いつの間にか胸に芽生えていたウィレム先生への恋心。
平民の私が王弟である先生と両想いになりたいなんて、不相応なことは願わないけれど。せめて、卒業した後でも彼に関われる可能性が欲しい。
そう願った私は、夜な夜な寮の部屋で頭を抱えてどうにかそれを叶えられないか考えた。
悩みすぎて毛根が絶滅するかと思うほど脳をフル回転させたけれど、おかげである起死回生の手段を思いつく。
それは、冬休み明けに行なわれる卒業試験で優秀な結果を残し、この学園の職員として採用され就職することだった。
現在、私の成績は学年の上位グループの真ん中くらい。
体内に巡る魔力の含有量が平均値しかないわりには、良い成績をおさめられていると思う。
(助手の私が残念な点数を取ってウィレム先生に恥をかかせるわけにはいかないもの……!)
そう。私が魔力量のわりに日々のテストで上位に食い込めているのは、努力次第で点数のとれる座学と魔法のコントロールの技術を死に物狂いで学んでいるからだ。
魔法のコントロールに必要な精神力と器用さ。それを鍛えるために行った滝行や瞑想、米粒に小さな文字をびっしり書く訓練、魔術書の写経。
おかげで今はヘアピン1本でどんな鍵でも開けられるほどの技と集中力を身につけた。
でも、持って生まれた才能……魔力の量だけは、自分の努力だけではどうにもならない。
学園の教師として確実に採用されるには、溢れるほどの魔力も欲しい。
(魔力の量が足りないからって、それで諦めてウィレム先生と一緒にいられなくなるのは絶対に嫌なの……!)
どうにかして魔力を増やす方法はないのか。
何冊もの分厚い魔術書の頁をめくり、血眼で文字を追い続けた。
そうして頁をめくり過ぎて手の指がカッサカサになった頃。
私は遂に、自分が求める答えの記されている本を見つけた。
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