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「……ルアーシャ、今、合コンって言った?」

「はい! 私の目的達成のために、どうしても今すぐにでも合コンに参加したいんです!」

「えーと、助手の仕事自体は特に立て込んでないから休むのはかまわないけど、問題は合コンの方だよルアーシャ。生徒に合コンに参加したいと言われて許可できる教師がいると思うかい」

「でも先生! 私はもう十八歳で成人していますし、お酒を飲む気はないんです。ただ、どうしても卒業試験で良い成績を残したいので、男性の協力が必要なんです! 合コンと言いましたが、恋人探しではなく、協力者探しのためのお茶会だと思っていただければっ!」

「良い成績を残したいのと男の協力がどうしてイコールになるのか理解できないよルアーシャ。……それに、男なら君の目の前にもいるだろう」

 私の『目的』達成のために、あのショッキングピンクの本に書いてあった『方法』をウィレム先生に手伝ってもらう。
 その光景を想像して一気に顔に血が上る。
 だって、あの『方法』は――――。

「えっ! む、ムリムリムリムリ! ムリですそんなのっっ! 先生が相手なのだけは絶対にムリです!」

「無理ってどうして? 俺はこの学園の教師なんだから、むしろ良い成績を取るために頼る相手として適任だと思うのだけど? もし授業でどこかわからないところが有って他の男に聞こうとしているのなら、俺に遠慮なく聞いてほしい」

「いえっまさか! 先生の教え方はいつも凄くわかりやすいです!」

「では何故?」

 合コンで男性と出会い私がしたいこと。
 それは魔力を増やすためのある『行為』で。
 そして、それは。

「…………魔力の量を、増やしたくて……」

「――魔力を?」

 私の羽虫が鳴くような声を聞き逃さなかったウィレム先生の眉がピクリと痙攣した。いつも春の陽だまりみたいに穏やかなウィレム先生の雰囲気が変わる。

 あ、ヤバイ。さすが魔術を知り尽くした稀代の魔術師。
 これ、私が見つけた文献の内容も知ってる展開では?

「ルアーシャ? ちゃんと答えなさい。魔力を増やすために、男と、何をするつもりだって?」

「え~と」

「ルアーシャ」

 今まで聞いたことがない、ウィレム先生の低い声。
 その声には「逆らうことなど許さない」という響きがあった。

「――――をですね、してもらおうかと」

「うん? もっと大きな声で言って」

「~~! 男性に中出ししてもらって、魔力を増やそうと思いましたごめんなさいっっ!」
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