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きっとこれが本当の姿
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まさか『彼』がこんなにも美しく、堂々とした王子様だったなんて。
彼の誕生日を目前に控えたその日。
王宮で開かれる誕生祭のために正装した青年の姿を、少女は信じられない思いで見上げた。
サラサラと流れる銀髪はすっきりと整えられて。
魔力の満ちた青い瞳は、深い海の色も澄んだ空の色も溶かした宝石のよう。
形の良い鼻梁に薄い唇。なめらかで透き通った白い肌。
少女よりも頭一つ高い長身と相まって、彼はまるで高名な芸術家が作った彫像のごとく完璧だった。
しかし、確かな人間の熱を持って少女の前まで歩いて来た青年は、少女の姿を確認すると嬉しげに目を細めた。
「……俺が贈ったドレス、よく似合ってるエマ」
その抑えきれない喜びに満ちた青年の言葉に、エマと呼ばれた少女の鼓動がドキリと跳ねる。
「あなたも、王子様の正装がすごく似合ってるわアシュレイ」
いつも通りの二人の会話を心がけ、なんとでもない風に返事をする少女だったが、心臓の音はいつまでも高鳴ったままおさまらない。
――これではまるで、自分が彼に恋をしているみたいではないか。
そう思いながら、少女は青年の瞳と同じ色の宝石がついたドレスの胸元を、きゅっと握りしめた。
彼の誕生日を目前に控えたその日。
王宮で開かれる誕生祭のために正装した青年の姿を、少女は信じられない思いで見上げた。
サラサラと流れる銀髪はすっきりと整えられて。
魔力の満ちた青い瞳は、深い海の色も澄んだ空の色も溶かした宝石のよう。
形の良い鼻梁に薄い唇。なめらかで透き通った白い肌。
少女よりも頭一つ高い長身と相まって、彼はまるで高名な芸術家が作った彫像のごとく完璧だった。
しかし、確かな人間の熱を持って少女の前まで歩いて来た青年は、少女の姿を確認すると嬉しげに目を細めた。
「……俺が贈ったドレス、よく似合ってるエマ」
その抑えきれない喜びに満ちた青年の言葉に、エマと呼ばれた少女の鼓動がドキリと跳ねる。
「あなたも、王子様の正装がすごく似合ってるわアシュレイ」
いつも通りの二人の会話を心がけ、なんとでもない風に返事をする少女だったが、心臓の音はいつまでも高鳴ったままおさまらない。
――これではまるで、自分が彼に恋をしているみたいではないか。
そう思いながら、少女は青年の瞳と同じ色の宝石がついたドレスの胸元を、きゅっと握りしめた。
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