星の子ども

秋野 木星

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第一章 NICU

生後14日目 そっか……

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今日、MRI検査の結果から予測される状態についての話がありました。
これは父母にしか話せないらしく、ばあばは気を揉みながらも自宅待機です。

昨日あった産院の先生との話では、胎盤やへその緒の状態に異常はなかったらしく、こうなったことの原因がわからないということでした。
運命なのかもしれませんね。

※ ただ、主治医が土日の出産をかたくなに避けたがっていたのが気になります。小児科医もいなかったし、人手が足りなかったという、病院側の事情があったのかもしれません。
そんなちょっとのためらいが、緊急帝王切開の判断を遅らせた? 1分の遅れでも低酸素性脳症には大打撃です。
それに高齢出産に近かったネムルーが予定日を二週間も過ぎているのに、病院から一旦家に帰らされて、さらに二日後に陣痛促進剤を使うかと言われたのもちょっと引っかかっています。
普通に出産できていれば、気にはしなかったでしょうが。
五体満足で遺伝子的な病気もなかったリノ、後ほんの30分ほど早く帝王切開をしていたら、なんの障がいもなく元気で産まれてきていたのに……と残念でなりません。
リノにとっては一生の大きなリスクを背負うことになってしまいました。
ネムルーが不妊治療をしていた病院は出産ができないところでした。そこから出産した病院を紹介してもらってのことだったので、苦労して不妊治療をしていたあげくの子どもだということも、しっかりとは伝わっていなかったのかもしれません。
家族も病院側も反省点が多々あった出産になってしまいました。
 

脳のMRIの検査結果を聞きに行ったネムルーとムコーの二人は、夕方帰って来ました。
覚悟していたものが目の前に示されたかなというような、諦めと覚悟が現れた表情でした。

詳しい話を聞いて、ショックを受けたのはばあばの方だったかもしれません。
自発呼吸が出てきたことで、経管栄養の管だけで退院できるのではないかと、希望的推測を持っていました。
けれど主治医の先生は、「退院を考えるなら気管切開で人工呼吸にした方がいいですね」という判断だったそうです。
MRIでは、大脳の95%ぐらいに異常が認められたので、目をあけるとかも考えにくい。寝たきりになる可能性が高いとのことでした。
耳の方も聞こえていないというか、聞こえたことを脳で処理する能力があるのかわからない状態らしいです。

その診断結果を聞いたばあばはしばらく落ち込んでいましたが、無理矢理にクリスマスソングを口ずさんだりして、気持ちを上げていこうと必死でした。

そんな時に、ブログで読んだイブちゃんやのんちゃんのことを思い出したのです。
形は大きく変わってくるかもしれませんが「子育て」という面では、どの子も同じなのです。

その点は、ネムルーとムコーの方が覚悟ができていましたし、前向きに考えていました。

「NICUから帰る時に見かけた補足具をつけた子ども、おもちゃを買って欲しいと駄々をこねている子ども、それぞれにその子なりの子育ての苦労はある。
リノなりの子育ての苦労は背負っていかなければならないだろうが、今、手足を動かしていることだけでも嬉しいし、ありがたいんだから、なんとかやっていけるよ。」

そう言っていました。

そうだね。
リノといる一瞬一瞬を楽しもう。
先生が退院まで三か月と思っているのなら、その間の病院生活も楽しもう。

夕食の時、家族四人でそんな話をしました。


でも5%は脳が生きているんだよね……
ばあばは、まだしぶとくあきらめてはいないのでした。(笑)


この日は父親になったムコーが初めてリノを抱っこすることができました。
MRI検査結果・・・大脳の95%にダメージ。一生、寝たきり。気管切開して人工呼吸器をつけることを勧める。嚥下することができないので、もちろん食事もできない。将来的には胃瘻造設と胃の噴門部を縮めて胃からの逆流を防ぐ手術が必要になるだろう。
つまり新生児重症仮死、新生児低酸素性虚血性脳症で産まれた子ども達の中でも、リノは一番重症の部類になったわけです。
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