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第一章 ガルディア都市
うたかたの夢
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日差しが木漏れ日の隙間から漏れ、吹き抜ける風が肌身を撫でる。
私は歩く。
一人草花が生い茂る森の中を……
草花は大きく、私の身の丈ほどまで伸びている。 木漏れ日のまぶしさに手をかざすとやけに自分の手が小さく見える。
ふと自分の姿を確認してみてみるとボロボロの布切れのような服を身にまとっているのがわかる。
『なんだこれは』と声に出そうとしたがどうやらここでも声は出ないらしい。
辺りには鳥の囀りの音だけが響き渡る。
仕方なく目的もないまま真っ直ぐ森の中を進んでいくとポツンと木で作られた椅子が存在している。
それは木漏れ日に照らされ、水滴もついているのかキラキラと輝いて見えた。
その木でできた椅子に近づいてみようとすると後ろから優しい声をかけられた気がした。
慌てて振り返るが振り返っても誰もいない、ここには私しかいない。
再び椅子に向き直るとそこにはさっきまでは誰もいなかったのに一人の金色の長い髪の女性が腰かけていた。
驚きのあまり大きく尻餅をついてしまう。 それがとても面白かったのかその髪の長い女性は笑っているように見える。 そう今回も顔はぼやけていて認識ができないが笑っているように見えるのは前回の夢と同じだ。
私は今夢を見ている。
最近は何故か覚えていることが多いのでこれも夢だと理解できた。
これは私が生み出した幻想か願望かいまいち判断しかねる処がある。
そして何よりも違うところは前回のような街の中ではないということだ。
その椅子に腰かける女性は手に本を持っていてここには本を読みに来ていることが窺える。
ひとしきり女性が笑った後ちょいちょいと私を呼ぶような仕草を取る。
改めて近づくと女性が大きく感じる。 いや違うなこれは私が子供の身長サイズしかないと考えるほうが自然だ。
女性の傍に近寄るとなぜだか心が安らぐ感じがした。
その女性は私を呼ぶと頭を一回撫で、私にはわからない言葉を喋っているようでじっと前だけを向いている。
毎回夢の中では言葉がわかったり、わからなかったりと不鮮明だ。
女性はしばらく喋った後私をじっと見る。 その顔はとても悲しそうで泣いているのではないかと思う表情をしていた。
女性は私の頭を再び撫で、椅子から立ち上がると森の奥を目指して歩いていく。
ふと振り向き私に声を投げかける。
その言葉は今まで全くわからなかったのにやけにはっきりとした言葉で私に伝わる。
「さようなら、アリア。 あなたは私のようにはならないでね……」
追いかけようにも足がまったく動かず、私はただその背中を見続けることしかできなかった。
これは本当に私の妄想なのか?
視界が明滅していく、耳元で違う声が聞こえてくる。
どうやら夢は終わりを迎えたらしい。
■ ■ ■ ■ ■
「……様 ……アリア様!」
ガバッと起き上がった私の前に一番に飛び込んできた光景はメイド姿のフリーシアさんだった。
フリーシアさんは心配そうな顔をしながら私の手を握っていた。
「お、おはようございます! アリア様」
「っつつ!? お、おはようフリーシアさん、その、これはいったい?」
「アリア様がうなされておりましたので、心配で手を握っていました。昔からアリア様が悪い夢を見るとうなされていますから私がよく手を握っていたものですよ」
そうなのか、知らなかった……
「……今日もそういう怖い夢をみたのですか?」
夢の出来事など起きてしまうと次第に薄れ、忘れてしまう。
今回もそのようで今は夢の内容が思い出せない……
「いや、もう覚えていないんだ。 心配してくれてありがとうフリーシアさん。 それと…… もう手はいいのでは?」
「もう少しだけこの懐かしさに浸らせてください」
そう言ってフリーシアさんはぎゅっと握る手を少し強めた。 フリーシアさんの手はひんやりとしていて私としては手汗をかいていないか心配になる。
「ありがとうございます、アリア様」
そっと手を放したフリーシアさんは朗らかな笑顔で微笑む。
「今日はいい天気ですよアリア様」
そう言ってフリーシアさんは部屋の窓を開けにいき、空気の入れ替えをしていく。
私もベッドから身を起こすと外の様子を見るべく窓辺に向かった。
「演説にはもってこいの日になったな」
「今日でしたか、国王演説の日というのは」
「ああ、ガイム広場のほうで行われるよ、昨日も建設の手伝いやらで色々大変だったがようやく舞台も間に合ったみたいで、心配だった天気もこの様子だと問題なさそうだな」
窓の外の空を眺めると、雲一つない青空が広がっていた。
この様子だと今日は一日暑くなりそうだな。
「朝食の準備はもうできていますので準備が整い次第下に来てくださいね」
「ああ、ありがとう」
フリーシアさんは手慣れた手つきで部屋の掃除を始めていく、私がずっとここにいると邪魔になってしまうだろう。 私は今日着る着替えを持ち、洗面台のある部屋へと進んでいった。
着替えを済ませた私は朝食を取るため一階のダイニングへと向かった。
ダイニングに入るとすでにセレスが朝食を食べ終わった後だった。
「おはようございます! 兄様」
「おはよう、セレス、今日はセレスのほうが先だったか」
「今日は珍しいですね兄様が少し遅いなんて」
「日頃の疲れが溜まっていたんだよ、昨日も結局帰るのが遅くなってしまった」
「あまり無理しないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
「私は先に本部へと向かいますので、今日の国王演説何もなければいいんですけどね」
「私もノイトラの料理を食べたらすぐに向かうよ、本当に何もなければいいな」
セレスを見送ると同時にノイトラが朝食を運んでくる。
ことりとテーブルに置かれた今朝のメニューはパンとポトフだ。
この時期朝は食欲が落ちやすい、しかしノイトラの計算されたバランスのいい料理はそんなことにはならない。 今も美味しそうなコンソメのいい匂いが漂って食欲を刺激する。
パンはカリカリに表面が焼かれており、中はもっちりとしている。 そのパンにバターを塗ると溶けたバターのいい香りが広がる。
一口食べるとカリッとした音とともに嚙むたびにパンの旨みが広がる。
ポトフはどうやら様々な季節の野菜と肉を使っているみたいで体に染みるような味わいだ。
イモはホクホクしていてそれなのにしっかりと味が染み込んでいたり、野菜も野菜本来の旨みをコンソメがうまく引き出してくれていてとても美味しい。
私が料理に舌鼓をうつとノイトラがフルーツジュースをグラスに注いでくれた、さっぱりとした柑橘の酸味が心地よく喉を通り過ぎていく。
「ノイトラ、今日もすごく美味しかったよ」
「ありがとうございます」
時間を確認するともうそろそろ出ないとまずい時間だ。 鎧を着こみ私は屋敷を後にする。
いたって今日一日何もないことを祈りながら。
私は歩く。
一人草花が生い茂る森の中を……
草花は大きく、私の身の丈ほどまで伸びている。 木漏れ日のまぶしさに手をかざすとやけに自分の手が小さく見える。
ふと自分の姿を確認してみてみるとボロボロの布切れのような服を身にまとっているのがわかる。
『なんだこれは』と声に出そうとしたがどうやらここでも声は出ないらしい。
辺りには鳥の囀りの音だけが響き渡る。
仕方なく目的もないまま真っ直ぐ森の中を進んでいくとポツンと木で作られた椅子が存在している。
それは木漏れ日に照らされ、水滴もついているのかキラキラと輝いて見えた。
その木でできた椅子に近づいてみようとすると後ろから優しい声をかけられた気がした。
慌てて振り返るが振り返っても誰もいない、ここには私しかいない。
再び椅子に向き直るとそこにはさっきまでは誰もいなかったのに一人の金色の長い髪の女性が腰かけていた。
驚きのあまり大きく尻餅をついてしまう。 それがとても面白かったのかその髪の長い女性は笑っているように見える。 そう今回も顔はぼやけていて認識ができないが笑っているように見えるのは前回の夢と同じだ。
私は今夢を見ている。
最近は何故か覚えていることが多いのでこれも夢だと理解できた。
これは私が生み出した幻想か願望かいまいち判断しかねる処がある。
そして何よりも違うところは前回のような街の中ではないということだ。
その椅子に腰かける女性は手に本を持っていてここには本を読みに来ていることが窺える。
ひとしきり女性が笑った後ちょいちょいと私を呼ぶような仕草を取る。
改めて近づくと女性が大きく感じる。 いや違うなこれは私が子供の身長サイズしかないと考えるほうが自然だ。
女性の傍に近寄るとなぜだか心が安らぐ感じがした。
その女性は私を呼ぶと頭を一回撫で、私にはわからない言葉を喋っているようでじっと前だけを向いている。
毎回夢の中では言葉がわかったり、わからなかったりと不鮮明だ。
女性はしばらく喋った後私をじっと見る。 その顔はとても悲しそうで泣いているのではないかと思う表情をしていた。
女性は私の頭を再び撫で、椅子から立ち上がると森の奥を目指して歩いていく。
ふと振り向き私に声を投げかける。
その言葉は今まで全くわからなかったのにやけにはっきりとした言葉で私に伝わる。
「さようなら、アリア。 あなたは私のようにはならないでね……」
追いかけようにも足がまったく動かず、私はただその背中を見続けることしかできなかった。
これは本当に私の妄想なのか?
視界が明滅していく、耳元で違う声が聞こえてくる。
どうやら夢は終わりを迎えたらしい。
■ ■ ■ ■ ■
「……様 ……アリア様!」
ガバッと起き上がった私の前に一番に飛び込んできた光景はメイド姿のフリーシアさんだった。
フリーシアさんは心配そうな顔をしながら私の手を握っていた。
「お、おはようございます! アリア様」
「っつつ!? お、おはようフリーシアさん、その、これはいったい?」
「アリア様がうなされておりましたので、心配で手を握っていました。昔からアリア様が悪い夢を見るとうなされていますから私がよく手を握っていたものですよ」
そうなのか、知らなかった……
「……今日もそういう怖い夢をみたのですか?」
夢の出来事など起きてしまうと次第に薄れ、忘れてしまう。
今回もそのようで今は夢の内容が思い出せない……
「いや、もう覚えていないんだ。 心配してくれてありがとうフリーシアさん。 それと…… もう手はいいのでは?」
「もう少しだけこの懐かしさに浸らせてください」
そう言ってフリーシアさんはぎゅっと握る手を少し強めた。 フリーシアさんの手はひんやりとしていて私としては手汗をかいていないか心配になる。
「ありがとうございます、アリア様」
そっと手を放したフリーシアさんは朗らかな笑顔で微笑む。
「今日はいい天気ですよアリア様」
そう言ってフリーシアさんは部屋の窓を開けにいき、空気の入れ替えをしていく。
私もベッドから身を起こすと外の様子を見るべく窓辺に向かった。
「演説にはもってこいの日になったな」
「今日でしたか、国王演説の日というのは」
「ああ、ガイム広場のほうで行われるよ、昨日も建設の手伝いやらで色々大変だったがようやく舞台も間に合ったみたいで、心配だった天気もこの様子だと問題なさそうだな」
窓の外の空を眺めると、雲一つない青空が広がっていた。
この様子だと今日は一日暑くなりそうだな。
「朝食の準備はもうできていますので準備が整い次第下に来てくださいね」
「ああ、ありがとう」
フリーシアさんは手慣れた手つきで部屋の掃除を始めていく、私がずっとここにいると邪魔になってしまうだろう。 私は今日着る着替えを持ち、洗面台のある部屋へと進んでいった。
着替えを済ませた私は朝食を取るため一階のダイニングへと向かった。
ダイニングに入るとすでにセレスが朝食を食べ終わった後だった。
「おはようございます! 兄様」
「おはよう、セレス、今日はセレスのほうが先だったか」
「今日は珍しいですね兄様が少し遅いなんて」
「日頃の疲れが溜まっていたんだよ、昨日も結局帰るのが遅くなってしまった」
「あまり無理しないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
「私は先に本部へと向かいますので、今日の国王演説何もなければいいんですけどね」
「私もノイトラの料理を食べたらすぐに向かうよ、本当に何もなければいいな」
セレスを見送ると同時にノイトラが朝食を運んでくる。
ことりとテーブルに置かれた今朝のメニューはパンとポトフだ。
この時期朝は食欲が落ちやすい、しかしノイトラの計算されたバランスのいい料理はそんなことにはならない。 今も美味しそうなコンソメのいい匂いが漂って食欲を刺激する。
パンはカリカリに表面が焼かれており、中はもっちりとしている。 そのパンにバターを塗ると溶けたバターのいい香りが広がる。
一口食べるとカリッとした音とともに嚙むたびにパンの旨みが広がる。
ポトフはどうやら様々な季節の野菜と肉を使っているみたいで体に染みるような味わいだ。
イモはホクホクしていてそれなのにしっかりと味が染み込んでいたり、野菜も野菜本来の旨みをコンソメがうまく引き出してくれていてとても美味しい。
私が料理に舌鼓をうつとノイトラがフルーツジュースをグラスに注いでくれた、さっぱりとした柑橘の酸味が心地よく喉を通り過ぎていく。
「ノイトラ、今日もすごく美味しかったよ」
「ありがとうございます」
時間を確認するともうそろそろ出ないとまずい時間だ。 鎧を着こみ私は屋敷を後にする。
いたって今日一日何もないことを祈りながら。
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