41 / 104
第一章 ガルディア都市
罠
しおりを挟む
国王演説が始まり、私はある男を追って路地に入ってきた。
「よぉ、久しぶりじゃのう」
私は後ろから声をかけられ慌てて振り返る。
「貴様、何をしに来た」
悪感情が駆け巡る。怒気を含んだ声音で尋ねる。
「フハハ、なぁに演説を見に来たに決まっているだろう」
黒いフルプレートの男は後ろに大きな長剣を背負い堂々と路地から現れた。
一定の距離を保ち、剣の淵に手をかける。
「そう急くでない、今日は戦うために儂は来たわけではない」
「では何故そんな格好をしている」
「まぁこちらにも理由があるんでのう」
額に油汗が滲む。今は好戦的ではないがいざ戦闘になるといささか私のほうが不利である。
前回は仲間の助けによってなんとか退けることができたが、実力は遥かにあちらのほうが上だ。
「それよりもまだ名乗っておらんかったのう、儂はユーアール=ガルブエリ、ちまたでは爆炎のユーアールとまで言われておるそうじゃが」
「なぜ、私に名を晒した」
トリシアさんから聞いていた通りの男で間違いないようだ。しかし何故前回は名を伏せていたんだ……
「初めて会ったときは儂にすぐに殺されるようであるのならば名乗る必要性もないと思ったのじゃが、小僧には名乗る価値がありそうでな、儂は強い者が好きだ。フハハハ、戦いこそが儂の生きる意味じゃからのう」
大きな声で笑うユーアールは根っからの戦闘狂らしい。今も隙のあるような出で立ちなのにその視線は私をとらえて動かない。
「ああ、小僧は名乗らなくてもよいぞ既に知れ渡っておる」
私の情報はすでに敵に筒抜けのようだ。ますます分が悪くなっていくのを感じる。
「これは忠告じゃ小僧、世の中には知らなくていいことがある知らないほうが幸せなことがな」
「いったい何を……」
「しかし、残念じゃのう。小僧はここで死ぬ運命のようじゃ」
ユーアールが指さすそこは今まさに国王が演説をしている舞台だ。
注意をユーアールに向けつつ指さすほうを見やる。
ここからだと演説の声は遠いが聞こえている。演説する国王の姿もちょうど見ることができる位置にいた。
「宴が始まるぞ」
舞台の背後、国王が演説するその後ろに私と同じ顔と服装をした者がいる。
「なんだ!? これは……」
私がもう一人いる。そのことに動揺が隠し切れない。すぐさま危険を伝えにシーレスを起動させるが妨害されているようでまったく繋がらない!
なんでこんな時に!!
すぐさま足を動かそうとするがユーアールにより道を塞がれてしまう。
くそっ!これは私を嵌めるための罠か!!
「まあ、少しくらい見ていってもいいんじゃないかのう」
ユーアールは長剣を引き抜き私に突きつける。
私をこの場に留まらせるつもりなのか!?
視線を再び舞台に移す、次の瞬間私の恰好をした者が剣を引き抜き、国王を一刀両断の元切り捨てた。
周囲に悲鳴と怒号が響き渡る。
「貴様!!!」
やられた!!これはやはり罠だったのだ!!
「フハハハ、どうだ? もうお前はこの都市では立派な犯罪者に当たるぞ」
「違う!!!」
「違うも何も小僧と同じ顔と恰好をした者だ。周囲にはお主がやったと思っているはずだぞ、それにほら聞こえるだろう……」
舞台にあった拡声器のマジックアイテムだろう、その音が大きく周囲に響く。
「全ての騎士に命令をする!! アリア=シュタインを見つけ次第処刑しろ!! これは国家転覆罪だ!」
その声はとても聞き覚えのある声であった。
「父…… 様……」
全身から血が引いていくのがわかった。
そう我が父、アルバラン=シュタインの声であった。
「これで、儂の役目も終いじゃ、最後に戦いたかったが、儂も今は自由にできん身でのう、もしお主が生き残ることができたのなら、再び戦場で会おうぞ」
フハハハと大きな笑い声を残し、ユーアール=ガルブエリは音もなく去っていった。
残された私は周囲から聞こえてくる足音を頼りに別方向へ逃げなければならない! 弁解する時間すらないのか、私は心臓が飛び出そうなほど焦っていた。
ガイム広場周辺にいてはまずい!今はなんとしても距離を稼がなくては……
私は地面を蹴り、広場とは逆方向である南の方へ走っていく。
この周辺には人が演説を見る為皆ガイム広場のほうへ行っているので見られる心配はないが、音を拾って逃げているのに全く迷うことなくここを目指してすごいスピードで向かってくる人がいる。
まずいこのままだと追いつかれる。
足の速さは強化魔法によって変えることができる。私は瞬発力はあるが魔法がないため持続力がない!追いつかれるのも時間の問題であった。
「くそっ!!なんでこんなことに!」
それよりも第一部隊の皆は無事にいるだろうか…… おそらく関係者として捕縛されることになるだろう、処刑まではいかないはずだ。
私は走る。願わくば誰にも見つからずこのままこの都市を去れればよいと思った。
ふと脳裏にターナーさんの家が浮かぶ。
「あそこなら……」
淡い希望を抱き、進もうとしたその時頭上から大きな斧を振り下ろしてきている一人のギガントが屋根から落ちてきていた。
咄嗟に次元収納から盾を取り出し直撃は免れたが、威力が大きすぎてアリアは大きく吹き飛ばされ付近の民家の壁に叩きつけられる。
「ぐぅううう!」
体を叩きつけられた衝撃で肺の空気が押し出される。
HP3500/3240
MP 0/ 0
アルタナ測定機に自分の体力が映し出される。
ふらつき、崩れた壁から這い出ると、そこには絶望が待っていた。
「……テオ……」
重装備に身を固め、様々な武器を携えたガルディアンナイト団長テオ。
その風貌は歴戦の戦士の如く鍛え抜かれた肉体にギガントならではの高い身長と比類なきパワー。
アリアは絶望を感じながら立ち向かうため、命を守るため武器を構えるのであった。
「よぉ、久しぶりじゃのう」
私は後ろから声をかけられ慌てて振り返る。
「貴様、何をしに来た」
悪感情が駆け巡る。怒気を含んだ声音で尋ねる。
「フハハ、なぁに演説を見に来たに決まっているだろう」
黒いフルプレートの男は後ろに大きな長剣を背負い堂々と路地から現れた。
一定の距離を保ち、剣の淵に手をかける。
「そう急くでない、今日は戦うために儂は来たわけではない」
「では何故そんな格好をしている」
「まぁこちらにも理由があるんでのう」
額に油汗が滲む。今は好戦的ではないがいざ戦闘になるといささか私のほうが不利である。
前回は仲間の助けによってなんとか退けることができたが、実力は遥かにあちらのほうが上だ。
「それよりもまだ名乗っておらんかったのう、儂はユーアール=ガルブエリ、ちまたでは爆炎のユーアールとまで言われておるそうじゃが」
「なぜ、私に名を晒した」
トリシアさんから聞いていた通りの男で間違いないようだ。しかし何故前回は名を伏せていたんだ……
「初めて会ったときは儂にすぐに殺されるようであるのならば名乗る必要性もないと思ったのじゃが、小僧には名乗る価値がありそうでな、儂は強い者が好きだ。フハハハ、戦いこそが儂の生きる意味じゃからのう」
大きな声で笑うユーアールは根っからの戦闘狂らしい。今も隙のあるような出で立ちなのにその視線は私をとらえて動かない。
「ああ、小僧は名乗らなくてもよいぞ既に知れ渡っておる」
私の情報はすでに敵に筒抜けのようだ。ますます分が悪くなっていくのを感じる。
「これは忠告じゃ小僧、世の中には知らなくていいことがある知らないほうが幸せなことがな」
「いったい何を……」
「しかし、残念じゃのう。小僧はここで死ぬ運命のようじゃ」
ユーアールが指さすそこは今まさに国王が演説をしている舞台だ。
注意をユーアールに向けつつ指さすほうを見やる。
ここからだと演説の声は遠いが聞こえている。演説する国王の姿もちょうど見ることができる位置にいた。
「宴が始まるぞ」
舞台の背後、国王が演説するその後ろに私と同じ顔と服装をした者がいる。
「なんだ!? これは……」
私がもう一人いる。そのことに動揺が隠し切れない。すぐさま危険を伝えにシーレスを起動させるが妨害されているようでまったく繋がらない!
なんでこんな時に!!
すぐさま足を動かそうとするがユーアールにより道を塞がれてしまう。
くそっ!これは私を嵌めるための罠か!!
「まあ、少しくらい見ていってもいいんじゃないかのう」
ユーアールは長剣を引き抜き私に突きつける。
私をこの場に留まらせるつもりなのか!?
視線を再び舞台に移す、次の瞬間私の恰好をした者が剣を引き抜き、国王を一刀両断の元切り捨てた。
周囲に悲鳴と怒号が響き渡る。
「貴様!!!」
やられた!!これはやはり罠だったのだ!!
「フハハハ、どうだ? もうお前はこの都市では立派な犯罪者に当たるぞ」
「違う!!!」
「違うも何も小僧と同じ顔と恰好をした者だ。周囲にはお主がやったと思っているはずだぞ、それにほら聞こえるだろう……」
舞台にあった拡声器のマジックアイテムだろう、その音が大きく周囲に響く。
「全ての騎士に命令をする!! アリア=シュタインを見つけ次第処刑しろ!! これは国家転覆罪だ!」
その声はとても聞き覚えのある声であった。
「父…… 様……」
全身から血が引いていくのがわかった。
そう我が父、アルバラン=シュタインの声であった。
「これで、儂の役目も終いじゃ、最後に戦いたかったが、儂も今は自由にできん身でのう、もしお主が生き残ることができたのなら、再び戦場で会おうぞ」
フハハハと大きな笑い声を残し、ユーアール=ガルブエリは音もなく去っていった。
残された私は周囲から聞こえてくる足音を頼りに別方向へ逃げなければならない! 弁解する時間すらないのか、私は心臓が飛び出そうなほど焦っていた。
ガイム広場周辺にいてはまずい!今はなんとしても距離を稼がなくては……
私は地面を蹴り、広場とは逆方向である南の方へ走っていく。
この周辺には人が演説を見る為皆ガイム広場のほうへ行っているので見られる心配はないが、音を拾って逃げているのに全く迷うことなくここを目指してすごいスピードで向かってくる人がいる。
まずいこのままだと追いつかれる。
足の速さは強化魔法によって変えることができる。私は瞬発力はあるが魔法がないため持続力がない!追いつかれるのも時間の問題であった。
「くそっ!!なんでこんなことに!」
それよりも第一部隊の皆は無事にいるだろうか…… おそらく関係者として捕縛されることになるだろう、処刑まではいかないはずだ。
私は走る。願わくば誰にも見つからずこのままこの都市を去れればよいと思った。
ふと脳裏にターナーさんの家が浮かぶ。
「あそこなら……」
淡い希望を抱き、進もうとしたその時頭上から大きな斧を振り下ろしてきている一人のギガントが屋根から落ちてきていた。
咄嗟に次元収納から盾を取り出し直撃は免れたが、威力が大きすぎてアリアは大きく吹き飛ばされ付近の民家の壁に叩きつけられる。
「ぐぅううう!」
体を叩きつけられた衝撃で肺の空気が押し出される。
HP3500/3240
MP 0/ 0
アルタナ測定機に自分の体力が映し出される。
ふらつき、崩れた壁から這い出ると、そこには絶望が待っていた。
「……テオ……」
重装備に身を固め、様々な武器を携えたガルディアンナイト団長テオ。
その風貌は歴戦の戦士の如く鍛え抜かれた肉体にギガントならではの高い身長と比類なきパワー。
アリアは絶望を感じながら立ち向かうため、命を守るため武器を構えるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる
書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。
鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。
だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。
その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。
俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。
ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。
なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる