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第一章 ガルディア都市
side オクムラタダシ ~回想~
しおりを挟む「国民はいきなり国王が殺されてパニックになっていますね」
僕は王宮の窓からホークアイを使いガイム広場と呼ばれる場所を眺めていた。
王宮はこの都市の中心に当たる場所にあり、少し高い崖の上に建設されている。ここからならホークアイをかければすぐ下に見える大きな舞台の建設されたガイム広場を見ることなど容易い。
「そうじゃろうな、なんせ主要都市を落としためでたい報告の場なのにいきなり国王が暗殺されればパニックにもなろう」
深く王宮のソファーに座るのは黒いフルプレートを着込んだ大男ユーアール=ガルブエリ。
そのテーブルを挟み対面に座るのは痩せぎすの不健康そうな顔をした白い法衣を着たエルフ、ジェダイ=ウォーダン。
「国王ハ、もう少し使い道がアッタんだがねぇ…」
「もう十分じゃろうて、ここいらで切っておくのがベストじゃよ」
ことりとテーブルに置かれるのはチェスの駒、二人はこの国家を揺るがす非常時にさっきから熱心にチェスのやり取りをしている。
「お前ガ、あそこで奴を始末できなかったカラこのカードを切ることになったんダゾ」
「もったいないのう、奴は鍛えればさらに強くなるというのに…ほれ、こいつは貰うぞ」
「ぐっ!?…この戦闘狂ガ!」
なぜ僕たちがこの王宮にいるのかというと話は少し前に遡る。
ーーーーーー
ーーー
ー
数週間前、もう一つのカードを手に入れるため僕とユーアールさんは馬車で夜闇に紛れて王宮まで来ていた。
「こっちだ、早く来い小僧」
「は、はい」
馬車から飛び降りた僕達は王宮のすぐ下の一軒の民家までたどり着く。
「本当にここなんですか?」
「黙ってついてこい」
半信半疑でユーアールさんの後を着いていくが本当にただの民家の壁にしか見えなかった。
王宮の門前には当然のように衛兵が検問をしているので普通に入ることはできない。だが、抜け道が存在するというユーアールさんの話だった。
「!?」
ユーアールさんはなんの変哲のない民家の壁をすり抜けるように入っていく。
後に続いて壁に恐る恐る入っていく。
すると僕もすんなり入ることができた。
「認識阻害っつーやつだ」
この壁には高度な認識阻害がかけられているらしくなんでもアルバランさんが王宮に来た際に設置したのだそうだ。
「もう奥にアルバラン様が居るから急ぐぞ」
「は、はい」
中は白を基調とした色合いの部屋で様々な骨董品が所狭しと立ち並ぶ部屋であった。これは王宮の倉庫か何かなのか?
そんな疑問を抱えながら奥に進むと腕を組んだ状態で日本でいうスーツに身を包んだアルバラン=シュタインが僕たちのことを待っていてくれた。
「遅くなりすみませぬ!」
「よい、オクムラも慣れない馬車は辛かっただろう、来てくれて感謝する、ではそろそろ行こうか」
よく見るとアルバランさんは腰に剣を帯刀しており、ユーアールさんも長剣を引き抜いていた。
僕もそれに習い剣を持ちその後ろに付いていく。
「オクムラはここで存分レベルを上げるといい、ユーアールはそれを手伝ってやってくれないか?」
「はっ、了解しました」
「わかりました」
アルバランさんは扉に手をかけ、ドアを開ける。
「なっ!?いつの間に中に!?お前たちいったいなにも…」
一人の衛兵が近くに居たらしくアルバランさんが抜いた剣が衛兵の体を両断し、辺りに血を巻き散らした。
「さぁ、行くんだ、私はある方に用があるのでね、少し待つとするよ」
そういったアルバランさんは近くにあるソファーに腰かけると剣についた血を高級そうな布で拭いていた。
「行くぞ、小僧」
「はい」
それから僕達は王宮の中にいる衛兵を殺しまくった。
サポートはユーアールさんが引き受けてくれたので何も苦戦することなく簡単に殺戮の限りを尽くしていた。
レベルも順調にあがり、【鑑定】の能力もようやく上がったので見てみることにした。
オクムラ タダシ
LEVEL47
HP 16700/16700
MP 12600/12600
【鑑定】 【円天の防御】
『勇者と呼ばれた者』、『殺戮者』、『裏切者』、『二重人格者』、『強者を屠る者』、『強き思いを持つ者』
だいぶ、ゲームっぽくなってきたな…この【鑑定】の能力。
しかし、酷い称号ばかりだな、まあ間違いじゃないけど。
この『強者を屠る者』はトロンさんを殺したときに貰ったんだろうな、なにげにあの人もレベルが高かったんだなぁ…
今なら他人の情報も【鑑定】でわかるかもしれないな。
近くで戦っているユーアールさんのほうに発動させる。
ユーアール=ガルブエリ
LEVELjjhp
HP jhckj/kdoih
MP guhji/へkldl
ダメだ、まだ文字化けするみたいだな。これはレベルを上げないと見れないか。
すると突然隣の部屋のドアが開き多くの衛兵が駆け付けた。
「これはいったいなんの騒ぎなのじゃ」
あいつは一回見たことがあるな、たしか召喚された時に…
「お待ちしていましたよ、ドンナム=イルレシア教皇」
アルバランさんが席を立ち白髪の老婆の前に歩き出す。
「これはお主のしわざか?アルバラン?貴様何をしてるかわかっているのか?」
「ええ、わかっておりますよ教皇、今日はこの王宮を頂きに参りました」
周囲に居た衛兵がざわつき武器を構える。
「貴様やはり国家転覆を狙っていたか、皆の者こやつを始末するのじゃ!!」
ごとり、どさりと落ちる音がした。周囲に居た衛兵たちは一瞬のうちにその首を胴体から引き離されていた。
「なっ!?なにをしたのじゃ!?」
「答える必要はありませんね、あなたは私の駒の一つなので生かしておきました。ただそれだけの事ですよ」
「ぐっ!?儂をあまり舐めるな!!インフィ二…ぐぐうっ」
素早く懐に入り込んだアルバランさんはその老婆の首元を持ち、上に掲げる。
「教皇、あなたの時代はもう終わったのですよ、だがあなたはまだ利用価値がある。私の覇道のために」
「ぐっ…」
「来なさい*****」
「お前は…いったい…ぅああああああああああ!?」
あれはいったいなんだ!?奴が現れてから老婆の様子が一気に変わった。光が老婆を包み中では苦しむような老婆の声が聞こえる。
「記憶の捏造だとよ」
「え!?」
ユーアールさんが答えてくれたが、そんなことが可能なのか!?
「儂も直に見るのは初めてじゃが、記憶を切り取ったり新たに張り付けたりが可能らしいんじゃよ」
「……」
「ちなみに今は違う記憶を張り付けている所じゃ」
なんだそれ?強すぎじゃないか…
アルバランさんは老婆を床におろし、再び冷たい目を向けるとその口を開いた。
「ドンナム=イルレシア教皇、この王宮を私達が使用してもよいか?」
「よいのじゃ…好きに使うといい…」
「今後は私の発言に従え」
「わかったのじゃ…」
恐ろしい力だとすぐにわかった。
僕も歯向かえば記憶を捏造されてしまう、下手したら優希の記憶までも…
それだけは絶対に消されてたまるものか! この記憶だけは…
その老婆は再び来た道を戻り去っていった。
「待たせたね、それじゃあ行こうか」
僕は底知れない恐怖をこの男から感じた。
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