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第二章 アルテア大陸
side キルア=エンドレア ~疲労~
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水飛沫が跳ね、いつの間にか降っていた雨は私の体温を的確に奪っていく。
バシャバシャと激しく音を立てて、剣戟を交わしているのは二人。
キルア=エンドレアとダルタニアン。
しばらくは気力でなんとか持ちこたえていたキルアだったが、次第に疲労や怪我がその体力を確実に削っていた。
「ほらほらほらぁ、足がまったく動けていないぞ?」
「ぐっ… うぅ… はあっ!!」
「おおっとぉ、クハハ、当たらなくて悔しいか?苦しいか?」
「おのれっ…!!」
幾度も剣をするりと躱され体力を消耗させている私にこの男はあざ笑うように言葉を投げかける。
「いいねぇ、その必死の表情、実に堪らない」
「はぁ… はぁっ… 黙れっ!!」
「クハハ、いい威勢だぁ、簡単に折れてしまってはつまらんからなぁ… 実にそそられる」
こいつにフェイントは通用しない、踊るようなステップは距離感を掴み損ね、重心をどちらにかけているのか全く分からないような動きをする。
踏み込んだ剣戟をなぞるかのように合わせられ、躱されてしまう。
こいつは私の動きがわかるとでも言うのか…
「っつ… スプラッ… くぅ…!!」
「魔法を打たせると思うかね?」
剣が弾かれ、徐々に距離を詰めてくるダルタニアンに退きながら攻撃を振り払っていく。
くそっ!!防御するので精一杯だ!
「まずは肩に一発、そして左脇腹、ほらその右足も、ほらほら隙だらけだ」
「ぐっ、うっ、ぐぅうぅ!!」
レイピアで貫かれ、鮮血が飛び散る。
「良い苦悶の声だ、まるでバラードを聴いているような気分だよ」
なぜ、私の攻撃は当たらず、こいつの攻撃は当たるのだ…
痛みからか額に脂汗が浮かんでくる。
手に持つ剣は痛みと疲労のせいでカタカタと揺れる。
ここまでだと言うのか…
さっきからじわじわと傷をつけられ、出血もひどくなってきていて視界もクラクラする。
私が… 負ける… こんな男に…
ギリッと奥歯を噛みしめ、がくりと膝を着く。
もう体力の限界だ。
足もいう事が利かなくなってきている。
「クハハ、なぁに私は優しいですから、命は救ってさし上げますよ、ただ条件として貴方は私の妻として一生を過ごすことになりますが、命には代えられませんからねぇ…」
「はっ… はっ… だ… れが… お前なんか… に」
ダルタニアンは雨が降りしきる曇天の空を見上げ、手を広げ高らかに言う。
「ようやくだぁ…その強気な目も、艶やかな唇も、その男を惑わす肉体も全て!!全て!!私の物ですよ!」
「そんな… 辱めを… 受けるくらいなら…」
「バインド」
「ぐぅううう!!!」
剣に力を込めようとしたその時にダルタニアンの放った土属性魔法のバインドにより雁字搦めに地面に固定され、身動き一つ取れなくなる。
「クハハハハ、はぁ、はぁ、させませんよ、そんな勿体ないことぉ私が許すわけがないだろぉ!!」
「むぐぐぐ… んんー!!!」
暴れようともがくが、戦闘に体力を使い果たしてしまった私は、もがくことすらままならなかった。
「そうだ!! その目が見たかった、その絶望に染まった目が私を震え上げさせる前奏曲となるのだ、まずはその邪魔な鎧を一つずつ外すことから始めるとしよう…」
「んんー!!!」
やめろ…
くるな…
「ぐぅぼぉおおおお!!!」
ダルタニアンの手が私に触れようとしたその時、突如突風が駆け抜け、大きな衝撃と共に、ダルタニアンが大きく吹き飛ばされる。
「良かった、間に合ったみたいで…」
そこに立つのは赤い綺麗な髪、可愛らしい猫のような耳、緑色の鎧に身を包んだ、私達が仕える王家の王女。
シェリア=バーン=アルテア第1王女。
ーーーーーーーーーーーー
【side シェリア=バーン=アルテア】
危なかった… もう少し遅かったらキルアさんはもっと酷いことに合っていた。
運が良かった。
随分と熱心に話していたおかげで私への注意がおろそかになっていてくれた。
まずは一撃、これはキルアさんの心の痛みだ!
「ぐぅうう… 邪魔をしおってぇええ!! ふー、ふー、おや、誰かと思えば王女サマじゃありませんか、よく戻ってこれましたねぇ、この大陸に」
「ええ、貴方のおかげで本当に散々だった。よくも騙してくれたわね!」
剣でキルアさんを雁字搦めにしている魔法を壊していく。
「うっぅ… すみ… ません…」
「いいんですよ、キルアさんは頑張ってくれました。 次は私が頑張る番です」
これで魔法を解除できた、後はこの男から鍵を奪って倒すだけ。
クスリと顎に手をあてておかしそうにダルタニアンは話す。
「私は心配していたのですよ?お二人に何かあったらと思うと気が気じゃありませんでしたからねぇ…」
「よくもそんな言葉が出てくるんですね、私は貴方も絶対に許しはしないのですよ?」
「許しはしない? クハハハ、いったい貴方が、何を、許さないと言うのですか? 王室でただ時間を浪費していた貴方が、武器もろくに扱わない貴方の、どこにそんな力があるというのですか? これは傑作だぁ… そんな冗談は止めて、おとなしく王室で本でも読んでいればいいものを…」
ダルタニアンは大仰な仕草であざ笑う。
「私をあの頃の無力な王女だといつまでも思わないでください、サイクロンエレメント!」
暴風の風が剣に集約され、重さを軽減するかのようにふわりと体が軽くなる。
「なっ!? 上級付加魔法だと!? いったいどこでそんな力を…」
さっきまでの優越感に浸った顔では無くなり、素で驚いているようだ。
それもそのはず、上級魔法とは長い年月を経て獲得できる魔法。
ほんの数か月で覚えられるわけも、身に着けることさえも本来ならできない。
この鎧はそんな私の力を補助し、上級魔法まで使えるように造られている。
「言ったはずです、私をあの頃と一緒にしないでください、これは私の復讐の始まりなんですから」
バシャバシャと激しく音を立てて、剣戟を交わしているのは二人。
キルア=エンドレアとダルタニアン。
しばらくは気力でなんとか持ちこたえていたキルアだったが、次第に疲労や怪我がその体力を確実に削っていた。
「ほらほらほらぁ、足がまったく動けていないぞ?」
「ぐっ… うぅ… はあっ!!」
「おおっとぉ、クハハ、当たらなくて悔しいか?苦しいか?」
「おのれっ…!!」
幾度も剣をするりと躱され体力を消耗させている私にこの男はあざ笑うように言葉を投げかける。
「いいねぇ、その必死の表情、実に堪らない」
「はぁ… はぁっ… 黙れっ!!」
「クハハ、いい威勢だぁ、簡単に折れてしまってはつまらんからなぁ… 実にそそられる」
こいつにフェイントは通用しない、踊るようなステップは距離感を掴み損ね、重心をどちらにかけているのか全く分からないような動きをする。
踏み込んだ剣戟をなぞるかのように合わせられ、躱されてしまう。
こいつは私の動きがわかるとでも言うのか…
「っつ… スプラッ… くぅ…!!」
「魔法を打たせると思うかね?」
剣が弾かれ、徐々に距離を詰めてくるダルタニアンに退きながら攻撃を振り払っていく。
くそっ!!防御するので精一杯だ!
「まずは肩に一発、そして左脇腹、ほらその右足も、ほらほら隙だらけだ」
「ぐっ、うっ、ぐぅうぅ!!」
レイピアで貫かれ、鮮血が飛び散る。
「良い苦悶の声だ、まるでバラードを聴いているような気分だよ」
なぜ、私の攻撃は当たらず、こいつの攻撃は当たるのだ…
痛みからか額に脂汗が浮かんでくる。
手に持つ剣は痛みと疲労のせいでカタカタと揺れる。
ここまでだと言うのか…
さっきからじわじわと傷をつけられ、出血もひどくなってきていて視界もクラクラする。
私が… 負ける… こんな男に…
ギリッと奥歯を噛みしめ、がくりと膝を着く。
もう体力の限界だ。
足もいう事が利かなくなってきている。
「クハハ、なぁに私は優しいですから、命は救ってさし上げますよ、ただ条件として貴方は私の妻として一生を過ごすことになりますが、命には代えられませんからねぇ…」
「はっ… はっ… だ… れが… お前なんか… に」
ダルタニアンは雨が降りしきる曇天の空を見上げ、手を広げ高らかに言う。
「ようやくだぁ…その強気な目も、艶やかな唇も、その男を惑わす肉体も全て!!全て!!私の物ですよ!」
「そんな… 辱めを… 受けるくらいなら…」
「バインド」
「ぐぅううう!!!」
剣に力を込めようとしたその時にダルタニアンの放った土属性魔法のバインドにより雁字搦めに地面に固定され、身動き一つ取れなくなる。
「クハハハハ、はぁ、はぁ、させませんよ、そんな勿体ないことぉ私が許すわけがないだろぉ!!」
「むぐぐぐ… んんー!!!」
暴れようともがくが、戦闘に体力を使い果たしてしまった私は、もがくことすらままならなかった。
「そうだ!! その目が見たかった、その絶望に染まった目が私を震え上げさせる前奏曲となるのだ、まずはその邪魔な鎧を一つずつ外すことから始めるとしよう…」
「んんー!!!」
やめろ…
くるな…
「ぐぅぼぉおおおお!!!」
ダルタニアンの手が私に触れようとしたその時、突如突風が駆け抜け、大きな衝撃と共に、ダルタニアンが大きく吹き飛ばされる。
「良かった、間に合ったみたいで…」
そこに立つのは赤い綺麗な髪、可愛らしい猫のような耳、緑色の鎧に身を包んだ、私達が仕える王家の王女。
シェリア=バーン=アルテア第1王女。
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【side シェリア=バーン=アルテア】
危なかった… もう少し遅かったらキルアさんはもっと酷いことに合っていた。
運が良かった。
随分と熱心に話していたおかげで私への注意がおろそかになっていてくれた。
まずは一撃、これはキルアさんの心の痛みだ!
「ぐぅうう… 邪魔をしおってぇええ!! ふー、ふー、おや、誰かと思えば王女サマじゃありませんか、よく戻ってこれましたねぇ、この大陸に」
「ええ、貴方のおかげで本当に散々だった。よくも騙してくれたわね!」
剣でキルアさんを雁字搦めにしている魔法を壊していく。
「うっぅ… すみ… ません…」
「いいんですよ、キルアさんは頑張ってくれました。 次は私が頑張る番です」
これで魔法を解除できた、後はこの男から鍵を奪って倒すだけ。
クスリと顎に手をあてておかしそうにダルタニアンは話す。
「私は心配していたのですよ?お二人に何かあったらと思うと気が気じゃありませんでしたからねぇ…」
「よくもそんな言葉が出てくるんですね、私は貴方も絶対に許しはしないのですよ?」
「許しはしない? クハハハ、いったい貴方が、何を、許さないと言うのですか? 王室でただ時間を浪費していた貴方が、武器もろくに扱わない貴方の、どこにそんな力があるというのですか? これは傑作だぁ… そんな冗談は止めて、おとなしく王室で本でも読んでいればいいものを…」
ダルタニアンは大仰な仕草であざ笑う。
「私をあの頃の無力な王女だといつまでも思わないでください、サイクロンエレメント!」
暴風の風が剣に集約され、重さを軽減するかのようにふわりと体が軽くなる。
「なっ!? 上級付加魔法だと!? いったいどこでそんな力を…」
さっきまでの優越感に浸った顔では無くなり、素で驚いているようだ。
それもそのはず、上級魔法とは長い年月を経て獲得できる魔法。
ほんの数か月で覚えられるわけも、身に着けることさえも本来ならできない。
この鎧はそんな私の力を補助し、上級魔法まで使えるように造られている。
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