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第二章 アルテア大陸
首都アルタの戦い
しおりを挟む「よぉ、随分大層な見た目じゃないかダルタニアン」
「キサマ… ヤハリワタシノユクテヲサエギルトイウノダナ…」
ガイアスは自分の愛用のハルバードを振り回し、どっしりと地面に突き刺した。
鳥人の中でも特にガイアス程筋肉質な体系の者はいないという。
ガルディアのテオ、アルテアのガイアスと呼ばれるほどの実力者で鍛え上げられたハルバードと格闘術において右に出るものなどテオぐらいだとも言い伝えられていた。
切れ目の眼光はそれだけで畏怖を感じ、騎鳥軍の中でも大きい肉体はキルアさん曰く、アルテアの守護神の姿にそっくりなんだとか。
翼を広げ、さらに大きな体が大きく見える。
「ココマデウマクイッテイタトイウノニ…」
「それは残念だったな、俺がいる限りアルテアはよそに征服させるかよ」
「ダガ、ココデキサマヲタオセバイイダケダ!!」
「それは俺も同じだ、散々殴りやがって、きっちりお礼してやるよ」
同時に二人はぶつかり合う。
ダルタニアンは3本の拳を、それに比べガイアスはハルバードをぶつけ合う。
「どうしたぁあ!!力自慢!!でかいのは図体だけかぁ!!」
「ォオオオオオオオ!!!!」
「らぁあああ!!」
金属同士がぶつかるような鈍い音が幾度もぶつかり合う。
あの黒い肉体は鋼のような硬度になっているのか!?
あの巨大なダルタニアン相手に一歩も引かず、むしろ力で勝ってるかのような戦いぶりだ。
「兄さんはもう負けません、あの時だって今まで味方だった相手を傷つけたくないから大人しく投降してしまったんだ」
キルアさんがシェリアの治療をしながらボソリと呟いた。
「兄さんは、私も憧れる強い武人だ。 部下を思いやり、皆の手本となって前線で戦う。私はそんな兄さんが裏切り者の手でやられてしまうのがひどく許せなかった」
「キルアさん…」
「前回のようなハンデはもうない、兄さんが力をセーブする必要は無くなった。 大丈夫、きっと勝ってくれるはずだ。 …ちょっと姫様、少し脱がしますね」
「へえっ!? えぇええええぇ!?! い、今!? ちょ、ちょっと待って!! み、見ないでっ!!」
ナチュラルにシェリアの鎧を取っていくキルアさんについ声が出てしまう。
「おわぁ!!」
「よし、お前らちゃんとあの戦いを見ておくんだぞ」
「ぐえっ」
「痛っ」
マーキスさんは咄嗟にカインとアインの首をぐりんと戦闘している方へ向ける。
「キ、キルアさん!」
「すみません姫様、こういうのは迅速にやらないといけないんです、恥ずかしがってる場合じゃありません」
「ちょっと… な、なにも、ここでじゃなくても… うー……」
「安心してください姫様、こちらを向いた方がいましたら私が後で始末しておきますので」
急に背中に物凄い寒気が走った。
マーキスさんもがっちりとカインとアインの頭を掴んで離さない。
戦闘に集中してよう…
「そんな動きで俺を叩き潰そうなんざ100年早い!!」
「グォオオオ!! クソッ… 」
軽やかにダルタニアンの攻撃を躱し、体制を崩し、一撃を打ち込む。
「硬てーなしかし、かすり傷にしかならんのか」
「クハハ、ソンナコウゲキナドキカン」
ブォンと空気を切り裂く一撃を翼を使って飛び上がりその場を離脱すると、ガイアスはハルバードに魔力を集めた。
「フレアエレメント、ハイオーバーパワー」
爆炎が渦を巻き、ハルバードに集約していく。
一気に周囲の気温が上昇し、雨が降っているのにも関わらず、ハルバードから立ち上るその炎は真っ赤に
染まっていた。
「ソノテイド、ワタシガヨンデイナイトデモ…」
両手で覆うようにしてガードを図ったダルタニアンは魔力で硬化の力を上げたようだ。
あれでは生半可な攻撃は通用しない…
「スチールエレメント、爆炎と鋼鉄の複合魔法だ。 さすがにこれはお前でも知らなかっただろ」
上級複合魔法なのか!? 火属性の上級付加魔法であるフレアエレメントと土属性上級付加魔法スチールエレメントを掛け合わせたのか…
ハルバードは赤黒くぐにゃりと形を変え、先端は鋭さを増していく。
普通上級魔法を覚えるだけでもそれなりの才能がいる、それを二つも収め、難しい複合魔法で組み合わせるなんて…
「俺のとっておきだ、ありがたく思うんだな!!」
至近距離にまで急降下したガイアスの一撃がダルタニアンのガードしている腕に炸裂する。
「ソンナバカナ… グォオオオ!!!」
「はぁあああああ!!!貫けぇええ!!!」
「グッ… ガァアアアアアアアアア!!!!…」
激しく水蒸気が蒸発し、温められた空気が一気に膨張し、とてつもない爆発を生む。
爆風はこちらにも届き、しっかり捕まっていないと飛ばされそうだ。
とてつもない霧が広がる。
「これが裏切り者の末路だ、あの世で後悔するんだな」
大きく破壊された地面からハルバードを引き抜いたガイアスは粉々になった破片を眺め、小さく息を吐いた。
圧倒的な戦いだった。
あの魔人と化したダルタニアンを苦戦もせず、圧倒してしまうなんて…
「こっちは片が付いた。 すまないな私のわがままに突き合わせてしまって」
「いえ、とんでもないです… 負傷している自分達が行っても邪魔にしかなりませんから」
「そんなことを言うな、こうして俺が今ここにいるのは君達あってのことだ、深く感謝する」
ガイアスさんは私達に深く頭を下げる。
「顔を上げてください、見事な戦いぶりでした」
「ええ、見ていたこちらも驚きました。 さすがアルテア図一の強者ですね」
「よしてください姫様、キルアも俺がいない間苦労を掛けた」
「いいえ、私は… 」
なぜか黙ってしまうキルアさんをガイアスさんはわかっているようでそれ以上何も言わなかった。
「しかし強いな、部署が違うからわかりにくかったがこんなに強い人とは思わなかったよ」
「珍しいね、カインが純粋にべた褒めだなんて」
「ばっか、余計なこと言うんじゃねぇよ、アイン」
「光栄なことだ、若き双子の天才に褒められるなんて」
「おー、カインもアインも知られるようになって良かったじゃないか」
「やめろ!おっさん!子供扱いすんじゃねぇ!!」
「子供は子供だろ! ほれ、我慢するんじゃねぇ、痛むんだろ?足」
「っつ… うるせぇハゲ!」
「これはハゲじゃねぇ!スキンヘッドだ!おいこら… 待て」
まるでひと時の賑やかな時が戻ったようだ。
「ひとまず救出作戦は成功ですね、後は戻るだけ…」
「それがそうも言ってられない」
重い口をあげたのはガイアスさんだった。
「ここに残っているガルディアの兵が異常に少ないのはわかっているな」
「やはり、本隊は行軍に向かっているんですね」
「ああ、そうだ。 ただこの大雨のおかげであっちも行軍が迂回して遅れているはずだ」
「急いで戻らないと!」
「まだ焦る必要はない、ひとまず今晩はここで休んだ方がいい、魔力を回復させ、体力をできる限り戻しておきたい、ここにいる敵の10倍程の数が向かってるんだ」
「10倍!?」
「それに、ガルディアンナイト本隊にはテオもいる」
「ああ、ガルディア最強の男だ、俺も本調子でかからねぇとマズイ」
「何日ぐらいで当たりそうですか?」
「早くて3日、ここから最短距離で向かって2日の距離だ。だから1日の猶予がまだある」
「んじゃそうと決まればまずは飯だ!おっしお前ら手伝えよ~」
「なんで俺らが!!」
「若いんだから働けっ」
「あっ、私も手伝いますよ」
マーキス、カイン、アイン、シェリアはこの場を離れ、調理できる所を探しに行くようだ。
「私は周辺の確認をしてくる。 兄さん達は休んでいてくれ」
キルアさんは再び剣を取り、歩いて行ってしまった。
「そういえば直に話すのは初になるなアリア、少しあっちで話さないか?」
「いいですよ」
ガイアスさんに案内されるように雨が当たらない場所まで歩いていく。
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