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第2話・真綿の枷②
しおりを挟むこの〝安堵感〟は何だ?何だ?
俺の思考がぐるぐると回る
姉さん以外の女に安堵感を抱いた?この俺が?
「中川さん、どうしましたか?」
急に動かなくなった俺を心配する様に、久城は俺の腕を掴んでいた。
「ぁ、いや、何でもない」
掴まれた腕を軽く払うと、久城に微笑んで見せた。
「そう、ですか…」
彼女は少し疑心めいた表情で俺を見ている。
その気まずさを打ち消すかの様にマナーモードが振動した。
「…俺のか」
胸ポケットから携帯を取り出すと履歴を確認する
ー姉さんからだ。
姉さんからメッセージが届いている
内容は、一緒に帰ろうという単調なモノだったが、俺の胸はギュッと締まり温かさを感じた。
「恋人さん、ですか?」
「え?」
「幸せそうな表情をしていました」
だから恋人さんからのメッセージなのかなと…と久城は口籠る。
「あ、いや、姉さんだよ」
「お姉様がいらっしゃるんですか?」
「あぁ、一つ上なんだけど…その姉さんが、一緒に帰ろうって」
何故、俺はこうも今日知り合った彼女に、スラスラと話すのだろうか
「仲良しさんなのですね」
久城が朗らかに笑った。
俺は少しハニカムと、姉さんのメッセージに待ち合わせ場所を打ち込んで送信した。
「取り敢えず、行こうか?」
携帯をポケットにしまうと、俺は久城と一緒に式場へと向かった。
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