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【エルフィン ナイトの章】
【聖夜のエピローグⅡ】
しおりを挟む幼い頃にバブシカという魔女と出会い、私は彼女の弟子となった。
彼女は弟子となった私に、同じテーブルの席に着くように言った。
そして美味しい食物や、温かくて清潔な寝場所と、何より大事な魔法使いの学びを与えてくれた。
彼女は私に、出会ったその日のうちに、新しい名前をつけてくれた。
キルシェ…それは桜の花。キルシェ バウムとは異国の言葉で桜の木という意味。
私が魔女の師と暮らした屋敷の庭には、古い桜の木が一本あってさ。
師は私にその名をつけてくれたんだ。
私の師はとても花が好きな御方でね。
まず屋敷を建てる前に、その桜を見つけて、それがとても気に入り、そこに自分の棲家を構えることにしたのだ。
彼女は私にそう話して聞かせてくれた。
「だからこの家に来たお前に、私の好きな花の木の名前をやろう。花の名前もいいけれど、花は木よりも儚いからね」
私の名前はこの国の言葉じゃない。
私の先祖が生れ暮らした国の言葉だ。
その言語は、魔法に使われる古代の文字と同じ場所で生れ人世に流れたと聞く。
だから魔法使いの名前には相応しい名前なのだと。師は私をひと目見ただけで、そんなこともすぐにわかったようだ。
「この花はとても強い花だ。冬の寒さにも、風にも雨にもけして花を散らさず、どの花よりも長く咲き続ける。そんな花さ。どうだい、キルシェ バウムとは、あんたに相応しい名前じゃないか」
私は大層誇らしく、すぐに誰かに自慢したかった。けれどそれは魔法使いや魔女となった者には許されないことだ。
命とりになるからね。
モート…お前の生まれた国に私の名前と同じ桜はあるか?
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