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……

「エリカちゃん、そろそろ一人でやりくりするのが大変になってきたんじゃないかな?」
あいも変わらずニヤニヤしながらお兄様が声をかけてきた。

「言っただろ?一人で抱え込んではダメって。エリカちゃんの良いところはね、お花畑の所なんだよ」

そういえば、この所、ちょっとイライラしていた。

「ちょうどいい機会だから、支店を出そうかなと思っているんだ。私が副支店長でエリカちゃんを支えて上げるよ」
「えっ?」

お兄様の言っていることが飲み込めず聞き返すと

「ビューティ部門を独立させるよ。支店長はエリカちゃんだからね」
「えっ?逆でしょ?」
「私は裏の支配者があっているからね。エリカちゃんには、今のまま人脈作りをしながら広報してもらうから」
「......」

エリカが押し黙っていると、意地悪そうに追い打ちをかけてくる。

「何?まだ説明が足りないかい?」
「あー。馬車馬のように働く自分を想像して絶句してました。でも、それが私らしいですよね。わかりました。支店長兼広報部長役を引き受けます」

お父様すら一目置いているお兄様に敵うわけがないんだよね。それに経営そのものも自分には不得意な所ではあるし、確かに、もう手一杯だったのだ。

「分かったのなら、カイの所へ早く行ってくれないかな?早く連れてこいってうるさいんだよ」
「カイ?」
「マーガレット嬢に紹介してもらったんだろ?アイツ、気に入った子しか仕事を受けないんだから、エリカちゃんはおメガネにかなっているらしいよ」

そういえば、そんな噂を聞いたことあったな。どんなに家格が高かろうと関係なく、自分の美意識に合わなければ仕事を受けないって言ってたっけ。
うわぁ、そんなすごい人を紹介してもらっておいて、後回しにしてた。

エリカが血の気を引いて青くなっていると
「大丈夫、エリカちゃんの状況は説明しておいたし、少し待ってもらうよう話しておいたよ」
「ありがとうございます。ところで、お知り合いなんですか?」
「まーネ」

なんだかビミョーな返事なのは気になったけど、仕事の引き継ぎをして、早速カイ様の所へ向かった。


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