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第2話
1・元親友(その1)
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教室に戻ると、他の女子に占領されていた私の席は何事もなかったかのように空いていた。
よかった、これで予習ができる。
なのに、席についてもノートを開く気になれなくて、私はぼんやりと外をながめた。
(なんだろう、この裏切られたような気分)
間中くんとは、あのあと一緒に教室に戻ってきた。でも、お互いずっと無言だった。図書室に向かうときは、あれこれおしゃべりしながらだったのに。
(あれは、恋だ)
間中くんは、結麻ちゃんに一目惚れしたんだ。絶対にそう。
結麻ちゃんにああいう視線を向ける男子を、これまで何人も見てきた私が言うんだから間違いない。
これはひそかに思っていることだけど、人気のある女子はたいてい2タイプに分かれる。
1つは「気さくで一緒にいると楽しい子」。
もう1つは「お姫さまみたいなちょっと近寄りがたい子」。
結麻ちゃんは後者だ。結麻ちゃんを好きな男子は、たいてい遠巻きにしてソワソワしながら彼女を眺めている。
最近「高嶺の花」って言葉を覚えたけど、それって結麻ちゃんみたいな人のことをいうに違いない。
「ねえ、聞いた? あの話」
「え、なに?」
「文化祭の! 後夜祭の話!」
後ろのほうから、またいつもの子たちの会話が聞こえてきた。
「後夜祭のときに告白してカップルになれたら、絶対に別れないんだって!」
「あーそれ聞いたかも。生徒会長がそうだって」
「卓球部の人もだよね? たしか沢根さん……」
出たよ、またくだらない噂話。
この子たち、本気で信じているのかな。だとしたら、いったん立ち止まって冷静に考えてみてほしい。
まず、生徒会長にしても卓球部の人にしても「文化祭で告白してカップルになった」ってことは、付き合ってまだ2年、下手すればたったの1年だ。
なのに「絶対別れない」?
明日には別れているかもしれないのに?
そういうのって、せめて生徒会長たちがせめて結婚まで至ってから言うべきじゃないの?
(まあ、どうせそのうち別れるだろうけれど)
だって、そんなもんじゃない。
しょせん中学生の恋愛なんて──
「友香ちゃん」
小さな声が、背中にぶつかった。
それが誰の声なのかすぐにわかったくせに、私はわざわざ振り向いてから「ああ、あんたか」みたいな顔をしてみせた。
「なに、綾」
「その……明日、友香ちゃん日直だよね?」
「そうだけど」
「山本先生が、授業でプリントを配るから、休み時間のうちに職員室まで取りに来て、だって」
「わかった。ありがと」
いちおうお礼を伝えると、綾はちょっと微笑んで他の子たちのところに行ってしまった。たぶん、午後の授業がはじまるまでおしゃべりをするんだろう。
(前は、私とだったのに)
休み時間のたびに、ずっとふたりでおしゃべりしていたのに。
よかった、これで予習ができる。
なのに、席についてもノートを開く気になれなくて、私はぼんやりと外をながめた。
(なんだろう、この裏切られたような気分)
間中くんとは、あのあと一緒に教室に戻ってきた。でも、お互いずっと無言だった。図書室に向かうときは、あれこれおしゃべりしながらだったのに。
(あれは、恋だ)
間中くんは、結麻ちゃんに一目惚れしたんだ。絶対にそう。
結麻ちゃんにああいう視線を向ける男子を、これまで何人も見てきた私が言うんだから間違いない。
これはひそかに思っていることだけど、人気のある女子はたいてい2タイプに分かれる。
1つは「気さくで一緒にいると楽しい子」。
もう1つは「お姫さまみたいなちょっと近寄りがたい子」。
結麻ちゃんは後者だ。結麻ちゃんを好きな男子は、たいてい遠巻きにしてソワソワしながら彼女を眺めている。
最近「高嶺の花」って言葉を覚えたけど、それって結麻ちゃんみたいな人のことをいうに違いない。
「ねえ、聞いた? あの話」
「え、なに?」
「文化祭の! 後夜祭の話!」
後ろのほうから、またいつもの子たちの会話が聞こえてきた。
「後夜祭のときに告白してカップルになれたら、絶対に別れないんだって!」
「あーそれ聞いたかも。生徒会長がそうだって」
「卓球部の人もだよね? たしか沢根さん……」
出たよ、またくだらない噂話。
この子たち、本気で信じているのかな。だとしたら、いったん立ち止まって冷静に考えてみてほしい。
まず、生徒会長にしても卓球部の人にしても「文化祭で告白してカップルになった」ってことは、付き合ってまだ2年、下手すればたったの1年だ。
なのに「絶対別れない」?
明日には別れているかもしれないのに?
そういうのって、せめて生徒会長たちがせめて結婚まで至ってから言うべきじゃないの?
(まあ、どうせそのうち別れるだろうけれど)
だって、そんなもんじゃない。
しょせん中学生の恋愛なんて──
「友香ちゃん」
小さな声が、背中にぶつかった。
それが誰の声なのかすぐにわかったくせに、私はわざわざ振り向いてから「ああ、あんたか」みたいな顔をしてみせた。
「なに、綾」
「その……明日、友香ちゃん日直だよね?」
「そうだけど」
「山本先生が、授業でプリントを配るから、休み時間のうちに職員室まで取りに来て、だって」
「わかった。ありがと」
いちおうお礼を伝えると、綾はちょっと微笑んで他の子たちのところに行ってしまった。たぶん、午後の授業がはじまるまでおしゃべりをするんだろう。
(前は、私とだったのに)
休み時間のたびに、ずっとふたりでおしゃべりしていたのに。
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