たかが、恋

水野七緒

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第3話

4・早くも…

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 というわけで、私としては自信満々に送り出したわけだけど、せっかくの作戦はすぐに暗礁あんしょうに乗りあげた。
 あ、「暗礁あんしょう」っていうのは、海に隠れて見えない岩とか珊瑚礁のこと。そういうのに「乗り上げる」わけだから、「思いがけないトラブルでうまくいかなくなる」みたいな意味。
 で、なぜそんなことになったかというと──

「マナ~、昨日の『つくばチャンネル』観た?」

 作戦会議終了後、教室に戻ったばかりの間中くんに、クラス一おしゃべりな坂田くんが近づいていったんだ。
 で、いつもどおり親しそうに肩なんか組んじゃったりして

「なあなあ! あれ、超ヤバかったよな」
「お、おう」
「まさかのドッキリ企画でさぁ」
「おう」
「しかも、裏でまさかの『サプライ兄弟』と手を組んでてさぁ!」
「おう」

 もちろん間中くんは作戦実行中。
 けれども、そんな彼を坂田くんはへんに思ったみたい。

「マナ、俺の話ちゃんと聞いてる?」
「お、おう!」
「観た? 昨日の『つくばチャンネル』」
「おう」
「ドッキリ企画、超面白かったよな?」
「おう」
「……やっぱ『おう』しか言わねーじゃん」

 坂田くんは不審そうに眉をひそめると、間中くんに顔を近づけた。

「なになに? もしかして腹でもくだしてんの?」
「違ぇよ! 腹なんかくだしてねぇ……あっ」
「『あっ』てなんだよ。なんで口おさえてんだよ?」
「いや、だから、その……俺、今日から『無口なヤツ』にならないといけなくて」
「無口? マナが!? あははっ、無理無理、絶対無理!」
「そんなことねぇよ、なるったらなる! 絶対になる!」
「でも、今喋ってんじゃん」
「あ……っ」
「みんなー! マナ、今日からおしゃべりやめるってー」
「バカ! バラすなよ!」

 ──以上が、教室に戻ってからわずか5分の出来事。
 ちなみに、このあと間中くんは、他の男子たちからもさんざんからかわれて、最後はなぜか「くすぐりの刑」を受けていた。近くの席の女子たちからも「間中が無口とかあり得ない」ってくすくす笑われる始末だ。
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