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第3話
8・再び、作戦会議(その2)
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結麻ちゃんを振り向かせるための作戦その2──
クール系男子の特徴のひとつに「近寄りがたい雰囲気」がある。
「なんか『話しかけにくい雰囲気』っていうのかな。気軽に声をかけられない子っているじゃん」
「あ──うちのクラスだと名波とか?」
「そう、名波くん。あの子、ちょっと声かけにくいじゃん」
「話すといいやつなんだけどなぁ。なんか誤解されてるよなぁ」
「それ! 誤解!」
「……へ?」
「作戦2のキーワード」
クール系男子がもつ「近寄りがたい雰囲気」は、間中くんと真逆のものだ。
そんな雰囲気を出せといわれても、彼には無理だろう。
でも──
「それっぽい雰囲気は出せると思うんだ」
「どうやって?」
「まず、たまにでいいから休み時間をひとりで過ごす」
「えー無理……」
「1日1回でいいから。で、そのとき頬杖ついてボーッとするの。こんなふうに」
脚立に腰かけて、私は実際にやってみせた。
「顔の角度はこれくらい、目線は窓の外か机の前方。唇は開けているとバカっぽく見えるから必ずちゃんと閉じること」
「うっ……俺、つい口あけちゃう」
「それはダメ。絶対禁止!」
間中くんが口をあけてぼんやりしていたら「お腹がすいているのかな」としか思えない。
「大事なのは『物思いにふけっているな』って思わせること。そんなふうに誤解……っていうか、勘違いさせるの」
べつに頬杖つきながら「お腹すいたー」って思っていてもいいんだ。声に出さなければ、バレやしないんだから。
なのに、間中くんは「んー」と渋い顔つきを崩さない。
「……なに? 納得いかないことでもある?」
「そうじゃねーけど……なんかその作戦、すげー難しそうっていうか」
間中くんは、がしがしと頭を掻いた。
「この間もそうだったけどさ、俺がひとりでボーッとしようとしても、絶対誰かが話しかけてくるじゃん?」
「そうだね、間中くん人気者だもんね」
でも、大丈夫。
今回は「魔法の言葉」を考えてきたから。
「そのときはこう答えればいいよ。──『なんでもない』」
「なんでもない?」
「そう。『マナ、どうした?』って声をかけられても『なんでもねーよ』って。できればちょっと微笑む感じでね」
そう、これこそが「クール系男子」の常套手段。
この返答で、たいていの相手は「そっか」っていったん引き下がる。なのに、どういうわけか、みんなその言葉どおりには受け取らない。
「人間って想像力があるでしょ? だから『なんでもない』って言われると、かえってあれこれ想像しはじめるんだよね」
特に女子は、あれこれ勘繰って勝手に想像しがちだ。
「だから、敢えて何かありそうな雰囲気で『なんでもない』って言うの。そうすれば、周囲は『そんなこと言って、本当は何かあるんじゃない?』とか『誰にも打ち明けられないような悩みでもあるんじゃない?』って考えはじめるってわけ」
ちなみに、このパターンの恋愛小説や恋愛漫画、私が読んだだけでもざっと10冊はあった。
つまり、これって「王道展開」じゃないのかな。
「だから、間中くんは1日に1回、口を閉じてボーッとしていればいいの。で、話しかけられたら『なんでもない』って繰り返せばいいの」
「はぁ……」
「大丈夫、これならいける……絶対うまくいくから!」
クール系男子の特徴のひとつに「近寄りがたい雰囲気」がある。
「なんか『話しかけにくい雰囲気』っていうのかな。気軽に声をかけられない子っているじゃん」
「あ──うちのクラスだと名波とか?」
「そう、名波くん。あの子、ちょっと声かけにくいじゃん」
「話すといいやつなんだけどなぁ。なんか誤解されてるよなぁ」
「それ! 誤解!」
「……へ?」
「作戦2のキーワード」
クール系男子がもつ「近寄りがたい雰囲気」は、間中くんと真逆のものだ。
そんな雰囲気を出せといわれても、彼には無理だろう。
でも──
「それっぽい雰囲気は出せると思うんだ」
「どうやって?」
「まず、たまにでいいから休み時間をひとりで過ごす」
「えー無理……」
「1日1回でいいから。で、そのとき頬杖ついてボーッとするの。こんなふうに」
脚立に腰かけて、私は実際にやってみせた。
「顔の角度はこれくらい、目線は窓の外か机の前方。唇は開けているとバカっぽく見えるから必ずちゃんと閉じること」
「うっ……俺、つい口あけちゃう」
「それはダメ。絶対禁止!」
間中くんが口をあけてぼんやりしていたら「お腹がすいているのかな」としか思えない。
「大事なのは『物思いにふけっているな』って思わせること。そんなふうに誤解……っていうか、勘違いさせるの」
べつに頬杖つきながら「お腹すいたー」って思っていてもいいんだ。声に出さなければ、バレやしないんだから。
なのに、間中くんは「んー」と渋い顔つきを崩さない。
「……なに? 納得いかないことでもある?」
「そうじゃねーけど……なんかその作戦、すげー難しそうっていうか」
間中くんは、がしがしと頭を掻いた。
「この間もそうだったけどさ、俺がひとりでボーッとしようとしても、絶対誰かが話しかけてくるじゃん?」
「そうだね、間中くん人気者だもんね」
でも、大丈夫。
今回は「魔法の言葉」を考えてきたから。
「そのときはこう答えればいいよ。──『なんでもない』」
「なんでもない?」
「そう。『マナ、どうした?』って声をかけられても『なんでもねーよ』って。できればちょっと微笑む感じでね」
そう、これこそが「クール系男子」の常套手段。
この返答で、たいていの相手は「そっか」っていったん引き下がる。なのに、どういうわけか、みんなその言葉どおりには受け取らない。
「人間って想像力があるでしょ? だから『なんでもない』って言われると、かえってあれこれ想像しはじめるんだよね」
特に女子は、あれこれ勘繰って勝手に想像しがちだ。
「だから、敢えて何かありそうな雰囲気で『なんでもない』って言うの。そうすれば、周囲は『そんなこと言って、本当は何かあるんじゃない?』とか『誰にも打ち明けられないような悩みでもあるんじゃない?』って考えはじめるってわけ」
ちなみに、このパターンの恋愛小説や恋愛漫画、私が読んだだけでもざっと10冊はあった。
つまり、これって「王道展開」じゃないのかな。
「だから、間中くんは1日に1回、口を閉じてボーッとしていればいいの。で、話しかけられたら『なんでもない』って繰り返せばいいの」
「はぁ……」
「大丈夫、これならいける……絶対うまくいくから!」
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