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第6話
4・前半終了
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前半終了間際に、10番の人がゴールを決めた。
1対0でハーフタイム。お姉ちゃんは、ホイッスルが鳴るなりさっさとトイレに行ってしまった。
結麻ちゃん、まだかな。あと30分しか残っていないのに。
スマホに手を伸ばしかけたところで着信が表示された。結麻ちゃんからだ。
私はすぐさま画面をタップした。
「結麻ちゃん、今どこ!?」
『入口に着いたところだよ。トモちゃん、どのあたりにいるの?』
よかった、間に合った。
応援席の場所を伝えると、5分ほどで結麻ちゃんは現れた。
「ごめんね、遅くなって。試合は?」
「1対0で勝ってるよ。このあと後半戦」
そうと、呟いたあと、結麻ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
「めずらしいね、トモちゃんが髪の毛下ろしてるの」
「いつもの髪ゴムが切れちゃったんだよ。帰りに買ってこないと」
「私の貸そうか?」
ハイ、と鞄から取り出したのはゴムではなく可愛いヘアクリップだ。
「いいよ、そんな可愛いの──」
「どうして? トモちゃんなら絶対似合うよ」
「前を向いて」と背中を押されて、パチンと髪の毛を束ねてもらう。
首筋を、涼しげな秋風が撫でていった。
「うん、似合ってる」
鏡代わりに見せてくれた結麻ちゃんのスマホには、いつもよりちょっとだけ大人っぽい雰囲気の私が映っていた。
「なんか……へん」
「そう? ダメだった?」
「ううん! そうじゃなくて」
見慣れなくて、なんだか私じゃないみたい。
「大丈夫、すぐ慣れるよ」
にっこり微笑む結麻ちゃんの背後で、午後の日差しがきらきら輝いている。
ああ、すごいな。結麻ちゃんって恋愛小説の主人公みたいだ。
やさしくて、魅力的で、みんなが結麻ちゃんを好きになってしまう。
(私とは違うな)
私は、間違いなくモブキャラだ。その他大勢の、たまに主人公とか、主人公の好きな人に文句を言う役。もちろん名前なんてないから、読者に認識されることもない。
なるほど、これじゃ「好きになった時点で失恋確定」なのも当然だ。
「あっ、結麻、来てんじゃん!」
ようやく、お姉ちゃんがトイレから戻ってきた。
「遅くなってごめんね」
「ほんとだよ~。遠野くん出ないからつまんなくてさぁ」
お姉ちゃんがグチグチ言いはじめたところで、選手が再びフィールドに入ってきた。
後半戦のはじまりだ。
1対0でハーフタイム。お姉ちゃんは、ホイッスルが鳴るなりさっさとトイレに行ってしまった。
結麻ちゃん、まだかな。あと30分しか残っていないのに。
スマホに手を伸ばしかけたところで着信が表示された。結麻ちゃんからだ。
私はすぐさま画面をタップした。
「結麻ちゃん、今どこ!?」
『入口に着いたところだよ。トモちゃん、どのあたりにいるの?』
よかった、間に合った。
応援席の場所を伝えると、5分ほどで結麻ちゃんは現れた。
「ごめんね、遅くなって。試合は?」
「1対0で勝ってるよ。このあと後半戦」
そうと、呟いたあと、結麻ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
「めずらしいね、トモちゃんが髪の毛下ろしてるの」
「いつもの髪ゴムが切れちゃったんだよ。帰りに買ってこないと」
「私の貸そうか?」
ハイ、と鞄から取り出したのはゴムではなく可愛いヘアクリップだ。
「いいよ、そんな可愛いの──」
「どうして? トモちゃんなら絶対似合うよ」
「前を向いて」と背中を押されて、パチンと髪の毛を束ねてもらう。
首筋を、涼しげな秋風が撫でていった。
「うん、似合ってる」
鏡代わりに見せてくれた結麻ちゃんのスマホには、いつもよりちょっとだけ大人っぽい雰囲気の私が映っていた。
「なんか……へん」
「そう? ダメだった?」
「ううん! そうじゃなくて」
見慣れなくて、なんだか私じゃないみたい。
「大丈夫、すぐ慣れるよ」
にっこり微笑む結麻ちゃんの背後で、午後の日差しがきらきら輝いている。
ああ、すごいな。結麻ちゃんって恋愛小説の主人公みたいだ。
やさしくて、魅力的で、みんなが結麻ちゃんを好きになってしまう。
(私とは違うな)
私は、間違いなくモブキャラだ。その他大勢の、たまに主人公とか、主人公の好きな人に文句を言う役。もちろん名前なんてないから、読者に認識されることもない。
なるほど、これじゃ「好きになった時点で失恋確定」なのも当然だ。
「あっ、結麻、来てんじゃん!」
ようやく、お姉ちゃんがトイレから戻ってきた。
「遅くなってごめんね」
「ほんとだよ~。遠野くん出ないからつまんなくてさぁ」
お姉ちゃんがグチグチ言いはじめたところで、選手が再びフィールドに入ってきた。
後半戦のはじまりだ。
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