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第3話
6・自己嫌悪(その1)
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以来、俺はおにぎりが好きじゃなくなった。
もちろんおにぎりそのものに罪はないんだけど、どうしても俺のなかで「苦手なアイテム」として紐付けられちまった。
なので、今日もバイト前の腹ごしらえにはコンビニのサンドイッチを選ぶ。
以前はこれに唐揚げとかフライドポテトを加えていたんだけど、最近どうも食欲がない。サンドイッチがあれば十分って感じだ。
大学構内の休憩スペースで、買ったばかりのサンドイッチのセロファンを外す。いちおう「ハムサンド」と銘打っているけど、具材のハムは薄っぺらく、レタスなんて申し訳程度にしか入っていない。これなら自分で作ったほうが絶対にお得だ。野菜マシマシにして、ハムはハムカツに変更。これだけでめちゃくちゃ食べ応えのあるやつができあがる。
けど、それを作る元気が、今の俺にはない。大賀との朝ごはんを作るだけで精一杯。できることなら、残りの2食はコンビニとかテイクアウトもので済ませたい。
(今日カフェのフードが余ったら、俺が買って帰ろうかな)
食べ終えたらバイト先に移動。すぐに着替えて、エプロンを閉めた。
バックヤードにはバイト仲間しかいない。あらかじめわかっていたことだけど、坂沼さんに会わなくて済むというだけで、今日はめちゃくちゃ気分が軽い。
さらに朗報。
「坂沼さん、来週まるまる来られないって」
「え、どうして?」
「なんか、海外旅行? 『お手軽なツアーがあったから』とかなんとか」
よし、と心のなかでガッツポーズ。これで来週は楽しくバイトできそうだ。
けれど、浮かれていたのは俺だけだったらしい。バックヤードにいたふたりは「なんだかなぁ」とため息をついていた。
「なに考えてんだろうな、あの人。店長がいないのに1週間も来ないとか」
「だよな。1週間まるまる責任者不在ってさすがにヤバくねぇか?」
「受注も発注もバイトに丸投げって。それでミスったら誰が責任とるんだよ」
それは、バイトリーダークラスなら当然考えること。特にこのふたりは、俺よりもリーダーを任されることが多い。自分たちにかかる負担を思えば、たしかに愚痴もこぼしたくなるだろう。
なんだか自分が恥ずかしくなった。こうした可能性に思い至らず、つい「坂沼さんが休んでラッキー」と喜んでしまった。
「どうした、若井。へんな顔して」
「あ、いや……とりあえず俺、店入るわ」
「えっ、まだ5分前だろ」
「もうちょっと休んでから入れば?」
「いいって。サービスサービス」
逃げるように、俺はバックヤードを出る。
ドリンクの子と交替予定だったけど、レジが大変そうだったのでまずはそっちのヘルプに入ることにした。
「いらっしゃいませ。店内でお過ごしですか?」
バイトをはじめて何百回と繰り返した言葉が、当たり前のように口から出る。
こういう作業は好きだ。頭を働かせる機会が少ないから。あれこれ考えなくても、身体が勝手に動いてくれる。こんなに楽なことはない。
もちろんおにぎりそのものに罪はないんだけど、どうしても俺のなかで「苦手なアイテム」として紐付けられちまった。
なので、今日もバイト前の腹ごしらえにはコンビニのサンドイッチを選ぶ。
以前はこれに唐揚げとかフライドポテトを加えていたんだけど、最近どうも食欲がない。サンドイッチがあれば十分って感じだ。
大学構内の休憩スペースで、買ったばかりのサンドイッチのセロファンを外す。いちおう「ハムサンド」と銘打っているけど、具材のハムは薄っぺらく、レタスなんて申し訳程度にしか入っていない。これなら自分で作ったほうが絶対にお得だ。野菜マシマシにして、ハムはハムカツに変更。これだけでめちゃくちゃ食べ応えのあるやつができあがる。
けど、それを作る元気が、今の俺にはない。大賀との朝ごはんを作るだけで精一杯。できることなら、残りの2食はコンビニとかテイクアウトもので済ませたい。
(今日カフェのフードが余ったら、俺が買って帰ろうかな)
食べ終えたらバイト先に移動。すぐに着替えて、エプロンを閉めた。
バックヤードにはバイト仲間しかいない。あらかじめわかっていたことだけど、坂沼さんに会わなくて済むというだけで、今日はめちゃくちゃ気分が軽い。
さらに朗報。
「坂沼さん、来週まるまる来られないって」
「え、どうして?」
「なんか、海外旅行? 『お手軽なツアーがあったから』とかなんとか」
よし、と心のなかでガッツポーズ。これで来週は楽しくバイトできそうだ。
けれど、浮かれていたのは俺だけだったらしい。バックヤードにいたふたりは「なんだかなぁ」とため息をついていた。
「なに考えてんだろうな、あの人。店長がいないのに1週間も来ないとか」
「だよな。1週間まるまる責任者不在ってさすがにヤバくねぇか?」
「受注も発注もバイトに丸投げって。それでミスったら誰が責任とるんだよ」
それは、バイトリーダークラスなら当然考えること。特にこのふたりは、俺よりもリーダーを任されることが多い。自分たちにかかる負担を思えば、たしかに愚痴もこぼしたくなるだろう。
なんだか自分が恥ずかしくなった。こうした可能性に思い至らず、つい「坂沼さんが休んでラッキー」と喜んでしまった。
「どうした、若井。へんな顔して」
「あ、いや……とりあえず俺、店入るわ」
「えっ、まだ5分前だろ」
「もうちょっと休んでから入れば?」
「いいって。サービスサービス」
逃げるように、俺はバックヤードを出る。
ドリンクの子と交替予定だったけど、レジが大変そうだったのでまずはそっちのヘルプに入ることにした。
「いらっしゃいませ。店内でお過ごしですか?」
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