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第5話

1・休日の朝ごはん

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久しぶりに、気持ちよく目が覚めた。
今日は学校もバイトも休み。
つまり、一日中のんびりできる日。
なんならこのまま二度寝しちまっても構わないはずなんだけど、うちには朝ごはんをご所望の同居人がいる。
というわけで、今日も朝から俺は台所に立つ。
せっかくだから、ちょっと手間がかかるものを作ろうか。
食パンの消費期限は今日なので、これを使うのは確定。
となると、フレンチトーストかホットサンド──4枚残ってるからサンドイッチにするか。
冷蔵庫の中身を確認すると、昨日の夜買ってきたお値段半額の照り焼きチキンが目についた。

「よし、使うか」

今日の俺の晩ごはん用だったけど、気分がいいから同居人にもお裾分けしてやろう。
あとは、きゅうりとキャベツがあるから──決めた、朝ごはんはボリュームたっぷりのサンドイッチだ。
まずは、キャベツ1/4玉を千切りに。「たった1/4?」って思われがちだけど、これがけっこうな量になるんだ。ざっと、カット野菜1袋分くらい。それでお値段はカット野菜の半額なんだから、どう考えたって自分で千切りしたほうがお得だ。──まあ、俺はカット野菜にもおおいにお世話になってるけれど。
食パン4枚は、トースターでカリッと。
そのあと薄くバターとマヨネーズを塗って、スライスチーズ、斜めに切ったきゅうり、レンチンした照り焼きチキン、さらにその上に山盛りのキャベツの千切りを乗せていく。
で、上からもう1枚食パンをかぶせて、体重をかけて「おらっ」とつぶす。

(よし、こんなもんだな)

あとは半分にカットすれば、野菜たっぷりの照り焼きチキンサンドイッチのできあがり。
ちなみに、このサンドイッチは、キャベツを山盛りにしたらすぐにプレスすること。じゃないと、キャベツの水分が出てきてびちゃびちゃになるんだよ。
なので、できあがったらすぐに食ってほしい。
ってことで──

「大賀! 朝メシ運んでくれ!」

廊下に向かって声をかけると、真っ白なタオルを首に巻いた大賀がのっそりと顔を出した。

「もうできたのか?」
「できた。うまいうちに食うぞ」
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