モフモフ野郎と俺の朝ごはん

水野七緒

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第6話

1・神森、再び(その1)

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あいかわらずな旧友の背中を、俺は笑いながら遠慮なく叩いた。

「なんだよ、いきなり現れんなよ! びっくりするじゃねーか!」
「いいじゃーん。サプライズ、サプライズ」

神森はじゃれるように肩に手をまわすと、俺のスマホ画面を勝手にタップした。

「19時20分……まだ帰らなくてもいいよね。ちょっとそのへんでお茶しようよ」
「いいけど。大賀も呼ぶか?」
「尊くんは次でいいかなぁ。今日は叶斗くんとゆっくりお喋りしたいし」

というわけで、俺たちは駅前のファストフードに入ることにした。
腹が減っていたので、ハンバーガーふたつと、ポテト・ウーロン茶・チキンナゲットを頼む。神森は「よく食うねぇ」と感心していたけど、仕方ないだろ、こっちはバイトしたあとなんだ。

「で、今日はどうした?」

ひとつめのハンバーガーを頬張りながら、俺は旧友に目を向けた。

「つーか実家の用事はどうなった? もう終わったのか?」
「ん──まあ、ほぼ一段落って感じかな」
「……そっか」

だったら、大賀との同居ももう終わりか。
こいつがサポートできない間の代理ってことだったもんな。

(まあ、いいけどさ)

そろそろ、いろんな作業を任せるつもりでいたんだけどな。
ごはんを炊くのとか、味噌汁の下ごしらえとか。サラダやスープの具材も、あいつに選ばせてみようかな、なんて考えていたところだったのに。

「あれ、もしかして寂しい?」
「……は!?」
「そうだよねぇ、なんだかんだで2ヶ月くらい同居していたんだもんね」

──ちょっと待て。2ヶ月? いつの間に?

「おい、話が違うじゃねぇか」
「んー?」
「大賀を預かるのは『1ヶ月間程度』ってことだっただろうが!」

俺の指摘に、神森は「そうだっけ?」と首を傾げた。

「そうだよ、忘れてんじゃねーよ!」
「でも、叶斗くんも忘れてたでしょ」
「……っ、それは……」
「だったらいいじゃーん、1ヶ月でも2ヶ月でも」

「いや、良くねぇだろ」と反論してみたものの、いまいち声に力がこもらない。
たしかに忘れていたのは事実だし、今の今まで2ヶ月が経とうとしていることにまったく気づいていなかった。

(でも、それくらい、いろいろあったっていうか)

そりゃ、今はだいぶ落ちついているけどさ。
ついこの間まで、坂沼さん絡みでいっぱいいっぱいで、同居期間が延びてることに気づく余裕がなかったんだよ。

「いいよー、このまま尊くんと同居してもらっても」
「うるせぇ。あんなヤツとっとと回収しろ」
「とか言って、いなくなったら寂しくなるくせに~」
「そんなわけあるか! ぜんぜん寂しくないっての!」

黙れとばかりに神森の足を踏んづけて、新たにチキンバーガーに手をのばす。
──あ、これ結構うまいな。チキンカツじゃなくて竜田揚げなのか。
そういえば、冷凍の竜田揚げがまだ残っていたよな。明日のサラダのボリュームアップに使おうか。大賀は「サラダに竜田揚げ?」って首を傾げそうだけど。
と、神森がニヤニヤしながらこっちを見ていることに気がついた。

「……なんだよ、その顔」
「んーなんか嬉しくて」
「嬉しい?」
「叶斗くん、頬がだいぶふっくらしたなって。目の下のクマも消えたみたいだし」
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