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第7話
5・店長からの呼び出し(その1)
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その日のバイト中、店がそこそこ混雑しているにも関わらず、俺は店長に「ちょっといいかな」と声をかけられた。
「ごめんね。仕事中に」
「いや、俺はいいんっすけど、お客さんが……」
「わかってる。でも、誰もいないうちに話をしたかったから」
たしかに今、バックヤードには店長と俺しかいない。「座って」とうながされて、俺は向かいの丸椅子に腰を下ろした。
「これ、今日本社から転送されてきたんだけど」
店長が手にしていたのは、例の本社宛てのメールをプリントアウトしたものだ。
「これを送ったの、若井くんで間違いない?」
「間違いないです」
「じゃあ、ここに書いてある『アルバイトの女性』っていうのは……」
「川野さんのことです」
「そうよね、やっぱり」
店長の口調は、どこか歯切れが悪い。
俺は、苛立ちを覚えた。なんだか遠まわしに責められているような気がした。
「俺、なにか間違っていますか?」
思わずそう訊ねると、店長は「違うの」と慌てたように首を振った。
「若井くんが間違っているとか、そういうわけじゃなくて……若井くんとしても、川野さんを心配してのことだっただろうし」
「だったら……」
「ただ、これを送る前に、一度私に相談してほしかったかな」
ため息まじりのその言葉に、俺はとっさに反論しかけた。「だって、店長に相談したところで何も解決しないじゃないですか」──
けれども、結局は口にしなかった。飲み込むことで、なんとか冷静さを取り戻したかった。
「次からはそうします」
「うん、おねがいね」
これでおしまいかと思いきや、店長の表情はあいかわらず浮かないままだ。
まだ何かある──すぐにピンときた。なにせ1時間ほど前、坂沼さんから恫喝のような言葉をかけられたばかりだ。
俺は、無言のまま店長の言葉を待った。
「あのね」
店長は、ようやく口を開いた。
「これは、今回の若井くんのメールとは別件らしいんだけど」
店長は、膝の上のクリアファイルから、もう1枚プリントアウトした用紙を取り出した。
「実は、本社から問い合わせがあって」
「なんのですか?」
「うちのお店で働いている子たちのなかで、その……横領を働いている子がいるんじゃないかって」
「ごめんね。仕事中に」
「いや、俺はいいんっすけど、お客さんが……」
「わかってる。でも、誰もいないうちに話をしたかったから」
たしかに今、バックヤードには店長と俺しかいない。「座って」とうながされて、俺は向かいの丸椅子に腰を下ろした。
「これ、今日本社から転送されてきたんだけど」
店長が手にしていたのは、例の本社宛てのメールをプリントアウトしたものだ。
「これを送ったの、若井くんで間違いない?」
「間違いないです」
「じゃあ、ここに書いてある『アルバイトの女性』っていうのは……」
「川野さんのことです」
「そうよね、やっぱり」
店長の口調は、どこか歯切れが悪い。
俺は、苛立ちを覚えた。なんだか遠まわしに責められているような気がした。
「俺、なにか間違っていますか?」
思わずそう訊ねると、店長は「違うの」と慌てたように首を振った。
「若井くんが間違っているとか、そういうわけじゃなくて……若井くんとしても、川野さんを心配してのことだっただろうし」
「だったら……」
「ただ、これを送る前に、一度私に相談してほしかったかな」
ため息まじりのその言葉に、俺はとっさに反論しかけた。「だって、店長に相談したところで何も解決しないじゃないですか」──
けれども、結局は口にしなかった。飲み込むことで、なんとか冷静さを取り戻したかった。
「次からはそうします」
「うん、おねがいね」
これでおしまいかと思いきや、店長の表情はあいかわらず浮かないままだ。
まだ何かある──すぐにピンときた。なにせ1時間ほど前、坂沼さんから恫喝のような言葉をかけられたばかりだ。
俺は、無言のまま店長の言葉を待った。
「あのね」
店長は、ようやく口を開いた。
「これは、今回の若井くんのメールとは別件らしいんだけど」
店長は、膝の上のクリアファイルから、もう1枚プリントアウトした用紙を取り出した。
「実は、本社から問い合わせがあって」
「なんのですか?」
「うちのお店で働いている子たちのなかで、その……横領を働いている子がいるんじゃないかって」
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