4 / 10
1章 月が落ちた日
第4話 他国への侵略
しおりを挟む「……分かった、すぐにイルの協力に向かおう。レイシア、『王国騎士団』を城の前に集めておいてくれないか?」
「分かりました。『王国騎士団』の編成についてはどうされますか?」
『ケルム王国』には『王国騎士団』という軍事組織が存在しており、前国王であった先代ケルム王の時から組織されていた軍だ。
だが、レオハルトが即位した後、『征錬術師』と『魔術師』を相手にする為に新たに編成を行い、その結果、現在の『王国騎士団』の戦力は『ノード大陸』でもっとも強力と言われている『王都防衛軍』と並ぶほどのものとなっていた。
「他に協力要請を出している国はあるのか?」
「いえ、今のところはありません」
「なるほど……イルに攻め入っている戦力はどれくらいだ?」
「報告では二、三百人ほどだと聞いています」
レイシアの言葉に、レオハルトはその表情を訝しげに変えていく。
確かに、現在攻められているイルは小国であるが、それでも国を攻めるのに二、三百の兵などあり得ないはずだ。
もし、たったそれだけの軍が攻めてきたとしても、イルには数千ほどの兵が存在している為、調印を強要出来るほどの圧力は無いはずだからだ。
そんな疑問を抱いたレオハルトはその表情を険しくしながら小さく呟く。
「それはずいぶんと少ないな……」
「そのことは私も気になっていたのですが……」
「陽動の可能性もあるな……。だとすると、王国内の〝騎士団〟の戦力を割くのは避けたいところだな」
「留守の間にこちらに攻めてくる可能性もあると?イルの周辺に別の隊が待ち伏せしている可能性もありますね……」
「その場合、最初から私達を狙っているということになるか……」
レオハルトが懸念していたのは、それだった。
イルは周辺の国でも非常に小さく、戦力として見た場合に優先度は低い。
だからこそ、数年もの間、大陸が二分される中でイルが中立状態を保っていても〝過激派〟は見逃していたのだ。
その疑問はレイシアも同じだったようで、レオハルトの言葉を代弁するように口にしていた。
「……イルはこれまで〝過激派〟、〝穏健派〟のどちらにも同盟国の調印せず、中立を保ち続けていましたが……まさか、そんな国にまで攻め入るなんて……」
「〝過激派〟もここに来て、こちらの戦力増強に警戒を強めてきたということだろうな」
レオハルトは国王に即位した後、『ケルム王国』内に魔術を取り入れることを決意し、戦力の増強を図っていた。
その一つとして、レイシアの住んでいた『魔術師の国レヴィルド』以外に『ノード大陸』には小さな『魔術師』達の集落があり、彼らの保護と同時に志願者には『王国騎士団』での階級を与えていたのだ。
そして、それらの戦力を用い『魔術師殲滅』を掲げる〝過激派〟に対し、〝穏健派〟の中心に立つ『ケルム王国』は〝解放軍〟という名を掲げて戦争終結の為に同盟国を次々に増やしていき、いまやこの『ノード大陸』で〝過激派〟と対立できるほどに巨大な存在となっていた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる