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第一章
1-1 素質
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――ちょ、調合師だと!? 本当にディルレアンの素質は調合師だったというのか……!?
――ええ、本当です、父上。メイドのリーザに確認させたから間違いありません。
――まさか由緒正しき騎士の一族であるコーラム伯爵家から、調合師などという素質が現れるとは思いませんでしたね。
――ディルレアンは十一男。これは然るべき処置を取ったほうが良いのでは?
――いや、そこまでする必要はない。うちに相応しくないというだけで、調合師という素質がそこまで駄目という訳ではない。
――けれど……。いえ、すみません。父上がそうおっしゃるというのであれば……。
――しかし……ディルレアンか……。てっきり…………。
――父上、今何か……
聞きたくなかった言葉が重厚な扉の向こうから聞こえてきて、俺は廊下を静かに駆け出していた。
おそらく話していたのは長男であるエディ兄さんと、次男であるラージア兄さんに父上であるリーガル伯爵。
素質。
年齢が12歳になった時に全ての人間に開花するもの。
うちのコーラム伯爵家では、姉さんたちも含めて全て戦闘に向いている素質が開花していた。
それが当たり前だった。
けれど俺、ディルレアン・ド・コーラムだけは違った。
調合師。
アイテムとアイテムをかけ合わせて何かを作るという完全な生産職。
正直なところ、期待していた俺自身もがっかりだ。
16人兄妹の末っ子である俺に家を継ぐ権利なんて当たり前だがない。
予備にすらなれない。
だからいずれは家を出る必要がある。
そうなった時、貴族といえど何もせずに身を立てていく事なんてできるわけがないのだ。
俺の夢は冒険者になることだった。
世界をまたにかけ自由気ままに旅する人の事を冒険者と呼ぶ。
貴族の末子なら当然考えうる選択肢の一つだ。
頭が良ければ官吏になったり、公務員になる道もあるが俺は特に興味はなかった。
だから。
戦闘系の素質を得て冒険者になるということが、俺の人生においての未来予想図だと思っていた。
けれどそれは崩れ去ってしまった。
なら、調合師として生きていかなくては仕方がない。
それでも素質を初めて知った時は部屋で一人泣き明かした。
といってもつい一昨日の事。
今も気分は同じだ。自分で認めるのと、人、しかも家族に駄目扱いされるのではわけが違う。
予想していたことだったがやはり悲しかった。
だがもう泣いてはいられない。
決まったことに文句を言うことはできない。
調合師として生きていくしかないんだから。
――ええ、本当です、父上。メイドのリーザに確認させたから間違いありません。
――まさか由緒正しき騎士の一族であるコーラム伯爵家から、調合師などという素質が現れるとは思いませんでしたね。
――ディルレアンは十一男。これは然るべき処置を取ったほうが良いのでは?
――いや、そこまでする必要はない。うちに相応しくないというだけで、調合師という素質がそこまで駄目という訳ではない。
――けれど……。いえ、すみません。父上がそうおっしゃるというのであれば……。
――しかし……ディルレアンか……。てっきり…………。
――父上、今何か……
聞きたくなかった言葉が重厚な扉の向こうから聞こえてきて、俺は廊下を静かに駆け出していた。
おそらく話していたのは長男であるエディ兄さんと、次男であるラージア兄さんに父上であるリーガル伯爵。
素質。
年齢が12歳になった時に全ての人間に開花するもの。
うちのコーラム伯爵家では、姉さんたちも含めて全て戦闘に向いている素質が開花していた。
それが当たり前だった。
けれど俺、ディルレアン・ド・コーラムだけは違った。
調合師。
アイテムとアイテムをかけ合わせて何かを作るという完全な生産職。
正直なところ、期待していた俺自身もがっかりだ。
16人兄妹の末っ子である俺に家を継ぐ権利なんて当たり前だがない。
予備にすらなれない。
だからいずれは家を出る必要がある。
そうなった時、貴族といえど何もせずに身を立てていく事なんてできるわけがないのだ。
俺の夢は冒険者になることだった。
世界をまたにかけ自由気ままに旅する人の事を冒険者と呼ぶ。
貴族の末子なら当然考えうる選択肢の一つだ。
頭が良ければ官吏になったり、公務員になる道もあるが俺は特に興味はなかった。
だから。
戦闘系の素質を得て冒険者になるということが、俺の人生においての未来予想図だと思っていた。
けれどそれは崩れ去ってしまった。
なら、調合師として生きていかなくては仕方がない。
それでも素質を初めて知った時は部屋で一人泣き明かした。
といってもつい一昨日の事。
今も気分は同じだ。自分で認めるのと、人、しかも家族に駄目扱いされるのではわけが違う。
予想していたことだったがやはり悲しかった。
だがもう泣いてはいられない。
決まったことに文句を言うことはできない。
調合師として生きていくしかないんだから。
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